大学3年時で留学したアメリカの大学。キャンパス片隅にあったコート。同い年位の学生達とバスケットボールをした時のこと。
ボールを取り合あったりパスやシュート。秋の橙色の夕陽を受け気楽な数十分間。
バスケが中学時代の部活だった私。動きで私以外は未経験者だとすぐ知れました。
うっすら汗もかき、そろそろお終いという時。Mike―私の印象ではマリファナ中毒―がボールを地面にドリブルしながら私に一言。
You should play. (bong, bong, bong)
そう言われた気分、分かりますか?訳せば「君はプレーすべきだ」(練習不足だぞ。たるんでるなあ。もっとやれよ) って言われたみたい。
アメリカで意外な体育会系的セリフ。えっと思うほど強制的に聞こえました。
(ナニコレ?「~するべきだ」とか言う?初心者でしょ?マリファナのせい?)
正直ムッとしたのが本当のところ。でもなぜそんな言い方なんだろう~と少し疑問も。
彼らに英語で聞いてみる自信はなく、私は一人食堂への流れから抜け図書館へ。すると…
<無駄にならなかった空腹>
確かにShouldには「~べき」に当たる意味がありました。しかしofficial orders or instructions(公的命令・指示)だと。例えば
Passengers should proceed to Gate 5.
(乗客の方は5番ゲ―トへ)
でも他にgive or ask for advice(助言する、を頼む)意味もあったんです。「~したら、した方がいいよ」みたいな軽い感じの使われ方のよう。例えば
You should read his book.
(彼の書いた本を読んだらいいんじゃない?)
当時の私の頭の中はshould=「すべき」だったみたい。
(shouldには「~すべき」じゃなく「~した方がいい」位の意味もあるんだ。まてよ「した方がいい」ならhad better?…)すきっ腹のままhad betterもついでに。
had better :used to threaten someone(脅迫的に使われる)とありました。例えば
You had better keep your mouth shut. (何も言わない方がいい)
「身の為だぞ、さもないと」という感じかもしれませんね。
結局私の知識不足からくる勘違いだったんです。結局Mikeは無理強いではなく「(結構やるね。また)僕らと一緒にやらない?」位の意味でshouldを使ったらしいって分かりました。
You should play.
(結構うまいね。またぜひ一緒にやろうよ、やった方がいいよ)
食堂は時間が決まってたんですが、ぎりぎりセーフでしたw
<バスケ話の値打ち>
さて帰国後教員になり助動詞shouldが出てくると、よくこのバスケ事件に触れました。教科書にない情報のせいか、生徒達はよく聞いてくれました。
体験に基づいた情報って、教える側だけでなく習う方にも値打ちが違うようです。
海外で生きた情報を学べる日が一日も早く来ると良いですね。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員