So many countries, so many customs.
(所かわれば品かわる)
といいますが、
今日は、体調を崩したときの、とっさの救急処置の、日本とアメリカの違いについてのお話。
お腹を壊したり、風邪気味の時や歯が痛かった時、私がアメリカで教えてもらって、”ヒョエッ”と驚いたものを、お届けします。
腹痛にまさかの
時は、20年以上前に遡りますが、日本とニューヨークを往復していたとき、何か食べ合わせが悪かったのか、飛行機の中で、すごくお腹が痛くなったのです。片道14時間のニューヨーク、到着までは、まだ10時間以上あるという状況。
しばらくはじっと我慢していたのですが、あまりに苦しいので、スチュワーデスさんに、お腹が痛い旨伝えました。
私の中では、
”もし、ビジネスクラスにでも空きあれば、そこでちょっと、1-2時間でも横になって、休ませてもらえたりするかもしれない…”
って思ったのです。でも、そんな期待とは裏腹に、
”ちょっと待ってね”と言った後に案内されたのは、同じエコノミー席のはじ、トイレに行く人がどんどん通る、搭乗口のドアの前。そこにひざ掛けを1枚敷いて、ここに横になれ、と言うのです!
そんな場所にも驚きでしたが、もっと驚いたのが、その際渡されたもの。
なんと、
コカコーラ3缶!!
なぜコカコーラ?!って思いますよね。当時私も思いました。
今では分かりますが、アメリカ人の知恵で、コーラは、水分補給、糖分補給、そして炭酸は腸の動きを活発化させる、ということで、お腹を壊したときにはコーラがとても良い、と言われているんです。
お医者さんでさえ、普通にコーラがいいとおっしゃる、アメリカの常識のひとつ。今では分かっていますが、当時は初めてことだったので、面食らいました。
お腹が痛い、っていってる時に、こんな冷えた炭酸飲料をくれるなんて…。私が欲しいのは、体を温める毛布や、さ湯だったのですが…。
日本人の私には、コーラは白糖の甘みが強すぎて、あの液体の色も体に悪そう、冷たいものは身体が冷えるし、とネガティブな部分しか見えてこないのに。しっかりポジティブに捉えるアメリカ人です。
風邪を引いたら
さて、風邪をひいたときには。日本だと、生姜湯や、葛根湯かな。ネギ味噌湯なども聞いたことがあります。
アメリカだと、断然チ「キン・ヌードル・スープ」です。
鶏肉丸ごとでブロス(ダシ)を取ってあり、鶏肉の他に、野菜も入ってよく煮込んだ、短いパスタのスープ。とにかく体が温まります。普通に、これとパンでサパー(軽めの晩御飯)にしてしまう家庭もあります。寒いときにも欠かせないアイテムです。
友達が、風邪をひいたかもしれない、なんて電話で言ってきた時は、
「何か手伝えることある?食事や食材は大丈夫?ヌードルスープ買って行こうか?」
なんて言う感じで、誰かが具合が悪いときには、このChicken Noodle Soupは常套句です。
歯が痛くなったら
さて最後に、歯の痛み。これは、本当に厳しいものがありますよね。特にアメリカでは、保険料がすごく高く、よっぽど収入がちゃんとしていない限り、歯科の保険等には入っていませんから、治療費が全額負担で、これがまた目の玉が飛び出るほど高い。
簡単な一本の歯のレントゲンで1枚5000円、顔の周りをぐるっと回る、全部の歯がいちどに見れるレントゲンが約30,000円〜です。それに、治療費がかかってきますから、あっという間に、初診で数万円になるのです。なので、ちょっと位の歯の痛みだと、ついつい我慢してしまいます。
日本にいた時は、少しでも痛みがあれば、歯医者に行くのが当然だと思っていましたが、それは、なかなかそれは恵まれたこと。日本の医療保険制度は世界でも類を見ない素晴らしいものです。海外に出てみると、それが痛切にわかります。
外国にて、自分なりの精一杯の生活をしていれば、背に腹は変えられない、と言うことがあります。それで歯が痛かった時、周りの人に聞いてみましたら。
「バンゲイを買って塗りなさい」と言われたのでした。
調べてみたところ、Bengay と言う、肩こりや、腰痛、筋肉痛に効く、まぁその場しのぎの痛み止めクリーム。確かに、これを顎のあたりに塗れば、痛みはごまかせるかもしれないです。そうそう、タイガーバームのような感じかな。
さて、今回は、所かわれば品かわる、具合が悪いときの応急処置アメリカ編をお届けしました。まだもうちょっと寒い日が続きますが、
”If Winter comes, can Spring be far behind ?”
(冬来たりなば、春遠からじ)
この寒い冬の間しっかり体をいとうことによって、春からまたシャキッと外で活動出来るようになりますよね。冬ごもりとは、人間の身体にも必要なはず。今回お届けした応急処置が必要にならないよう、今をゆったりと過ごし、体調を整え、ご一緒に、あたたかな春を待ちましょうねぇ。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。