あなたは「シュトーレン」というお菓子を知ってますか?
私の家ではクリスマスの少し前から「シュトーレン」を食べるのがいつしか習慣になっています。
今年もナッツが零れないようにスライスしていると、急に「シュトーレン」の語源が気になりだしてしまいました。家人のあきれ顔に見送られテーブルを離れました。
早速調べると「シュトーレン」は元はドイツ語でStollen。但し発音はドイツ語では「シュトレン」となり日本語の「シュトーレン」と少し違いますね。
さてなぜドイツ語かというと、こちらでお話している単語DNAはヨーロッパのほぼ全ての言語の大祖先。なので例えばドイツ語にもフランス語にもここで話題のDNAを持つ可能性が高いんです。そしてDNAがあれば、そこから多分他の英単語との関連性が辿れるからです。
さてStollenのDNAは STEL「ステル/立てる、置く」。
それと関連してお話しする英単語はinstall, stole, stalk, still等。
<大型パンの存在感?>
さてStollenの単語DNAはSTEL「ステル/立てる、置く」。繰り返しますが、このDNAがドイツ語のStollenを生みました。
元々大量の粉から作る大型パンみたい。大きなパンがドーンと立っている/置かれている感じを想像しちゃいますね。
ちなみにドイツ語のStollen「シュトレン」の最初が大文字なのは、ミスではありません。ドイツ語では名詞は全て大文字で始まります。
DNA STEL「ステル/立てる、置く」→ 大型パンになる→シュトーレンStollen (独語シュトレン)
お話は英語に戻ります。
<PC関連の単語にも>
install(インストール/アプリなどを入れる)
綴りはDNAから変化していますね。「オー」という発音がaとlで表されています。英語ではalやallを「オー」と言う場合が多いです。例えばalways「オーウェズ/いつも」。
さて、installはアプリなどをシステム内に立たせる、置くというイメージでしょうか。またinstallation artというとひと昔前に流行った、展示空間全体を作品として表現するスタイルの芸術になります。
STEL(立てる、置く)⇒install(インストール/アプリなどを入れる)
<graduation stoleって?>
stole「ストール(やや長め広めのマフラー状の衣服」
これは直接的にはラテン語のstola(ストラ)という衣服から。stolaは元々「衣服、着衣」のような広い意味だったらしいです。「立てる」意味が薄まり「着る、身につける」になったのかも。
卒業式に着けるのは graduation stoleと呼ばれるらしいです。
STEL(立てる、置く)⇒ stole(ストール/やや長め広めのマフラー状の衣服)
ちなみにsteal「スティール」(盗む)の過去形stoleは無関係。同じ綴りは偶然の一致ですの
で。念の為。
<stalk 獲物を狙い忍び足で>
stalk「ストーク/(獲物を狙い忍び足で)歩く、ストーカーする
発音が変化していますが、上で述べたように alの発音がオーになっていますね。
stalkのDNAがSTELなのは(足をつっぱり立っているように歩く→ぎこちなく歩く→)忍び足で獲物を追う….の感じに変化した、という説があります。気分を害する人がいたらすみませんが、日本語のストーカーは英語で書けばstalkerです。
STEL(立てる、置く)⇒ stalk(ストーク/獲物を狙い忍び足で歩く、ストーカーする)
<still life (picture)で静物画>
still「スティル/じっと、静か」
still「じっと、静か」は次のような意味の連想かも。立つ⇒(じっと、静かに)立つ⇒じっと、静かに(立つ)
ちなみに、スチール写真という言葉を聞いたことありますか?これはa still life (picture)で静物画/写真。
花・置物など動かない静物の絵や写真。静物だからじっと静かで。nですね。繰り返しになりますがsteal a picture (写真を盗む)ではありませんね。
さらにstill には状態が続いているのを表す「まだ・依然として」の意味もあります。
He is still there.
(彼はまだそこにいる。)
これは「変わらず(状態が続く)⇒静かにじっと(状態が続く)⇒まだ・依然として(状態が続く)」のように意味が変化したのかもしれません。
STEL(立てる、置く)⇒still(スティル/じっと、静か→)(まだ・依然として)
今日はドイツ語からDNAに遡り、また英語に入りなおして関連語を探りました。Stollenに舌鼓を打ちながら、DNAの面白さも味わえると良いですね。
See you next time,
Jiro
<英語版>
日本語で内容を理解した上で今度は英語で理解してみる☆
↓ ↓ ↓
https://worldlife.jp/archives/16713
<今週のJiro’s Quiz>
次はある曲のドイツ語名。
日本でもお馴染みの曲、さあどちらでしょう?
Stille Nacht(発音は「シュティレ ナハトゥ」)
1. サウンドオブサイレンス
2. きよしこのよる
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正解は 2.
英語はSilent night (サイレントナイト)
1. はSound of silence
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員