先週の土曜日、午後3時から、8月に亡くなった知り合いの、Carolynのメモリアル(お別れの会)が催されました。場所は、地下鉄チェンバー・ストリート駅から歩いてすぐの、ハドソンパーク。ハドソン川が見事に目の前に広がる公園です。
各自が持参するものは、花束。生前、彼女が好きでよく立ち寄っていたこの公園で、ハドソン川に、家族や友人たちみんなでR.I.P. (レスト・イン・ピース、安らかに眠って下さい)、とご冥福をお祈りし、一斉に花束を投げ入れる、と言う趣旨です。
実は、私が先日、日本に帰っていたのは、父親の偲ぶ会を催すためです。ちょうどパンデミックの最中、私の父が亡くなりました。しかしながら、あまりにコロナ禍の影響が強く、日本に帰ることが出来ませんでした。
やっと、思いが叶って、父の偲ぶ会を、先月開催することができました。皆でおいしいものを食べ、飲みながら、個人の話に花が咲きました。特に、父の兄弟にあたる伯父や伯母の子供の頃の話は、微笑まずにはいられないような、そして笑いも生まれ、とてもいとおしい、ささやかながら家族の和を感じることができた、ひとときでした。
そんな思いもある中で、今回はアメリカ版の「偲ぶ会」に参加して来ました。お葬式は何度か出たことがありましたが、こういう、お友達のギャザリングは初めてです。
私たちは途中、マンハッタンのサブウェイによくあるトレインのトラブルによって、多少時間をロスし、到着したときにはすでに20人ぐらいのお友達が集まっていました。口々に、彼女の思い出話に花を咲かせています。
今回のメモリアルを仕切ってくれた、彼女の長年の大親友Bettyから、まず最初の挨拶がありました。亡くなったCarolynの紹介です。彼女が偉大なムービー・ディレクター(映画監督)であったこと、そして英語の先生であったり、良い母親だったり、地域のコミュニティーでも色々と活躍していたそうです。
そして、それぞれの長年のお友達が1人ずつ、彼女について思い出話を話しました。
人間の付き合いとは不思議なもので、自分はその人をよく知っているつもりでも、ほんの1面しか知らなかったのだなぁ、と深く感じました。
確かに、誰でも人間にはいろいろな面があって、すべての人に、それを全てさらけ出すわけではない。仕事上の付き合いだけをしている人もいるし、家族として、内面の自分をさらけ出している付き合いもある。先生をしているときには、生徒さんとの付き合い方があるだろうし、確かに、人間っていろんな面を持ち合わせているのだなぁ、と思いました。
今回は、ちょっとセンチメンタルになってしまいましたけれど、来週はまたニューヨークの季節感溢れる記事、お届けしますね。街はハロウィン一色です!
Kayo♫
P.S.
以前、父の大学時代のご友人が、ある団体の理事をしている関係で、私を定例コンサートに一度、お招きくださったことがあったことを思い出しました。あれは確か2015年位。父のご学友たちが10名ぐらい集まってくれたのかな、私を真ん中に、皆さんニコニコして、とても良いコンサート後の写真が残っていました。
その際、ご学友のみなさんは、父のことを、「ブンちゃん、ブンちゃん」と呼ぶのですが、まるで聞いたことのない名前。訳を聞いてみると、同じ名字の教授がいらして、その方の下の名前なんだそうで、、、父に、ニックネームがあったとは。青天の霹靂でした。 今となっては、かけがえのない思い出となりました。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。