まだ若かった頃,
と言っても14〜5年前くらいの話。
出かけようと家を出ると,
「あ,携帯忘れた。」
と取りに帰り,携帯を持って家の鍵をかけようとすると今度は
「あ,鍵忘れた。」
となって,「わたしゃどんだけ忘れんだ?」ということが何度かありました。
「鍵を忘れちゃった!」を英語で表現する場合,
“I ○○ my key!”
に入る「○○」という言葉。
あなたの頭には,どんな英単語が浮かびましたか?
―「忘れる」≠ “forget”―
さて,「鍵を忘れちゃった。」と言う場合,あなたはどんな単語を思い浮かべましたか?
“forget(過去形=forgot)”
が思いついた方,いらっしゃいましたか?
私たちは,日本語をそのまま英語に訳して,つい
“I forgot my key.”
のようにしてしまいがちです。
でも,この “forget”という単語の基本的な意味は「忘れる」とは言っても,
「思い出せない」というニュアンスを含んでおり,「記憶にない」という感じになるんです。
なので, “I forgot my key.”と言った場合は,
「鍵という存在自体を忘れちゃった」
と誤解されてしまうかもしれません。
この場合は, “leave”という単語を用いて表現します。
“leave”には,「去る,出発する」という意味があり,「去る」の中には「自分が去る」と
「置き去りにする」の意味があります。
ですので,「鍵を忘れちゃった」は,
“I left(leaveの過去形)my key.”
と表現するんですね。
“my key”を, “my wallet(財布)”や “my smartphone(スマホ)”にすることでいろんなパターンで表現することができます。
でも,なるべく忘れ物はしないようにしましょうね!
―日本語のまま英訳すると危険な英単語―
“forget”という単語は,「記憶にない=覚えていない=忘れる」という意味合いを持つ単語でしたね。
この他にも,日本語の感覚で訳してしまうと意味が通じなくなってしまうものがいくつかあるんです。
その一つが 「遊ぶ」。
「遊ぶ」と聞くとまず, “play”という単語を思いついた人も多いハズ。
A: “Where are the kids?”(子どもたちはどこ?)
B: “They’re playing outside. (外で遊んでいるよ。)
などのように使うことができます。
でも,これは「子ども限定」。
大人でも「明日は友だちと遊ぶ予定なんだ。」と言いたい場合に
“I’m going to play with my friends tomorrow.”
なんて言ってしまうと,ちょっと違和感を持たれてしまうかもしれません。
「友だちとおままごとでもするのだろうか?」
なんて思う人はいないと思いますが,そんなニュアンスが含まれているのです。
なので,大人が「遊ぶ」という場合は,“hang out”を用いて表現します。
“I’m going to hang out with my friends tomorrow.”
と言います。
“hang out”には,「(特に用事もなく)ぶらぶらする,遊ぶ,よく出入りする,たむろする」などの意味があります。
“Let’s hang out next week.”(来週遊ぼうよ。)
“I hung (hangの過去形) out with my best friend today.”(今日は親友と遊んだんだ。)
のように,友だちと「遊ぶ」と言いたい場合に使うことができるんですね。
また, “hang out”には,「(洗濯物を)外につるす(干す)」の意味もあります。
ほら,”hanger”(ハンガー)も吊るす物じゃないですか。
そこに “out”をつけて,「外に(洗濯物を)干す(吊るす)」となるんですね。
―「会う」って英語でなんて言う?―
「また会いたいな。」
遠くに住んでいる友人と,電話などでそんな話を刷る場合,
“I want to meet you again.”
のように “meet”を使ってしまう人,意外と多いんです。
正しくは,
“I want to see you again.”
“meet”ではなく,“see”を用いるんです。
「でも辞書には[会う]は “meet”って載ってるけど。」
と思いますよね。
確かに, “meet”は「会う」ですが,主に「初めて会う人」や,
「時間や場所などを約束して会う」場合に用いるんです。
上記の場合は,すでに会ったことのある友人なので “see”を用いて
“I want to see you again.”となるんですね。
「でも,会ったことのある人と約束して会う場合は?」と疑問に思いませんか?
よく英語表現の説明では,
「初めて会う人には “meet”」
「会ったことのある人には “see”」
「時間や場所などを約束して会う場合は “meet”」
「見かけた場合は “see”」
「偶然会った場合は “met”(meetの過去形)」
と様々説明されています。
もちろん,間違いではありません。
使い方によっては “see”と “meet”って会話の流れから判断する必要があったりと,ちょっと微妙なんです。
でも基本は
【meet】
・初めて会う場合
・時間や場所などを約束して会う場合
【see】
・すでに会ったことのある人と会う場合
・偶然見かけた(会った)場合
・時間や場所などを約束して会う場合
と覚えておけば大丈夫。
って,あら・・・「時間や場所などを約束して会う」が両方にあるではないですか!
そうなんですよ。
面識のある人とでも,
「事前に約束をしていた場合は “meet” も “see”も使える」んです。
なので,友だちと映画に行くために
「渋谷で5時!」
という場合は,
“See you in Shibuya at 5.”と言うこともできますし,
“Let’s meet in Shibuya at 5.”のように言うこともできるんです。
わたしも,仕事などでネイティブの人と約束している場合,
“See you at the studio at 1.”(スタジオで1時に会いましょう。)
“I’ll meet you at the studio at 1.”(スタジオで1時に会いましょう。)
のように言われることが多々ありますよ。
― “forget…forgot”…―
「鍵を忘れちゃった。」は, “I left my key.”でしたね。
「家に鍵を忘れちゃった。」は, “I left my key at home.”。
くれぐれも, “forget”を使って,
“I forgot my key.”(鍵[という存在を]忘れちゃった。)としないように気をつけましょう。
そんなワタクシ,今では
「あれ?何をしようとしていたんだっけ?」
と,”forget” することが多くなってきた気がするんです。
これ,気のせいでしょうかね。
きっと気のせいです…。
それでは,また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。