先日まで,
「いつになったら涼しくなるの?」
と思っていましたが,最近になって朝晩はめっきり涼しくなってきました。
しかし我が家は日の出から日没まで,ずっと陽が当たり続けているので部屋の中は暑い…
とにかくとっても陽が当たるので,冬でもTシャツ一枚でいるくらい。
でも外は寒くなってきている…
そんなときに困るのって,やっぱり服装。
朝はうすめのパーカーを羽織って愛犬散歩。
帰って来たら,パーカーを脱いでTシャツに。
Tシャツだけで外に出ていた夏,でも今は上着を着る。
ファスナーを閉めるのって,ちょっとめんどくさいんですよね。
あれ…
ファスナー?
チャック?それともジッパー?
昔はチャックって言っていたけど,アメリカではジッパーって言っていました。
でもファスナーとも言うし。
いったい何がどう違うか,あなたはわかりますか?
―ファスナー―
次の英語,聞いたことがありますか?
“Please make sure that your seatbelt is securely fastened.”
飛行機に乗ったことのある方は
「あ,機内アナウンスだ」
と思われたかもしれませんね。
そうなんです。
これは,「シートベルトがしっかり締まっていることをご確認ください。」という英文。
飛行機の離発着時に機内でCAさんが言う英語です。
“your seatbelt is securely fastened”
(シートベルトがしっかりと締まっている)
の中に,
“fasten”という語があります。
これは,紐や留め具などで「留める」「締める・閉める」「結びつける」という意味の語。
そこに “er”をつけて
“fastener”としたのが「ファスナー」なんです。
“play”が “player”
“run”が “runner”
“ride” が “rider”
のように “er” を付けることで,「〜する人・もの」を表しています。
ですので, “fastener”は,「結びつけるもの・閉める(締める)もの」という感じなんですね。
ちなみに, “fasten”は(ファッスン)です。
“te”の部分は発音しないので,(ファステン)と言わないようにしてくださいねー!
―ジッパーは?―
英語では, “fastener”は「しっかりと締める」「留め具」という意味合いが強く
私たちがイメージする「ファスナー」のことを
“zipper”
と言います。
名詞でファスナー自体を “zipper”と言い,
動詞では “zip”(ファスナーを閉める)
“zip up”(フーディーのファスナーを閉め,胸まで上げる感じ)
のように言います。
でもなぜ “zipper”になったのでしょうか。
1921年,アメリカの The B.F. Goodrich Company(グッドリッチ社)が,
ブーツやタバコ入れにファスナーを取り入れる際,その商品名を
“Zipper”
と命名したのが最初なのだそう。
その由来は,なんとオノマトペ。
オノマトペとは,
犬が「ワンワン」,猫が「ニャーニャー」鳥が「チュンチュン」と啼いたり,
胸が「ドキドキ」,キッチンが「ピカピカ」などのように言ったりする擬声語や擬音語のこと。
“Zipper”は,ファスナーを閉めるときの
「ズィーッ!」
という,もともとは高速でビュッと飛んでく音や,布を裂く音を表す“zip”というオノマトペだったのです。
そこに「もの」を表す “er”をつけて
“zipper”とし,今ではその商品名がすっかり定着したのだそう。
音からその名前が付くなんて,ちょっとおもしろいですね。
―チャックは?―
チャックは英語で “chuck”と思っている人も多いかと思います。
でも,その意味は「(物などを)放り投げる」「捨てる」というもの。
ファスナーとは結びつかないんですよね。
それもそのはず!
この「チャック」という言葉は日本で作られたものだったんです。
広島県尾道市でファスナーを作っていた会社が,商品名として「チャック印」と命名したのが始まりだそうなのです。
でもなんでチャックなんでしょう。
それは,なんと「巾着」の「ちゃく」からもじったのだとか。
おそらく,巾着袋は紐でキュッと閉じるけれど,これはファスナーで閉じるもの。
だから「きんちゃく→ちゃく→ちゃっく→チャック」のようにしたのかもしれませんね。
それにしても,日本語だったとは!って思いませんか?
ですので,「チャック」は日本でしか使わないので,英語で話す時は
“zipper”にしましょうね。
このウンチク,早速だれかに伝えてみてください(笑)
―○○にチャック!―
チャックと聞くと,なんとなく「昭和感」を感じてしまう私。
それは,むか〜しむか〜しの子供の頃。
学校の先生や親から,
「静かにしなさい!」という代わりに
「お口にチャックしましょう。」
なんて言われた記憶,ありませんか?
この表現,実は英語でもあるんですよ。
“Zip your mouth!”(口にチャックしろ!)
“Zip it!”(黙って!)
のように,少々語気は強めですが「黙れ!」という感じです。
でも,今でも「お口にチャック」って言う人いるのでしょうか?
聞いてみたところ,今の若い人たちは「チャック」とは言わずに「ファスナー」「ジッパー」を使うらしいし。
じゃあ今,あえて言うなら,
「お口にジッパー!」
「お口にファスナー」って言うんですかね?
あなたなら,どう言いますか?
今度教えてくださいねー。
それではまた来週〜!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。