街はすっかりクリスマスムード。
商店街やショッピングモールなど,なんだかちょっとウキウキしてしまうのは私だけではないはず。
また今年はコロナ禍ということもあり,家でのクリスマスにお金をかける人も多いのだとか。
そんな今年のクリスマスは,「手作りのケーキやクッキーを作ろう!」と考えている人もいるのではないでしょうか。
さて,その「手作り」という言葉。
みなさんは英語で言えますか?
「そんなの簡単だよ,handmade(ハンドメイド)でしょ?」
という声が聞こえてきそうですが,本当にそう思います?
実は…
―「手作り」の英語は1つだけじゃない―
クリスマスも大きなイベントですが,日本では「お歳暮」という習慣もあります。
先日,「今年は何を贈ろうかなぁ。」とネットでいろいろと見ていたところ,
ある老舗の洋菓子店の「手作りクッキー」というのがありました。
そこには,
“Handmade Cookies” (ハンドメイドクッキー)
と書かれていました。
「手」で「作った」から, “handmade”…。
そう思いますよね。
はい,それも間違いではありません。
英語では「手作り」を表す単語として主に,
“handmade” (ハンドメイド)
“handcrafted” (ハンドクラフト)
“homemade” (ホームメイド)
などがあります。
実はこれらは厳密に言えば使い分けられているのです。
まずはこの “handmade”。
手作りにはかわりありませんが,この “handmade“が使われるのは主に「物」に対して。
ニュアンス的には,「手作業」の感じが近いかもしれません。
例えば,
“This bag is handmade.”
(このカバンは手作りです。)
“Those handmade shoes are quite expensive.”
(その手作りの靴は結構値段が高い。)
のように,手で作られた「物」という感じなのです。
職人さんが直向きに製作したカバンや靴,
また自分で作った手作りのアクセサリーや,誰かが編んでくれたマフラーなど,
そんな感じの「物」に使うのが “handmade”なのです。
“handmade” には,「高級な」という意味も含まれることもあるので,
“handmade shoes” “handmade bag”なんていうと,
「あら,ちょっとお高いものなのね」
というイメージも付いてくることもあるのです。
また, “handcrafted”も同様ですが,これは主に「家具や工芸品」といった物に対して使われることの多い単語です。
日本が誇る数々の「手作り」の伝統工芸品。
これらは, “handcrafted”を用いて表現することが多いです。
―主に食べ物に使うのが “homemade”―
では,今回のクッキーのようなお菓子や料理などの「手作り」はどう言えばよいのでしょうか。
それは,
“homemade” (ホームメイド)。
「あ,それも知ってる!」という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
Longman Dictionary of Contemporary English (ロングマン英英辞書)によると“homemade”は,
“made at home and not bought from a shop”
(お店で買ったものではなく,家で作られたもの)
と定義されています。
これが,いわゆる日本語で言う「自家製の」という意味となり,主に「食べ物」に対して使う言葉なのです。
“This is a homemade apple pie my father made.”
(これは,私の父が作った手作りのアップルパイです。)
―でも,食べ物に “handmade” を使うこともある!―
でも,実は “handmade food”や “handmade chocolate”のように,食べ物に対しても “handmade”が使われることがあるのです。
Googleで “handmade food”と検索すると,検索結果は約149万件。
対して, “homemade food”と検索すると,検索結果は約1,070万件と,もちろん “homemade”の方が圧倒的に多いのですが,それでも “handmade food”が使われることがあります。
それは,レストランなどの飲食店やチョコレートの販売店が,「より質の高い料理のイメージ」として,看板や広告に出す場合に使われることがあるのです。
「え…どういうこと?」
「Homemadeは質が低いってこと?」
ってなりますよね?
そうではないのです。
「ホームメイド」って言うと,
「個人的に家で作った」
という素朴であたたかい料理で,まさに「自家製」というイメージですが,
そこに「プロの料理人がこだわりに拘って作った職人の料理」という高級感も入れたい場合,
“handmade food” “handmade chocolate” のようにメニューや看板に表示することもあります。
―今年のクリスマスは…!?―
さて,「手作りの」という単語の使い方のイメージはつきましたでしょうか。
どれを使ったとしても,間違いではありません。
ただ,大きく使い分けると「違いがある」ということを知っていると,表現の幅も広がってきますよ。
もうすぐクリスマス。
1年なんてあっという間ですね。
まさに,
”Time flies.”
(飛ぶように時間が過ぎる)
です。
さあ,今年のクリスマスは,”homemade cake” (自家製のケーキ)を作って,
あなたの大切な人に,“handmade” (ハンドメイド)のプレゼントを贈ってはいかがですか?
あ,私に贈ってくださってもいいですよ。
年中無休で受け付けていま〜す(笑)
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。