あなたは写真を撮る時,どんな掛け声をかけますか?
「撮りまーす!」
「3,2,1,ハイ!」
「はい,チーズ!」
のように,いろいろと掛け声はありますが,
きっと
「はい,チーズ!」
と言う人,多いんじゃないですか?
ここで質問です。
これ,なんで「チーズ」なの?
―「はい,チーズ!」って言っちゃた―
つい先日,近所に新しくできた居酒屋さんで食事していたときのこと。
隣のテーブルには同級生らしき40〜50代くらいのおしゃれな女性が4名。
とても楽しくおしゃべりをされていたのです。
そして,何の前触れもなく私に「いきなり」スマホを渡してこられたんです。
???
(え,な,何?新手のナンパ?)
と焦ったのもつかの間,
「すみませ〜ん,写真撮ってもらっていいですか?」
(あ,そういうことね。そうだよねぇ〜)
と安心しつつ,
「じゃあ撮りますよ〜。ハイ,チーズ!」
って言っちゃったんです,私。
ど定番中のど定番…
そして次の日,
「あれは英語だから “cheese”がいいのであって,日本語で「チーズ」は意味ないじゃん…」
と気づいたのです。
それはどういうことか!?
英語では,
“Say ‘Cheese’”(「チーズ」と言って)
と掛け声をかけ,写真に写る人たちがみんなで
“Cheese!”
と言って写真を撮ります。
これはその「発音」に意味があるからなんですよね。
英語での “cheese” の発音は
「チーz」
というイメージ。
“cheese“の “chee”と言った口そのままの形で,「z」と言うんです。
写真を撮る時には,
「チー」と,口が横に広がった,広角が上がったような形で笑顔に見えるようになるんですね。
だから理にかなった掛け声なんです。
ですが,日本語って,ほぼ全ての音に「母音」が付くじゃないですか。
例えば,“box”。
日本語では「ボックス」(bo kku su)のように,すべてに母音が付きます。
でも英語は /baks/(アメリカ英語)となります。
最後の /ks/には,「う」という母音の /u/がつかず,「クス」という声ではなく息の音だけだします。
そう考えると,
日本語で「チーズ!」というと
“Chi i zu!”(チイズ)と,最後の「ズ」の音,つまり「ウ」という母音が出てしまいます。
写真を撮る時に「ウ」の口の形になると,ちょっと拗ねて口を尖らせたような,
“ひょっとこ” のような口になりそうじゃないですか!
なので日本語には「チーズ!」は向かないんですよね。
でも日本では,カメラを持つ人が
「じゃあ,行きますよ〜。ハイ,チーズ!」
カシャ!!
みたいな合図のような使い方が一般的かもしれませんね。
あ,そういう自分も今回そうやって撮ったのでした…(汗)
―母音をつけがちな日本人の英語―
英語を発音するときに,私たちってどうしても日本語の音にひっぱられがち。
それは日本語が第一言語だから。
「ん」以外,すべての文字の音に母音がついているので,そうなってしまうんですね。
でも,それは意識するだけでも改善できるんです。
先程の “box”。
“bo”の部分は母音の / o / がついていますが,”x”は / ks / 。
/ kusu /ではないので,声を出さずに(声帯を震わせずに)
「クス」と言ってみましょう。
「ク」は,人がこっそりと陰から
「クックック…」と笑っている感じです。
ほら,ちびまる子ちゃんの野口さんの笑い方です。
そして,「ス」は,
私たち結構,日本語でも普通に出している音です。
「ありがとうございます!」
「おはようございます!」
「ありがとうございますぅ。」
「おはようございますぅ。」
のように,最後の語尾を伸ばさずに自然にサラッと言ってみてください。
どうでした?
最後の「す」って,「声」じゃなくて歯と舌の先部分で「空気」しか出てなくないですか?
それが “box”の “s”という音なんですね。
―「母音をつけない」を意識しよう―
私は基本的に,英語で話す時は自分の母語のアクセントでも良いと思っています。
発音を意識するあまり緊張してしまって
(英語がでてこない・・・)
という人がけっこう多くいるからなのですが,
それでもごくごく「基本的な発音は意識する」必要はあると思うのです。
それが「日本語は母音がつくが,英語はそうとは限らない」ということを意識すること。
先程の “box”もそうですが,よく間違えて使われているのが「魚」という単語。
「魚って “fish”じゃん?」
と思われると思いますが,カタカナで
「フィッシュ」“fisshu”と言ってしまう人いませんか?
“sh”の発音は,
「静かに!」という時の口をちょっと尖らせて,声を出さずに前歯の隙間から空気を出す
「シ」
です。
「シュ」ではないんですね。
なので, “fish”をあえてカタカナにすると,
「フィッシ(シは声を出さない)」
となります。
他にも間違えやすいのが,
“finish”
“fresh”
“push”
“cash”
など,日本語でもよく使われる単語。
これらはカタカナ表記では,すべて「シュ」で終わる単語ですが
“finish”(フィニッシ)
“fresh”(フレッシ)
“push”(プッシ)
“cash”(キャッシ)
のように声をださない空気だけの「シ」なんですね。
日本語のように,
「プッシュ」「フレッシュ」
と言っても通じない場合もあり得ます。
なので,一つの注意点として「カタカナ英語との発音の違い」を意識するだけでも,
発音はグッと変わってきますし,通じやすくなりますよ。
ところで,写真を撮る時の掛け声ですが,日本語で最後に「い〜」となるのって
みなさんはどのようなものを思いつきますか?
「1+1=?」
「にぃ〜〜〜!」
とかですかね?
ありきたりかなぁ。
あ,これはどうでしょう?
「元気はつらつぅ!オロナミン・・・」
「C〜〜〜〜!」
というか,今,そのCM知ってる人いますかね?
だれか近いうちに試してみてくださ〜〜〜い!
そして結果を教えてくださ〜い!
それではまた来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。