先日,台湾の友人から写真とともにこんなメッセージが届きました。
“I saw this dog walk into Hi-Life during Chinese New Year!”
(旧正月中,この犬がハイライフに歩いて入っていくのを見たよ!)
Hi-Lifeとは台湾のコンビニエンスストアのこと。
この黒いワンコさん,普通にコンビニに入ってくつろいでいるのだとか。
台湾では,このようにコンビニなどで犬を「見る」ってごく普通なのです。
動物に優しい社会って,う〜ん,ワンだふる!ですよねぇ。
犬だけに(笑)
ところで,この「見る」を英語で言うとどのような単語を思い浮かべますか?
“see”
“watch”
“look”
の3つの単語を思いついた方,多いのではないでしょうか。
でもこの3つ,使い分けできますか?
―使い分けたい3つの「見る」 “see” ―
冒頭に出てきたような,
“I saw this dog at a convenience store.”
(私はコンビニでこの犬を見ました。)
に使われているのは, “saw (seeの過去形)”です。
ちょっとこの文章の「状況」を頭に思い浮かべて見てください。
“I saw this dog at a convenience store.”
(私はコンビニでこの犬を見ました。)
・・・
「コンビニに行った時に,偶然この犬を見た。」
というニュアンスを感じませんか?
このように, “see”という「見る」は基本的に,
「自然に目に入ってくるもの」を見るときに使います。
無意識であったり,意識しなくても目に入ってきたりするような場合です。
I saw some butterflies.
(私は何頭かの蝶々を見ました。)
Can you see that tall tree?
(あの高い木が見えますか?)
という感じですね。
また,
“I went to see the show yesterday.”
(昨日,ショーを見に行きました。)
のように,「わざわざ出掛けて行って見る」という場合にも, “see”を使うことができます。
―使い分けたい3つの「見る」 “look” “watch” ―
対して, “watch” と “look”は「意識して見る」場合に用います。
“Look at this picture I took.”
(私が撮ったこの写真を見て。)
“Did you watch TV last night?”
(昨夜,テレビをみた?)
でも「この2つってどう使い分けるの?」と思いません?
実はちょっとした違いがあるのです。
“look”は,「この写真を(見て)」のように
その対象となる物や人に「目線を向ける」という感じ。
“watch”は,テレビやスポーツの試合のように,
何か「動きのあるものを見る」また,「変化などがないかを注意して見る」という感じです。
―もっとわかりやすく―
とはいえ,やはり頭が混乱するかもしれません。
“see”は,「自然と目に入るもの」「わざわざ出掛けて行って見るもの」でしたね。
「観光=sightseeing」という単語を関連付けてみましょう。
この中にも “seeing (see)”が入っていますね。
旅行では,その土地の風景や文化,習慣などが自然と目に入ってきたり,
また目的の場所などわざわざ出掛けて行って見たりしますよね。
なので, “sight(場所)+seeing(見ること)=観光”。
“look”は,「対象の物や人に目を向ける」こと。
“He has good looks.”
(彼はルックスが良い。)
「振り返って見てみたら,案外,彼はルックスが良かったのね。」
みたいな感じでしょうか(笑)
そして “watch”。
バードウォッチングを思い浮かべるといいかもしれません。
「動きのある」鳥を意識して,「変化などがないか」を見ているんですね。
また,
“I’ll go to the restroom. Could you watch this bag for me?”
(ちょっとトイレに行ってくる。このバッグ見ててもらえる?)
のように,「変化がないか見張る」という場合にも “watch”は使うのですね。
このように考えると,それぞれの基本的な違いが少しはわかる気がしませんか?
―じゃあ,映画を観る,は?―
“I saw a movie last night.”
(昨晩,映画を観ました。)
“I watched a movie last night.”
(昨晩,映画を観ました。)
のように,「映画を観た」という場合は, “see” “watch”の両方を使うことができます。
「じゃあ,どっちを使ってもいいの?」
「違いはないの?」
と思った方もいらっしゃるかもしれません。
強いて言うなら…強いてですよ!
“see a movie” は,映画館で観たというイメージで,
“watch a movie”は,自宅でBlu-rayなどで観たという感じでしょうか。
でもどちらでも大丈夫です。
でも,「今観ています。」「その時観てみました。」のように進行形で言う場合は,
× I am seeing a movie.
× I was seeing a movie. ということは出来ず,
I am watching a movie.
I was watching a movie. のように,
基本的には “watch”しか使うことができないので要注意!
なかなか難しいですが,これも語学のおもしろいところです。
―Watch your step!―
私がアメリカ留学したばかりの頃は,大学の寮に入っていました。
寮と学校の行き来は小さめのスクールバスがあったのですが,
乗り降りする際,ドライバーの方がいつも言っていたのが
“Watch your step!”
(足元に気をつけて!)
“Watch your head!”
(頭上に気をつけて!)
それはもう,「録音か?」というくらい,いつもいつもリズムをつけて
“Watch your step!”
(足元に気をつけて!)
“Watch your head!”
(頭上に気をつけて!)
と繰り返し言うのです。
“watch”は,「動きのあるものを見る」また,「変化などがないかを見る」ということを考えると,
“Watch your step. Watch your head.”の「気をつけて」として使われる “watch”は,
「動きのある足元や頭,異変がないか見て!=足元や頭上に気をつけて!」
という意味なのですね。
こうやって考えていくと,英和辞書などで「この英単語はこういう意味」と覚えるよりも
わかりやすい!
と,自分で納得しているCozyでございます。
あ〜,日本も台湾や諸外国のように動物に優しい国にならないかなぁ。
動物に優しい社会は,人間にとっても優しい社会だと思うのですよね。
日本でもコンビニや他の店で犬やネコを “see”しても誰も文句を言わない社会になるといいなぁと思う今日この頃でございます。
それではみなさま,ステキな木曜日を♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。