ニューヨークの新市長エリック・アダムス氏は、Covid-19 の最近値、新規感染者数と入院患者数減少を受け、今月3月7日よりシアター、ジム、レストラン、公立学校などの屋外公共施設でのマスク着用とコロナワクチン接種証明書提示を全面撤廃すると発表しました。
これは凄い。とうとうコロナ禍の収束か。
唯一、5歳児以下のワクチン接種は認められていないため、5歳児以下のプリスクール(保育園・幼稚園)のみ、マスク着用義務ありとのこと。これには賛否両論ありますが、とりあえずそう発表されました。
バスと地下鉄は、相変わらずマスク着用義務ありとのこと。
レストランやシアターは、オーナーや主催者の意見を最優先するそうです。レストラン自体でワクチン接種証明書提示を続けるのであれば、それはそれで良いとの事。
ニューヨーク市によると、約880万人の市人口のうち、約640万人がワクチン接種を完了と発表。3月3日の新規感染者数は、一週間平均で約500人。1月上旬のピーク時には4万人を超えていたので、約100分の1に減った計算となるそうです。
感染者数が増えれば、またマスク着用等へ戻ることもあり得るそうですが、とりあえず前を向いて進んでいこう、と言う姿勢です。
ニューヨークの街は、コロナのパンデミックに伴って、色々と弊害も出ました。少しでも元のように、街へ出かけたいのは山々なのですが、弊害の一つに、犯罪が増えています。この長期のロックダウンや失業などにより、人びとの怒りや精神的不安が煽られたものと思われます。
昨年もちょうどこの3月位に、アジア人へのヘイトクライムが多発し、社会的にも随分と問題になりましたが、今でも毎日のように犯罪が発生しています。
先週も、日曜日の夕方約2時間の間に、同一犯による事件が7件、、アジア人女性だけを狙った、殴られたり刺されたりという事件が、マンハッタン内で起こりました。
また別の日には、地下鉄駅のプラットホームで、アジア人女性が突き飛ばされて線路上に落とされ、亡くなったという痛ましい事件もありました。
在NY日本国総領事館によると、地下鉄駅や車両内など交通機関での犯罪率は、昨年と比べると65%増えているそうです。これらの原因については、多分いくつか考えられます。
ニューヨークの地下鉄が、24時間運転に戻ったこと。ホームレスが、その間地下鉄内やプラットホームで寝ることができるようになったこと(ニューヨークは冬の気温が零下が続いたりととても低いので、地下鉄駅構内や列車内はホームレスにとって絶好の休息場所なのでしょう)。
またリモートワーク化で自宅で仕事ができるようになったため、公共交通機関の利用者が減り、人の目がとどきにくくなった為。そしてコロナがピークだった時、軽犯罪者の刑務所が解放されたこと。これら全てが関連しているのではないかと思われます。
本年からのニューヨーク、エリック・アダムズ市長は、もとニューヨーク警察だった人。2月末には、ホームレスと地下鉄の安全についてのプロジェクトを立ち上げる、と発表されたのですが、いまだ詳細については、わかっていません。
ホームレスの問題については、ホームレスシェルターを充実させればいいだろうと、私も考えたのですが、そのホームレスシェルターでの暴力事件が後を絶たず、結局シェルターに入った人も、すぐ出てしまうのだそうです。自分の身を守るために。ホームレスや地下鉄の問題は、表面だけでなく、根本を改善しなくてはきっと何も変わらないだろうから、これはこれで根深い問題です。
昨日、久しぶりにアッパーウェストサイドのブロードウェイを歩いてみましたが、どこもかしこも目につくのは、テナント募集の張り紙。あちこちの店舗やレストランなどが潰れてしまいました。早く、以前のように安全で賑やかなニューヨークが戻ってきて欲しいです。
ここまでくれば、もう春はすぐそこ。あと一息、がんばりましょう。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。