今回はNYでの、おやつについてお話したいと思います。
まず、我々ミュージシャンのおやつと言うと、たいてい決まっていて、スタジオに入るときには、バナナやリンゴと、ボトル・オブ・ウォーターを持って入ることが多いです。
ジャズの場合、レコーディングの本番は、ケイタリングなど用意されている場合もありますが、リハーサル等は大概、各自持参が多いです。
フルーツだけ?お菓子は?って聞かれそうだけれど、ジャズミュージシャンは、近頃は結構ストイックに健康オタクな人が多く、昔懐かしき時代の、不健康な(?)音楽から、健康志向な音楽へ、ミュージシャン自身も変わってきています。
ベジタリアン(様々なタイプの菜食主義者の総称)はもちろんのこと、ヴィーガン( 卵や乳製品を含む、動物性食品をいっさい口にしない「完全菜食主義者」のこと)の人までいます。
現在のニューヨーカーは、ほぼほぼ禁煙している人が普通なので、タバコの話は全く出ませんし、ジャズミュージシャンでも、アルコールは飲まない、と言う人がどんどん増えてきています。
ジャズと言えば、ブラックコーヒーとウイスキーとタバコ、もくもくとたなびく煙草の煙の中で、ほろ酔いで聴くサクソフォン(!)、そんなイメージがあったのは、もう半世紀以上前、昔むかしの事なんですね。
アメリカン・スナック
さて、一般的なおやつ、いわゆる、普通のアメリカのジャンクフード(お菓子)、ちょいと小腹が空いたときの代表格は、ポテトチップスとコーンチップスかな。
コーンチップスは、ワカモーレや、サルサソースにディッピングするとおいしいですね。ポップコーン、これも溶けたバターをたっぷりかけるとおいしい。指がべちゃべちゃになるけれど。映画には欠かせませんね。
コーンパフ、これはカールみたいな感じのです。濃いチェダーチーズ味がおいしい。(これらは、おせんべいとは違って、油分多く、カロリーもばっちり高めだと思われます。)
甘いものでは、ロリポップキャンディ、チョコレート、グミ、クッキーズ、etc。キットカットなど、日本のと比べると、半端なく甘いです。
たまにですけれど、苺大福とか、醤油のおせんべいなど、夢に見ることがあります(笑)。
苺大福はまず手に入りません。なので、上新粉、米粉を購入して、自分で作る、ですね。おせんべい等は、日本の3倍位の値段です。日本のスーパーには、置いてありますが、日本のデパ地下にあるような、超おいしいおせんべいは、まず、手には入りません。
アメリカ人があまりしないこと
アメリカ人があまりしないことの一つに、車の中での飲食があります。よっぽど、お腹が空けば別ですが、でもそれはあくまで非常食扱い。
私がいちどドライブに誘われた時に、日本から丁度ニューヨークに遊びに来ていた女子を2名ほど誘って連れて行ったことがあります。
彼女たちは、日本のお菓子を山ほど持ってきて、車に乗るなり、食べ始めました。子供ではなく、普通の大人の女性です。ドライブに行けば、車中でおやつを食べる、日本では普通なのかもしれませんが、世界ではそうでもないようです。
後で、ドライバーのアメリカ人男性に、思いっきりそこを笑われました。
そもそもですが、アメリカで大人はあまりお菓子を食べないように思います。日本だと、仕事中の休憩などで、お菓子を食べたり、机の引き出しの中に、休憩用のお菓子をストックしてたり、なんていうお話を聞きますが、こちらでは、コーヒータイムはあるけれど、そこでお菓子は食べない。
ニューヨーカーの子供のおやつ
子供のおやつベスト3は、小さなにんじんのジップロック詰め、カットセロリのジップロック詰め、ミックスナッツかな、と思います。あ、あとチーズやクラッカーもありました。
電車の中などで、学校にお迎えに来てくれたナニー(ベビーシッター)が、お腹がすいてしょうがない子供たちに、与えているのをよく見かけます。母親が、きっとヘルシー志向なのでしょう。日本では、子供に野菜を食べさせるのは当たり前と思いますが、アメリカでは、日本ほど食育が普通に行き渡っているわけではないので、なかなかすばらしいと思います。
というのも、いまだに、アメリカのゲットー(低所得者層のエリア)でのおやつといえば、特大大袋のポテトチップス(日本のポテトチップスの6倍位の大きさ)と、2リットルのペットボトルのコーラ(約$2)のイメージ。そんなおやつを食事がわりに一日中食べている子供たちも、いまだにいるかもしれません。
やはり食べ物は人間の命の源。食育と言う言葉も、アメリカでも頻繁に聞かれるようになってきました。オバマ元大統領の奥さんミシェルが、いろいろな学校を回って、人々に食事の大切さを解いていたのを、思い出します。
私たち大人が、ジャンクフードでなく、体に良いものをきちんと食べさせてあげて、平和で幸せな精神構造の子どもたちがこの先増えて行くといいな!と思います。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。