「僕の〇〇の写真を見せるね」
そう言われた時に初めて、私はこの人を「〇〇」と呼んでいいんだなと思った。
外国人と接するときに、いつも特別に注意している事が一つある。
これは絶対に外せないとても大切な事で、ここを間違うとその後もちょっと気まずさが残る。
さてこの大切な事とは?
第一印象は大切
よく第一印象が大切だと耳にするけど、外国人も同じ。
日本での第一印象というと、私の個人的感覚でお話しすると、清潔な身だしなみとか、言葉遣いや笑顔などを思い浮かべる。
この人って付き合いやすそうとか、清潔感があるとか、そんな印象を持たれることを望む人も多いのではないだろうか。
ただ外国人の場合は少し視点が違ってくる。
これはとても大切な事で、この部分を尊重すれば大概のことはうまくいくと言っても過言ではない。
彼ら外国人から、この人は信頼できると思われ、その後の仕事はとてもやりやすくなる。
今日はこの大切な事を、私の体験談を交えてお話ししたいと思う。
ミスターとミス
ある知人から
「MrとかMsって使わないの?」と言われて、はっとした事があった。
そういえば、その敬称を使っているメールは、今まで一度も見たことが無いし、外国人同士で言っているのも聞いたことがない。
ミスターとかミスと、相手の性別を決める言い方を使わない、という事に初めて気づいた。
知りあいの外国人に「MrとかMsを使うかどうか」を聞いたところ、使うけど日常では耳にすることがあまりないと言った。
メールでの失敗
時々、私はメールをもらった相手が、男性か女性かわからないことがある。
名前をみただけでは、それが男性か女性か全くわからない国の人もたくさんいるからだ。
ある時、外国人の教授が、自分の教えている生徒の、宿泊施設の予約をお願いしてきた。
その学生も外国人で、数週間日本に滞在しているだけのため、この施設のIDを持っていない、そのため、私が代わりに宿泊施設の予約を進めることになった。
教授は外国人男性だったので、私は勝手に外国人の学生も男性だと思い込んでいた。
そして「He(彼)」を連発してメールのやりとりをした。
ある時点で、その教授が学生の事を「She(彼女)」と書いてきた時
私は外国人学生が女性だと知った。外国人の教授にメールの中で「彼」と書いたことを謝った。
そしたら外国人の教授は、
「性別がわからない時は、Theyを使うのが賢明だと思うよ。」と優しい感じで教えてくれた。
顔も見えないメールなどは、特に注意しなければと思った。私はそれ以来、「彼」や「彼女」という表現を使わずに、名前でのやりとりをする事を心がけるようにしている。
外国のジェンダー問題
顔も見えない状態でのやりとりの中で、外国人の性別を間違えたとしても、さほど問題にはならないが、一度会ってしまうとそうはいかない。
この理由の一つは、海外でのジェンダー問題は、とても大切な人権問題に繋がっているからだと思う。
ジェンダー問題の支援をしているグループの活動内容は、見た目と中身の性別が違う人、例えば、IDカードの写真と、実際の見た目が違っている事などに対する差別から、人権を守ろうという活動。
この活動を支援している、ある海外の大学のサークルに入っている、外国人学生の友人がいる。この友人から、サークルの内容を聞いたのがきっかけで、私はこの問題の内容を、とても重要な事として捉えるようになった。
私には少ない知識しかないし、ジェンダー問題には、何の抵抗もないのだが、どの人がそうなのか?を見分けるとなると少々やっかいだ。
ただ優しい雰囲気なだけの男性もいるし、そうかと思えば、意外な男性がジェンダー問題を抱えていたりする。
女性にいたっては全くわからない。
ボーイッシュなショートヘアで、ジーンズをはいている女性はたくさんいるし、どの人がジェンダー問題を抱えているのか、見た目だけでは区別がつかない。
そして、本人にあからさまに聞くこともできない。
この一面も踏まえて、私はミスターやミス、彼や彼女と安易に使わない事にしている。外国人と接するときはなるべく「名前」を使う。
あるとき、施設の外国人学生と話しをしていた時、その外国人の学生がこんな風に言った。
「僕の彼女の写真を見せるね」
そう言われた時に初めて、私はこの人を「彼」と呼んでいいんだなと思った。
そして外国人の学生は、自分の携帯から彼女の写真を探して私に見せた。
スカートをはいた、セミロングの黒髪の日本人女性だった。
「素敵な人だね」と私は言った。
ここまできて初めて、外国人の学生を男性として扱っても大丈夫だと私は認識する。私はこの外国人の学生の、性別の情報を自分の中にアップロードした。
だけど、その後も名前で呼ぶ事に変わりはない。
「男性だ」という決めつけを持たずに、「人として接する」という事を大切にして付き合っていきたいと思っている。
外国人と接するとき、この「人として付き合う」という事を大切にすると、とても関係はうまく進む。
自分の人権を尊重してくれた、と外国人が感じると、彼らは安心して人間関係を進めていいと思うようだ。
友達になるには、これはとても大切なポイントになる。
京都が大好きで光華女子学園へ進学、卒業後、大阪の企業で経理課勤務。仕事が肌に合わず、夢だったイラストレーターを目指して大阪芸術専門学校へ。賃貸住宅ニュース雑誌社へ派遣社員として就職。その後地元へ帰り、地元のフリーペーパーやパチンコ店などのポスター制作するグラフィックデザイナー、ベジタリアン・ヴィーガンのお料理の先生、バンドのドラマー(ジャズ・ロック・軽めのフュージョンなどジャンルを問わず、地元ではセミプロとして活躍する。プロドラマー海野俊介氏に師事)、お琴奏者(趣味で名取まで取得)、演劇が好きで劇団にも少しだけ所属・・・など様々な経験を経て、英検3級しかありませんが、縁あって現在は、某施設で外国人担当のお仕事をしています。