この2年余り、新聞紙上やネットなどで、コロナ関連記事を見ない日はありませんね。
私早いうちから「コロナ」と言う英単語に興味があり、学校の授業でも触れてきました。
コロナの語源は、単語DNAの考え方を使うと、とてもはっきりします。
単語DNAとは、英語などのヨーロッパ言語の源、単語の語源的な先祖みたいなもの。私の記事でよくテーマとして扱うものです。
コロナ (corona正しくは「カロウナ」のような発音) は、語源が「冠」だと言われます。
ウィールス名になったのは、その表面を突起がぐるっと「コロナ(冠)」状に囲んでいる様子からだそう。あなたもこのウィールスの毒々しい画像を見かけたこと、あるかもしれませんね。
車に詳しい人ならピンと来るかもしれないですが、「冠」と言えば、crown(クラウン/冠)ですよね。
ですが、coronaも「冠」。違いはいったいどこにあるのか、不思議に思いませんか?
さて、実はcorona(カロウナ/コロナ)もcrown(クラウン/冠)にも同じ単語DNAが入っています。大昔の元々の意味は「(ぐるっと)曲がる」。発音は「カー」とか「クル」に近い発音だったようです。
「冠」は、金属などをだんだん「曲げて」、ぐるっと輪にしたもの。このように「曲げる」と「冠」、ちゃんと意味は繋がります。なので二つの単語ですが、同じ単語DNAが少し形を変えて現れているんですね。このDNA、coronaではcor-の所に、またcrownではcro-の所にあります。
<「コロナ」でない他の「冠」を知っていますか?>
実は coronaには、もう一つの意味もあります。
英語でcoronaには太陽の「コロナ」の意味もあります。太陽が纏う数万度のガスのこと。皆既日食の時だけ見える太陽の周りの薄い輝き、と言えばあなたにも見覚えあるかも。これも太陽の「冠」のように見立てられているわけです。
また、coronary (コロナリ/冠状血管の)という単語もあります。coronaにとても似てますね。
coronary(コロナリ/冠状血管の)とは、心臓の周りを「冠」状に取り巻く血管を指すそうです。同じように、「ぐるっと曲がり(取り巻く冠)」という意味のこの単語DNAを持っています。
日常会話では、coronaryは心臓発作 (heart attack)などをざっくり表せるようです。
例えば
He had a coronary.
なら「彼は心臓発作にあった」などという意味になります。
ちなみに、英語では「コロナ」と「冠」別々の単語ですが、イタリア語・スペイン語は同じcoronaが「コロナ」と「冠」の両方の意味で使われるようです。
<気になっていた「コロナー(検視官)」も、実は…>
推理小説などで、coroner (コロナー/検視官)という表現を見かけることが結構あります。
The coroner examined the body.
(検視官が死体を調べた)
などと。
検視官とは、警察官の一種。自然死以外で犯罪性があるかどうかを調べるのだそうです。
実は私勉強不足で、このcoronerには、変な良く分からない名前、という印象しかなかったんです。今回改めて調べみて、今お話し中の同じ単語DNAが入っていると分かりました。
でも「曲げる」や「冠」の意味の単語DNAから、どうして「検視官」が出てきたのでしょうか。
少し考えてみてください。
実はcoronerは元々「王冠の為に働く人」、つまり「王に仕える役人」という意味。今なら「国家公務員」みたいなもの。昔は広い一般職だったのですが、今は特殊な役目に変わりました。
でもこの新しい係、それに合う名前考えるのが結構難しそうです。例えばdeath examiner「死を調べる人」などは、ちょっとストレート過ぎるかも….
結局coroner「王に仕える役人」が、残ったのかもしれませんね。
<コロナの時代でも役立つ単語DNA>
今回は単語DNAでcoronaを取り上げました。普段はコロナウィルスで頻繁に使うので、良いイメージなどないかもしれません。
でも単語一つ一つは、その単語が生まれた背景があります。それはコロナウィルスのようなマイナスイメージの単語でも同様です。
こんな風に単語DNAを調べていくと、特に意識してこなかった単語の見方が変わるかも。悪い印象の単語さえ捉え方が変わるかもしれませんね。
大変なタイミングですが、日々聞く単語にDNAの着眼点を持つのも案外良いかも。そうすれば嫌なニュースだって、意外な楽しみが見つかるかもしれませんね。
See you later!
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員