英語が苦手な日本人とよく言われますが、
「本当はそんなことないんじゃないかな?」
と思うことが時々あります。
それは「日本人の英語の語彙量」です。
いや、、そんな英語とか勉強してないし、単語とかほとんど覚えて無い・・・
と思われるかもしれませんが、少し考えてみてもらいたいことがあります。
私たちが普段話している日本語ですが、
ちょっと意識してみると、かなり「英語を使っている」ということがわかります。
いわゆる「カタカナ英語」というものです。
もちろん英語だけではなく、他の言語を借用したカタカナ語もあります。
さて突然ですが、もしもこう言われたらどうしますか?
「これから24時間、一切のカタカナ語を使わずに過ごしてみてください。」と。
たぶんかなり難しいです。
これ、実は昔、ゲームとして友達とやったことがあるのですが、
なかなか難しい。
逆にカタカナ以外で何て言うんだろう?という言葉も多くて、
10分も続きませんでした。
では、次の文章をカタカナを使わずに言ってみましょう。
「あ、明日は隣町のスーパーでトマトが安いんだった。今日のうちに車にガソリンを入れておかなくちゃ。」
さて、どうでしょう?
言えましたか?
こんな感じになると思います。
「あ、明日は隣町の食料品店で赤茄子が安いんだった。今日のうちに車に揮発油を入れておかなくちゃ。」
食料品店はともかくとして、「赤茄子」や「揮発油」なんてすぐには出てきませんよね。
このように、普段、私たちが使っているカタカナ英語って、実はたくさんあるんですよね。
それらを活用すると、もっと英語でのコミュニケーションがとれるのではないか?と思うのです。
でもそれには条件が2つあります。
それは、
1つ目は、「発音・イントネーションは、カタカナと英語では違うということを知ること」
2つ目は、「発音が通じない場合は、なるべく文章で言うこと」
です。
何も、ネイティブのように発音しなければならない、ということはないのです。
話す相手だって、我々のことを英語のネイティブと思っていないので、
一生懸命に聞いてくれようとします。だから、日本人の英語で十分なことも多い。
ちょっとだけ発音とイントネーションを意識すれば、今知っているカタカナ英語でも、たくさんコミュニケーションが取れると思うのです。
以前、こんなことがありました。
カリフォルニア州のアナハイムにあるマクドナルドでのこと。
朝マックしようと、カウンターに並んでいると前にはどう見ても日本人という家族。
お父さん、お母さん、小学生高学年くらいの男の子と、中学生くらいの女の子。
なんだか言い合っています。
どうやら、「誰が注文するか」で揉めていたよう。
「ここはお父さんでしょ?」と、お父さんが張り切って注文をし始めました。
ハンバーガーやコーラはちゃんと注文できたのですが、
Anything else?(他にご注文は?)と聞かれ、一生懸命に
「ポテト、ポテト!」
と言われていました。
店員は「?」という顔で、
Sorry, I don’t understand. (ごめんなさい、わかりません。)
と言っています。
そこでお父さんは、もう一度
「po – te – to!」「ポーテートー!」
それでも通じません。
そこで私は『お節介かなぁ』とは思いつつも店員さんに、
“I guess he’s trying to say “potatoes.” That should be “French fries.””
(たぶん彼はポテトと言いたいんだと思いますよ。フレンチフライね。)
と言うと店員さんも、
“Aha!” と表情を明るくし、数を聞いていました。
お父さんは、思わず私に寄って来て
「サンキュー!サンキュー!」と握手を求めて来られました(笑)
この、いわゆる「ポテト」。
単語自体は英語ですが発音は完全にカタカナです。
アメリカ英語で言うなら “テイ”に強勢を置いて、「プ テイ~ ロウ」や「プ テイ~ ドウ」という感じ。
「日本で日常的に使っているものの単語が“英語”でも、実際は “カタカナ英語”。
だから、できるだけ英語らしく言わなきゃ。」
ということさえ知っていて心がけていれば、そのお父さんも自力で注文できたかもしれません。
でも、できたらそこで
“I’ll have someポテイト and some ケチャップ on the side.”
のように、文章で言うことができたのであれば、
ポテトの発音自体は通じなくても、Pのつくものとケチャップで、
店員さんも想像しやすかったかもしれませんね。
まあ、いわゆるフライドポテトは、英語では“French fries”と言うのですけど(笑)
それはとりあえず“potatoes”で通じればよいし、
「あ、French friesって言うんだ!」と自分の知識の中に後から追加すればよいのです。
さてその他にも、発音がちょっと違うものはまだあります。
それは現在、世界で猛威を振るっている新型コロナウィルス。
このウィルスという発音はラテン語なのですが、
英語と思ってそのまま「コローナウイールス」と言ってしまうと通じません。
ウィルスはVirusと書きますが、その発音は「ヴァイラス」に近いのです。
Coffee(コーヒー)は、「coの部分」に強勢を置いて “カフィ”。
Banana(バナナ)は、「naの部分」に強勢を置いて “ブナァ~ナ”。
Ticket(チケット)は、「チ」ではなく「ティ」として “ティキット”。
ちょっとイレギュラーですが、すでに英語としても使われている日本語のカラオケも
日本語だからといって「カ・ラ・オ・ケ」では難しい。
これは「オ」に強勢を置いて、 “ケリオキー“のように発音します。
このように、「知っている単語」であっても、実際はちょっと違う。
その違いを学習しておくだけでも、
日本人の「使える英語の単語量」はグンと増えると思うのです。
そこにちょっとだけ文章で伝えることができれば、
発音の違いはかなりカバーできるはずです。
さあ、もっと自信をもって語彙力をつけていきましょう。
でも発音の違いってどうやったらわかるの?
辞書の発音記号もよくわからないし…。というあなた!
ご安心ください。
現代にはとても便利なものがあるのです。
それはTTS(Text to Speech)という音声読み上げ機能。
最近ではいろいろなTTSがありますので、検索して自分に合うものを探してみてください。
ほとんどのTTSでは、アメリカ英語やイギリス英語を選択できますので、
そこでカタカナと英語のアクセントや発音の違いを感じてみてくださいね。
でも、カタカナ英語と思っていても、実は全然意味の違う「和製英語」
というのも結構ありますので、その点にも気を付けましょう。
その代表格は「セレブ」。
そう、あのお金持ち代表のような顔をしている語、セレブです。
その「セレブ」を含めた和製英語については、また次回をお楽しみに。
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。