“I don’t think he gets it.”
(彼,理解してないと思うよ。)
私はアメリカ留学中,とあるボランティア活動をしておりました。
小学生から年配の方々までいる年齢層の幅広い団体だったのですが,
ある時,5人くらいで輪になって打ち合わせをしていたのです。
その時,「誰がどこの担当をしてどのようなことをするのか。」というような
ことを話し合っていた時に,小学生の女の子が発したのがこの言葉。
紛れもなく,私のことを指して言ったその言葉に,
イラッとして,「げ,この子なんか嫌だな…。」と内心思ったのでした。
と同時に,
「 “get”って何気なくいろいろ使ってるけど,[わかる,理解する]っていう意味もあっておもしろいな。」
なんて,当時から言語に貪欲なCozyでございました。
ということで,その “get”という単語。
「得る・手に入れる,買う,理解する,〜の状態にする」等,たくさんの意味がありますが,基本は「得る・取る・手に入れる」ということ。
でも,似たような単語に “take” があるけど,どのように使い分ければ良いのでしょうか。
― “get” と “take”の違い…1―
いろいろな意味や使い方がある “get” “take”ですが,
今回は「得る・取る・手に入れる」を中心に考えてみたいと思います。
次の状況を頭にイメージしてみてください。
雨の中,傘をさしてコンビニへ行きました。
店の入り口の側には傘立てがあります。
「似たようなビニール傘があるなぁ。自分の傘はちょっと大きめだし,
開くと大きなカエルのイラストが描いてあるし,誰も間違わないでしょ。」
と,傘入れに傘を入れ店内へ入りました。
お会計を済ませ店から出ると,
「あれ,自分の傘がない…。
あ,あの男の人がさしてる傘,カエルのイラスト…
あれ,自分のじゃん!」
この状況(あの男の人が私の傘を取った。)を英語にする場合,
A) That man has taken my umbrella.
B) That man has gotten my umbrella.
のどちらが正しいでしょうか。
…
…
実はこれには大きな違いが有るのです。
―イメージから学ぼう―
「自分から働きかけて手に入れる」
というニュアンスがあります。
反対に“get”は,基本的に「自分以外からの動きがあって手に入れる」感じ。
英会話の決まり文句集などでは,ショッピングのフレーズとして,
“I’ll take this one.”
(これをいただきます。)
と紹介されているのを見聞きしたことがありませんか?
これも,「私はこれを[自分の意思で]いただきます。」というニュアンスなんですね。
この傘の例では,
「あの男の人=That man」が,自分から働きかけてその傘を手に入れています。
ですので,ここでは “get” ではなく “take”を使って
“That man has taken my umbrella.”
(あの男の人が私の傘を取った。)
となるのです。
― “get” と “take”の違い…2―
では, “get”はどうでしょうか。
先にも述べたように “get”は,
「基本的に『自分以外からの動きがあって手に入れる』というニュアンスです。
例えば,
“I got a lot of phone calls today.”
(今日はたくさん電話がかかってきた。)
“I got many junk mails today.”
(今日はたくさん迷惑メールを受信した。)
電話も迷惑メールも,誰かがかけてきたり送ってきたりした結果,自分の手に入ってきます。
このように “get”は,「他者からの動きがあって自分の手に入ってきた」イメージです。
この “get”. “take”イメージをさらに対話文で見てみましょう。
A: Oh, I probably got a cold.
(ああ,風邪をひいちゃったかも。)
B: Are you okay?
(大丈夫?)
A: Yeah, I’ll take medicine after lunch.
(うん,お昼を食べたら薬を飲むよ。)
A: I probably got a cold. という文章には, “get”が使われています。
これは,「外部からの風邪のウィルス(自分以外)が自分の体に入ってきた」ということ。
なので “take”は使えず,“get”を用いて表しているのですね。
そして,
A: Yeah, I’ll take medicine after lunch.
こちらは,「昼食後に『自分から』薬を飲む」ので, “take”となるのです。
ちょっとはイメージがつきましたか?
― “I don’t think he gets it.”の “get”は?―
今回は,多くの意味や使い方のある “get” “take”の中から,「取る,得る,手に入れる」という意味合いを持つ部分にフォーカスをあてましたが,冒頭の
“I don’t think he gets it.”
(私は彼が理解しているとは思いません。)
の “get”は,辞書では「理解する,わかる」という訳で紹介されています。
もちろんその訳で合っていますが,
基本的には「取る,得る,手に入れる」というメインの意味から考えることができる,
と私は思っています。
“I don’t think he gets what I said.”
(私は彼が私の言ったことを理解しているとは思いません。)
のように,「私が言ったこと」を彼は
「得ていない,手に入れていない(彼のものにしていない)=理解していない」
と考えることができるからです。
辞書にはたくさんの意味が載っています。
これを全部一つ一つ覚えるのは大変ですよね。
“get” や “take”は「マジか…。」とため息が出そうなくらい色々な意味が載っています。
でもどの語彙も,そのメインとなる意味があります。
そこからある程度は見当をつけることもできるのです。
ある程度は…ですが(^_^;)
ではどのようにして,見当をつける力を見に付けるのか。
英語に限らず,言語はスポーツや楽器演奏と同じ,と私は思っています。
一朝一夕では身につきませんし,一旦身についても続けなければ鈍ってしまいます。
ですので,今読んでいただいているような記事から知識として知り,
英語を読んだり聞いたりし,さらに意味を理解したら声に出す。
それを続けることで,「感覚」を少しずつ養うことが可能となります。
この勉強法については,私,Cozyが自信を持っておすすめするのですが
その詳細は今度紹介させていただきますね。
さて,
“I don’t think he gets it.”
(彼,理解してないよ。)と言われたその時の私…。
まあ,理解できてませんでしたわ,正直。
図星だったので「イラッ!」としたのでしょうね。
小さいですねぇ,
チキンですねぇ,
あ〜,若気のいたり。
ま,それが英語を頑張るきっかけの一つとなったので,
結果良かったのかもしれません。
名前も顔も覚えてないけど,あの子に感謝です!
Thank you!!
まだまだ勉強中ですが,彼女の言葉を思い出しながら
これからも英語道を進みます!
みなさんも一緒に頑張りましょうねー!
それでは,また来週!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。