【World Life】とは?
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要注意な「嫌い」を表す表現

World Lifeな生活
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私,むか〜し10代の頃やらかしてしまったことがあるんです。

もう今日は懺悔のつもりでお話します。

また留学して間もない頃,
英語もそれほど話せず,ましてやアメリカの文化もよくわかっていなかった
超生意気だった私。

ある日,ホストマザーが私に,

「今から教会に行くけど,一緒に来る?」

と訊ねてきました。

「宗教=お年寄り」と思っていた私は,

「自分は宗教はしないので」と言いたかったのですが,
伝える英語力も配慮もなかった私はある言葉を発してしまったのです。

本当に失礼なことを言ってしまった私,

その言葉とは…

−意味の度合いが違う単語−

とっさに私の口から出た言葉,

それは,
“I hate religion.”
(私は宗教が嫌いです)

と言ってしまったのです。

この発言に,いつも優しいお母さんの表情は一変。

「そういうことは言ってはダメ!」

と怒られてしまったのです。

人生の経験値もない,英語力もなかった私のこの発言。

あなたはどこが問題か,お気づきになりましたか?

それは使った単語 “hate”

当時の私は,“hate”をただ「嫌い」と覚えてしまっていたのです。

今では「ヘイトスピーチ」や「ヘイトクライム」という言葉でも知られるくらい,
この “hate” は「嫌い」のもっともっと上をいく言葉。

「嫌い」以上に「憎む」「(憎しみ・怒りを覚えるほど)ひどく嫌う」

という意味を持つ単語。

それを知らずに,

「あ,ぼくは宗教は好きじゃないんで」的なレベルで言ったつもりが,

「私は宗教なんて憎むべきほど嫌いなんだ」

という,ものすごーく感情的に,しかも憎悪を表す感じになってしまっていたのです。

そりゃ,お母さんも怒りますよね。

今では大反省しております。

−「嫌い」を表す表現とは−

一重に「嫌い」と言っても,

「好きじゃない」
「嫌い」
「大嫌い」

などのようにレベルがありますよね。

英語でも “detest”(軽蔑的に嫌う), “disgust”(生理的に嫌う)や “cannot stand”(耐えられないくらい嫌い)など,上げたらキリがないくらいたくさんの単語がありますが,今回は比較的,私たちが使いやすいものをいくつか考えてみたいと思います。

“don’t like”

文字通り「好きではない」,と訳します。

“I don’t like natto.” だと,「私は納豆が好きではありません。」となりますが,
“I don’t like natto very much.” のように後ろに“very much”をつけると

「私は納豆があまりすきではありません。」

となります。

“I like natto very much.”だと「私は納豆がとても好きです。」となるので,
“I don’t like natto very much.”も,

「私は納豆が[全く]好きではない」と思いがちですよね。

でも否定文に “very much”がつく場合は「部分否定」となり,

「あまり(そんなに)〜ではない」

という意味になるんです。

「本当に好きではない」と言いたいときは,

“I really don’t like natto.”または

“I don’t really like natto.”
(私は本当に納豆が好きでない。)

のように “really” を用いて表現します。

 

“dislike”

この単語は,“like”(好き)の前に”dis”をおいて, “like”をディスっています。
ですので「好き」をディスって「嫌い」となります。

“don’t like”の場合は,「好きではない」ですが,この “dislike”の場合は
単刀直入に「嫌い」となります。

「好き」か「嫌い」か,どちらか二択で言う場合の「嫌い」という意味で,
「あまり好きじゃない」ということではなく,単に「嫌い」なのです。

たとえば,

“Why do you dislike her so much?”
(どうしてそんなに彼女のことが嫌いなの?)

“I know that you dislike playing computer games.
(君がテレビゲーム嫌いなのは知っているよ。)

という感じで,結構シンプルに「嫌い」という感じです。

 

“hate”

さて,問題の “hate”です。

一般的に「嫌い」と訳されていることも多いのですが,この単語は要注意!

というのも,私のお母さん(ホストマザー)が怒ったように,この単語には
少々攻撃的な意味合いが含まれているのです。

つまり,「憎悪」を含んだ「大嫌い」というニュアンスです。

なので使うときには気をつける必要があります。

ただ, “I hate traffic jams.”(渋滞は大嫌い)のように
「ものや事柄」に対して使われることは結構あります。

でも,私がしてしまったように,「人や相手に関すること」などには使わないようにしたほうが無難です。

そりゃあ,「憎悪」を含んだ大嫌いなんて,言われたら誰もいい気はしませんよね。

−無難な言い方は?−

“don’t like” “dislike”などもいいのですが,もうちょっと無難にソフトに「嫌い」を表したほうがいいこともありますよね。

そんなときに使えるのが,

“be not my thing”

直訳すると「私のものじゃない」となります。

例えば,「スキーに行こうよ!」と誘われたとします。
でも,あなたはスキーが好きではありません。(シャレじゃないです)

そんなときは

“Oh, skiing is not my thing.”
(ああ,スキーは好きじゃないんだ。)

のように,「嫌うほどではないけど,自分の好みじゃない」という場合に使えます。

また,「好きでもないし,嫌いでもない。というか興味がない」という場合に使えるのが,

“I’m not into ~”という表現。

「私は○○に入れ込んでない」という意味合いで,「無関心」を表します。

“I’m not into skiing.”
(私はスキーが好きではない[特に興味がない])

“I’m not into playing video games.”
(私はテレビゲームが好きではない[特に興味がない])

“I’m not into karaoke.”
(私はカラオケが好きではない[特に興味がない])

という感じです。

逆にこれらを肯定文にすると,

“I’m into skiing.”
(私はスキーが好きです。[入れ込んでます])

“I’m into playing video games.”
(私はテレビゲームが好きです。)

“I’m into karaoke.”
(私はカラオケが好きです。)

と言うこともできます。

−「言語を学ぶ」=「人生をつくる」−

“hate”には,憎悪や嫌悪のような日本語で言う「嫌い」以上の強い否定の意味があったのですね。

当時まだ未成年でもあり未熟すぎた私は,ただ

「嫌い」=「好きではない」

という感覚でいたのだと思います。

でも,お母さんが怒ったのを見て “hate” という語彙の強さを肌で感じました。

この体験は今でも忘れることはできません。

その後,今日まで “hate”という単語を人やその人に関することで使ったことはありません。

この単語のおかげで,私は「相手を尊重すること」「意見を押し付けないこと」を学んだような気がするのです。

語学というのは,「言葉を学ぶこと」と思いがち。

しかし,「言葉」は人が使うもの。

自分が発する言葉の使い方で,人と人との関係は作られていくのではないでしょうか。

そう考えると,「言語を学ぶ」ということは同時に

「人とのつながりや,自分の人生を作ること」

でもあるのだと思うのです。

だからこそ,英語だけでなく母語である日本語でも「相手を傷つけない」言葉を使ってゆきたいものですね。

そう心がけるだけでも,日々の生活が心穏やかで豊かになるような気がする今日このごろなのです。

それでは,また来週♪

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