「それは良い質問だね。」
日本語でそう言われると,
(お,そんなに良い質問だったのか!)
と,ちょっぴり嬉しくなったこと,ありませんか?
なんだかちょっと誇らしかったり照れくさかったり。
英語では,
“That’s a good question.”
ですよね。
でも,これってちょっとだけ日本の感覚と違う感じなんです。
それがどんな感じか,あなたはわかりますか?
― “That’s a good question!”―
“Oh, that’s a good question.”
(あ,それは良い質問だね。)
というフレーズをたびたび聞いたり言ったりします。
普通に考えると
「(自分の鋭い質問に)褒められている」
「(相手の質問を)褒めている」
と思うじゃないですか!
でも,英語的にはちょーっと違うんです。
ちょっとこの会話をBの人になった気持ちで読んでみましょう。
A: “I’m unsure about our marketing strategy. Any ideas?”
(我々のマーケティング戦略について自信がないのですが,何かアイディアありますか。)
B: “That’s a good question. Mmm…, well, how about targeting a niche market?”
(それは良い質問だね。う〜ん,えー,ニッチ市場をターゲットにするのはどう?)
Bさんの, “Mmm…, well, how about targeting a niche market?”
って,いかにも
「想定してなかった質問だから,悩んで今考えついた!」
って感じがしませんか?
まさにそこなんです。
この, “That’s a good question.”というのは,
「いい質問ですね。(えっと…それは想定外の質問だな,なんて答えよう?)」
という密かな心の声が入っている感じなんです。
なので言い換えれば,
“I don’t know.”
ということなんですよね。
―なぜ “That’s a good question.”なの?―
“I don’t know.”
(わからない。)
と言いたくないから。
「言いたくない」と言うのは,ちょっと語弊があるかもしれません。
「言いにくい」
と言ったほうが正しいかもしれませんね。
だって,質問してくれたのに
“I don’t know.”
だと,いきなり
「あ,わかりません。」
と相手の質問に対しての解答を打ち切っちゃう感じじゃないですか。
それだとあまりにも冷たいし,失礼な感じがします。
だから,ちょっと間を持たせて
「あ〜,それはいい質問ですね。」
と間を入れてから考えを伝えたり,
「あなたの質問はとてもするどい質問なので,すぐには答えられない」
という意味を含ませたりして,
「今のところはわからない」
ということを伝える感じなんですね。
ポイントは,
「あなたの質問は想定外の鋭い質問,だから私にはわからない」
のようなニュアンスを含めているということ。
ただ “I don’t know.”だけを言うよりも、とても大人な感じがしませんか?
アメリカabc放送の街頭インタビューの動画なのですが,これを見るとわかりやすいかもしれません。
一生懸命考えているのですが,やっぱりわからないんです。
10秒の動画です。
―本当に “I don’t know.”だった!―
つい先日,会議の前にIce-breaking的にみんなで雑談をしていたんです。
以前,インフルエンザに罹患した私の上司が,その時のことを話し始めました。
“The flu is going around. I got type B flue.”
(インフルエンザ流行っているね。自分はB型に感染したよ。)
A型とB型ってどう違うんだろう?
と思った私は,
“What’s the difference between type A and type B?”
(A型とB型の違いって何?)
と聞いてみたんです。
すると上司は,
“Oh, that’s a good question.”
(お,それはいい質問だね。)
と言い,ちょっと考えながら,
“Maybe type B tends to have more severe symptoms.”
(たぶんB型の方が症状が重い傾向にあると思う。)
との回答。
その時は,
「そうなんだ」
と思って会議を始めたのですが,どうしても知りたい私。
後でググってみましたよ。
すると,
多くの医師や機関の記事では,
「A型はヒトや動物にも感染する。
B型はヒトのみに感染する。
その症状の違いはほとんどないとされる。」
とあるではないですか。
な〜るほどぉ〜!そういう違いなのね。
と思いつつ,上司の言った
“Oh, that’s a good question.”
(それは良い質問だね。)
を思い出し,
やっぱり “I don’t know.”だったんじゃんかーーーーーーっ!
と思わず声に出してしますワタクシなのでございました。
ということで,
また来週〜♪
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。