NYでは、部屋に洗濯機がないと聞きますが、お洗濯とかはどうしてるの?
と言う質問をいただきました。
そう、ニューヨークと日本で、ます違うところは、それぞれの家族がアパートの部屋に洗濯機を持てない、と言うところから始まります。
ニューヨークのアパートは、築100年とかがザラ。石造りの土台で、重厚で歴史的な建築が多いのですけれど、それはそれは年期もの。なので、建築当時、各家庭に「洗濯機がある」と言う想定で建築されていない、と言うことらしいです。
ビルの排水管も、洗濯機を設置する様に造られていないので、ほとんどのアパートメント・ビルディングでは、各ユニット(お部屋のこと)に「洗濯機を入れてはいけない」という決まりになっているんです。
よって、
家族分の大容量の洗濯物でも、それを全部担いでコインランドリーへ行く、と言うことになるんです。
そうそう「コインランドリー」は日本語です。英語では「laundromat(ランドロー・マット)」といいます。
ちょっといいアパートメント・ビルディングだと、ランドリー・ルームがワンフロア、あります。それだと、エレベーターで洗濯物を運べるので、とっても楽です。コロコロが付いた洗濯籠も使えますし。
私が若い頃は、小さなアパートに住んでいたので、ランドロー・マットまで歩いて7分とか、休みの日に朝から大きなランドリー袋を背負って、読みかけの本や雑誌と、貯めておいたクォーター硬貨(25セント)※をジャラジャラ持って、お洗濯に出かけたものでした。まあやっぱり想像通りというか、土日はとても混んでましたね。また、ニューヨークのアパートメント・ビルディングは、5、6階建てのものだとエレベーターがなかったりもしますので、洗濯に行くのも、なかなかの良い運動です。
※当時、25セント硬貨しか使えず、1回に4、5枚は必要でした。当時は、電話をかけるのもクォーター硬貨、パーキングメーターもクォーター硬貨だったりと、とかく、クォーター硬貨が必要なことが多かったので、常にストックしてました。
写真は、私が今住んでいるビルディングのランドリールームです。洗濯機が3種類、1番大きいのは、カンファター (上掛け布団)も洗えます。一回2ドル35セント(約340円)。全部で15台ぐらいあるのかな、乾燥機も同じ位たくさんあります。
ランドリー・ルームがよく地下にあると言う話を聞きますが、私はあまり好きではなかった。どうも、洗濯へ行くときに気が重くなるのです、薄暗いジトッとしたイメージの部屋で。
このビルディングはランドリーが2階にあるので、昼間は陽も差し込んで、とても気持ちが良いです。
乾燥機は2ドル10セントで、30分行けます。結構高温になるので、私はあまり使うチャンスは無いけれど、そうですね、シーツとかバスタオルぐらいかな。
衣料品は、日本のものもあるので、濡れたまま自分の部屋に持って帰ってハンガーで干します。でもまあ、このビルには、そんな自分の部屋で干す人はまずいないですね。
普通は、洗濯ものは全部、高温でガーッとドライしてしまうみたいです。たまに、アメリカ映画で、襟がくにゃーっと伸びたTシャツを着ている若い人が映画に出てきたりしますが、あれは、この高温乾燥機が原因みたいです。
NYの空気は、朝、喉が痛くなる位乾燥しているので、部屋に干すと、お部屋の湿度もちょうどいい感じになります。(笑)
そういえば、最近の日本では、いちいち洗濯機から洗濯物を全部取り出して、ドライヤー(乾燥機)に入れ替えなくてもいいんですか?そんなマシンがあるなんてすごいね、日本は。
そうそう、こちらでは最近は、クォーター硬貨をたくさん持っていかなくてもよくなりました。プリペイドカードになりました☆
洗濯方法について、ランドロー・マットに行く以外にも、ちょっとお金に余裕があれば、ドロップ・オフと言うサービスもあります。クリーニング屋さんで、普通の洗い物もやってくれるんです。
朝、洗濯物の詰まったランドリー袋を持ち込めば、夕方にはほっかほかで結構きれいに畳んでくれてあり。
料金は重さで払います。昔、自分が怪我をしてちょっと動けない時があって、その時にこれを使ったことがあります。毎回これが使えたらいいなぁ!とは思いましたが、そうもいかないので、まあ、たまに乗るタクシーのようなものです(笑)。
今回は、そんな、なんだか1世代遅れのような、ニューヨークお洗濯事情でした。日本はいいよね、洗濯機がどのおうちでも、お風呂場にあって、毎日お洗濯できる。私も今度日本へ戻ったら、日本の洗濯機をエンジョイしたいと思います☆
それではまた来週
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。