時々不安になることがあります。
“「英語を学ぶのは楽しい」って言うと、“どこか白々しい“と思われないかと….。
「英語を学ぶのは楽しい」なんか英語が話せる人だから思うことじゃないのか?
そう思われていないだろうかと…
そこで今回、どうしたら「英語を学ぶのは楽しい」ということが伝わるのか考えた結果、ロシア語を学ぶことにしたのです。
なぜロシア語を学ぶことにしたのか?
その理由は、私が全く知らない言語を勉強してみることで、言語をゼロから学ぶ楽しさを共有できるのではないかと思ったからです。
ロシア民謡は昔から好きでしたが、私にとってロシア語は未知の言語。全く習ったことがないどころか、読み方すら分かりません。
だからこそ私がロシア語を学ぶことで、英語という「新しい言語」を学ぶあなたと同じ立場に慣れるのではないかと考えたのです。
早速ロシア語の本を買ってきて、ロシア語検定もいつか挑戦するぞ!なんて力んで始めたのはいいのですが…たった3日で大後悔…
思いがけない大きな壁にぶつかったのです。
最初の壁と悪魔のささやき
ロシア語の入門書でロシア語のアルファベットを見ました。そこには最初にアルファベットの例として“CCCP”と書かれている。“CCCP”とは「(昔の)ソ連の正式名の頭文字」という説明があったので、涼しい顔して「シーシーシーピー」と読んでいたら、(ほぼ)「エス・エス・エス・アール」と読むと!
“CCCP”がほぼ「エス・エス・エス・アール」?!と思い、続きを読んでいくと…
やがて
ロシア語でCは英語のS(エス)みたいなことが分かり、
ロシア語のPは英語のR(アール)みたい、
ロシア語のHは英語のN(エヌ)みたい、と分かったんです。
他にも全く見たことのない文字があるかと思えば、
左右が反対になっている文字もある。
例えば英語のR, Nそっくりのロシア文字を書くと
Я И
ほら左右逆で鏡に映っているみたいですよね。
ここまでは活字体の話です。
筆記体が入ってくるとさらに厄介です。
ロシア語のtの筆記体は英語のmの筆記体そっくり。
ロシア語のpの筆記体は英語のnの筆記体そっくりだと分かってきます。
英語のアルファベットとは似ているようで、全く違う…
もし仮に英語を全く知らないロシア人に、英単語をロシア語読みで読んでもらう実験をしたとすると恐らく、
HI! を見たら、ロシア人は”Ni!”「ニ」みたいに読むでしょう。
THE は “TNE 「トゥネ」 と読むはず
potato chip は rotato snir (ロタト スニア)みたいに読むはずです!
もう全く違いますよね…。とにかく第一歩で最初の大きな壁にぶつかりました。
今までの英語の知識が役に立たず、ロシア語を読むとき逆に邪魔になるという、過去が全否定される感覚を覚えました。何だか悪い夢でも見ているようです。
お恥ずかしいのですが、やめるという白旗が、すぐに頭に浮かんできました。
「ロシア語なんて、60代半ばを超えてから、できるわけがない…記憶力も衰えてるし…まだ誰にも言ってないし、他にすることたくさんあるし…無理のしすぎだ、やめようか、やめちゃおうか…」
見慣れた英語のアルファベットの世界がとっても懐かしくなりました。
思い出した人生初のABC
半分以上諦めたロシア語を溜息つきながら、一文字一文字書いている時のことです。何十年も昔、英語のABC…を初めて書いていた気分になってきたんです。
「ABC…初めて書いたのは「ローマ字」を習った時だったな。日本語がABCで書けると驚いた。
横線のノートは珍しかった。楽譜かと思った。4年生だったか…
ああそうか、昔はとにかく一生懸命に練習したんだ。
一本の赤い線頼りにABCDEF…きちんと書いていくのに時間を忘れて没頭したっけ。無心でひたむきだったんだな。
習わなくてもいい筆記体まで覚えて、「サイン」の代筆したら少しモテた…」
ABCに初めて出会った新鮮さが蘇りました。習いたての頃は、理屈を言わず、文字を書くという作業にただ没頭。そのおかげでABCを書けるようになったな…と思い出したんです。
同時に、知らないうちに傲慢になっていた自分に気づきました。大した努力をしなくてもロシア語なんて楽勝楽勝ぐらいに思っていたのです。それが未知の文字の壁で挫けそうになっている。
全力ださないとこの壁は乗り越えられない。しっかりしろ、と自分にはっぱをかけました。
昔のABCの時みたいに全力でやらないと駄目だ。「楽(らく)しよう」だけだと「楽しく」ない。そんな当たり前のことを再確認しました。
(ロシア語の筆記体でモテるとは期待しませんがw)
私の経験は書いて覚えるタイプの人に役立つかもしれませんね。
今、英語書くのってキーボードですよね。でも時には、あえて手書きで英語書くのもありかなと。
英単語や文章を綴っていくうちに、雑念が消え夢中になり、いつのまにか時間が経っていた、そうなれば心のごちゃごちゃがリセットされるおまけも味わえるかもです。
単語DNAで楽しく学ぶ
さて、今日のお話の中心になった「文字」ですが、英語ではletterです。
letterには「手紙」という意味もあります。「文字」がたくさん集まると「手紙」ですね。
ところがこの文字、「汚す」という単語DNAを持っているという驚きの説があります。
大昔の人が粘土板等を汚しながら懸命に習っていた、そういう物がletter (文字)だというのです。
今でも習いたては、紙に書いて紙を「汚し」て字を覚えるのですものね。
今日はロシア語の入り口付近で挫折しかけたお話でした。
初めて英語に向き合った時の真剣さやひたむきさを思い出し、自分にカツをいれなおしました。
そして早期give upを何とか避けられました。
これからも英語を(私の場合はロシア語を)楽(らく)でなくとも、楽しく学んでいければ良いですね。
See you later!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員