「え?今なんて言った?」と私は思いながら、イギリス人留学生を見た。
あまりに私の表情が固まっていたのだろう、イギリス人留学生は、もう一度ゆっくりと
「〇〇〇」と言ったのです。
それってもしかして、あの単語?それは私が一番初めに覚えた、とても基本的な単語でした。
洋楽の歌
私は中学生の時、洋楽を聞いて英語の勉強をしました。
特にマライア・キャリーの歌が大好きで、歌詞カードを見ながらまじめに翻訳し、つじつまの合わない日本語をなんとなく理解しながら、聞いていました。
その頃、いつか外国人と英語で話す日を夢見ていました。
当時私が聞いていたのはアメリカの歌が多く、アメリカの英語はリエゾンと言われ単語を繋げて話し、一つの単語の発音とは変わるという現象が起きる事があります。これは英語を聞き取りにくくさせるポイントです。
マライアキャリーの歌によく出てきた
「But I」を「バタアイ」と言っているのを聞いて、一番に覚えました。
他のリエゾンは、こんなに単語が違って聞こえるんだ!と、よくパニックになりながら聞いていました。
実際に外国人と話してみると
そして、長年の夢が叶い今の施設で働きだして、本当に外国人と英語で話すお仕事に就くことができました。
いざ本当に外国人と話してみると、英語を聞くって難しい!リアルに焦る日々。
アメリカ人だけじゃなくて、いろいろな外国の人と話す英語は、耳慣れない単語が時々出てきます。
私がお世話してきたのは、イギリスの留学生が多かったので、主にイギリス英語をよく聞きます。
同じイギリス人でも、単語の発音やスピード、使う言葉や表現が違います。
一番初めに覚えた単語は、「フラット」。何のことか分かりますか?
実はこれ、アパートやマンションの事。英語を習ったとき、アパートやマンションの事を「アパートメント」と覚えたのに、イギリス人留学生のアパートの下見に一緒に行った時、留学生の男の子が「フラット」を連発して言っていて、私はしばらくしてやっと理解しました。
アパートの事をイギリス人が「フラット」と言うんだという事を。
そして次は「フリッジ」
一瞬固まる私を見て、イギリス人留学生も慣れてきたのか、携帯の翻訳機で単語を打ち私に見せてくれました。
そこには「冷蔵庫」と書いてありました。
本来は「リフリジレイター」という単語ですが、イギリス人留学生はそれを短く話しました。
こうしてイギリス英語を少しづつ覚えていきました。
初めてお世話をしたイギリス人留学生は、とても早口でした。引っ込み思案で物静かな男の子、施設内を歩く時いつも頭を覆うタイプの大きめのヘッドホンを付けていて、話しかけるのもはばかられるようなタイプ。
次に来たイギリス人留学生は、同じ大学の後輩だったのですが、全然タイプが違いました。
こちらは社交的で、来る前から日本のリサーチをしてきて、地元のアーチェリークラブに入りたくて、日本語もままならない状態でクラブに入っていたぐらい、人の中に入って行くことが大好きなタイプ。
体が縦も横も大きくいつも笑顔、廊下で会うとニコニコと体ごと揺らして笑うようなタイプで、片言の日本語を覚えては、楽しそうに施設内の日本人と話していました。
そんな社交的な彼のアパート決めるための下見は、ジョークと笑いがあるとても楽しいものでした。
私は以前お世話したイギリス人留学生の時に覚えた単語を使い、いかにもイギリス英語に慣れているような顔をして、「フラット」や「フリッジ」を使いました。
やっぱり耳慣れない単語が
そしてしばらくすると、やっぱり「え?」という単語が出てきました。
一番初めにお世話したイギリス人留学生と違い、今回のイギリス人留学生は社交的なだけに、私の「英語がわからない反応」に気づくのが早い。
「え?今なんて言った?」と私は思いながら、イギリス人留学生を見たら
あまりに私の表情が固まっていたのだろう、イギリス人留学生は、もう一度ゆっくりと
「〇〇〇」と言ったのです。
それってもしかして、あの単語?それは私が一番初めにリエゾンで覚えた、とても基本的な単語だったんです。
イギリス人留学生は、もう一度口を尖らせてゆっくりはっきりと
「ブット」と言いました。
それは「But」の事でした。
洋楽を聞いていた時、アメリカ英語の一番定番のリエゾン、
「But I」を「バッタァイ」で覚えていた私は、衝撃を受けました。
「バッタァイ」と言わない!
英語をいかにもこなれた感じで話そうと、必死になってリエゾンをいろいろ勉強していた、そんな私の鼻をくきっと打ちおりました。
イギリス人がリエゾンを頻繁に使っているのを、私はあまり聞いた事がありません。そのため、私のようなヒアリングに不慣れな日本人にも比較的聞きやすく、英語の会話をしやすいのだと実感しました。
さまざまな英語の発音
このように私達が学んできた簡単な単語も、外国では国の違いで発音が変わります。
外国人とコミュニケーションを取りたいと思う時、その発音の違いを踏まえてヒアリングをするといいと思います。
そして、これも仲良くなれる大きなきっかけの1つ。発音が違って理解できなかったとき、私たちはその言葉の意味を聞くことができるのです。
話すという事は、こんな風にわからない単語が出てきます。それを面白いと感じながら、外国人に聞いたり話しかけたりすると、楽しくコミュニケーションが取れます。
英語を学び外国人とコミュニケーションを取りたい時、さまざまな違うケースを楽しむ気持ちが、幅広いコミュニケーションを取る秘訣だと思います。
京都が大好きで光華女子学園へ進学、卒業後、大阪の企業で経理課勤務。仕事が肌に合わず、夢だったイラストレーターを目指して大阪芸術専門学校へ。賃貸住宅ニュース雑誌社へ派遣社員として就職。その後地元へ帰り、地元のフリーペーパーやパチンコ店などのポスター制作するグラフィックデザイナー、ベジタリアン・ヴィーガンのお料理の先生、バンドのドラマー(ジャズ・ロック・軽めのフュージョンなどジャンルを問わず、地元ではセミプロとして活躍する。プロドラマー海野俊介氏に師事)、お琴奏者(趣味で名取まで取得)、演劇が好きで劇団にも少しだけ所属・・・など様々な経験を経て、英検3級しかありませんが、縁あって現在は、某施設で外国人担当のお仕事をしています。