先日、キャッチ世界のトップニュース(NHK総合)で「ニューヨークの高層ビルに草原」の見出しに「えッ?えッ?」となってしまいました。
ブルックリンの工業地帯。4棟の高層ビル屋上に「meadow(メドウ)草原」を育てている方がいるというんです。高層ビルですよ。
一見大きな庭(garden)の様ですが、その方はあくまで meadow で、garden とは呼びたくない拘りがあるそうです。
なぜなら、
garden は人間中心。
meadow は生態系中心。
活動費稼ぎに売る花も「市場の花はヒトの都合で遺伝子を操作する。私のmeadowの花は自然のままよ!」とおっしゃいます。
ビルの屋上から自然回復の活動…。素晴らしいと思いますが、私が気になるのはgardenとmeadowの語源。
gardenは生態系中心、meadowは人間中心???
でも、語源を調べたら、そうでもなさそうなんです。
garden の語源
まずgardenのDNAはGHER(グフエル)「取り囲む」
確かにgardenは塀とか縁に取り囲まれているでしょう。綴りや発音は多少変化していますね。
GHER(グフエル)「取り囲む」→囲まれたモノ→ garden(ガーデン)「庭」
同じDNA持ちの英単語はcourt(コート)「テニスコート、宮廷、裁判所」確かにどれも周りを囲まれた一角。これも綴りと発音の少しの変化はありますよね。
GHER(グフエル)「取り囲む」→囲まれたモノ→ court(コート)「テニスコート」
GHER「取り囲む」→囲まれたモノ→ court「宮廷」
GHER「取り囲む」→囲まれたモノ→ court「裁判所」
chorus(コーラス)「合唱」も関連単語。
これは直接はギリシャ語のkhoros(クホロス)「舞踏団」。「取り囲まれた舞踏の床」から出ている単語らしいです。
GHER「取り囲む」→希(khoros「(囲まれた舞台の)舞踏団」→英 chorus 「合唱(団)」
さてこのように、gardenは(人間の手により)「囲まれた」という語源です。ブルックリンの自然派活動家がgardenという語を避けるのも分かる気がします。
meadow の語源
ではmeadowの方です。
この DNAはME(メ)「草や穀物を刈る」これが→ METWA(メトワ)「刈られた野」→ meadow と変化したらしいのです。tがdになるなど少し変化があります。だからmeadowは語源的には「刈られた野」
ME(メ)「刈る」→刈られたモノ→ meadow 草原
結局 人間の行為を経た人工的な産物という点ではgardenと変わらないかも。
同じDNA ME(メ)「草や穀物を刈る」のDNAを持つ英単語にmow(モウ)「刈る」があります。lawn mower(ローンモウアー)は「芝刈り機」。lawnは「芝生」ですね。よくホームドラマなんかで、ガーっと音を立てて押して刈る奴です。
ME(メ)「刈る」→ mow(モウ)刈る
さらに関連する英単語はaftermath(アフターマス)「(大事件の)マイナスの結果・効果」。「数学の後」という意味ではありませんw。
その-mathはmeadow, mowと同じDNA MEから。「刈り取り」の意味。math「数学」と同じ綴りなのは偶然なんですね。「刈り取り」の意味がここでは物騒な悪い意味で使われているようです。
aftermath = after + -math⇐ ME(刈る)「(イヤな大事件・惨事の)結果・効果」
Prices soared in the aftermath of the oil crisis.
「石油危機の後物価が高騰」
garden も meadow も語源的には
結局「囲まれた」gardenも「刈り取られた」meadowも、どちらも語源的には人の手が入った意味合いの単語なことが分かりました。
ただこれは、ブルックリンの自然派の活動家の揚げ足とりではありません。
あなたに汲んで欲しいのは、英語の語源の面白さを伝えたい気持ち。
彼女が大都会の真ん中で引き続き草花を育ててくれますよう。あなたも語源の花園で珍しい花々を愛でてもらえますように。
See you later,
Jiro
追伸:
キャッチ世界のトップニュース(NHK総合)面白いですよ。https://www.nhk.jp/p/catchsekai/ts/KQ2GPZPJWM/blog/bl/pLbrWGwE4L/bp/pLYKdE0O1g/
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員