先日、日本の人と話してて、アメリカと日本の人間関係の違いについて話題が出たら、いろいろ面白い点が見つかったので、今日はアメリカでの親子、夫婦等の人間関係について書いてみようと思います。
父と息子の関係
アメリカでは、父と息子がものすごく「仲良し」と言う印象があります。父親は息子を親友だと言うし、息子も父親のことをBest Friendだと。「ヘイ、パップ」「ヘイ、マイ・サン」と呼びあって、中には、ファーストネームで呼び合う父と息子もいて、めちゃめちゃ仲良しです。ママには内緒の事でも、ガールフレンドができたこととか、何でも全て話すらしい。
父と娘の関係
これもね、すごく仲良しさんが多いです。Arturo’s で演奏していると、常連さんでちょっと年配の紳士と若いお嬢さんっていうカップルが何組もあって、最初は全く気がつかなくて、そしたらその人たち、後で話を聞いてみたら、父親とその娘さんだったんですよ。一緒に飲みに来て、美味しくご飯食べて、毎週1回とか必ずみえるんです。アメリカは、18歳位になると、大概実家を出てしまうから、別々に暮らしているからかな、とは思いますけど。
母と娘の関係
これは、1番難しいところではないでしょうか。母と娘は近過ぎて難しいと言う話はよく聞きます。日本では、お母さんと娘は普通、仲良しなんですよね?お洋服を共通で着たりするとか。アメリカでは、ひとりひとり個性が全く違うので、母と娘で洋服を共有するなんて話は、私は聞いた事がないです。
夫婦の関係
これは、もともとの結婚というものの成り立ちが違って、日本では「家同士」が結婚するので、結納や結婚式、披露宴など、親戚の方々のご意見、ご都合なども聞いたりとか色々と大事になりますよね。
でも、アメリカでは、「個人同士」が結婚するので、結婚するのも別れるのも、日本と違って、しごく簡単のようです。
浮気など、嘘をついて人を騙す事は、キリスト教の影響もあるのか、人間としてとても悪いことだと信じられているので、浮気をする前に(他の人を好きになる前に)夫婦は別れるみたいです。
相手を好きな間は一緒にいて、どちらかの気持ちがなくなれば、さっさと別れます。結婚と言うのは個人のイベントなので、日本よりは気楽に離婚できるみたいです。
個人主義と言ってしまえば、それまでですが、「子供に寂しい思いをさせるだろうな、自分はひどい親だなぁ」などと、日本人みたいには、あまり考えないようです。
子どもに、パパとママはもう一緒に暮らさないことになったんだよ、と普通に説明して納得させるみたいです。この辺が、うらやましい位さっぱりしています。
呼び方
年配の方に向かって、「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ぶのは、私には不思議に思えます。親しみを込めているつもりかもしれませんが、それは当たっていないと思います。
私はどんな年配の女性でも、お母さん、奥さん、またはお名前で呼びます。生涯結婚しない人たちがどんどん増えていくこれからの日本では、多くの未婚女性も年配になっていくわけで、子供も孫もいないのに、赤の他人から「おばあちゃん」と呼ばれるのは、さすがに不愉快かと思います。
アメリカでは、自分が年配になってきたなと感じるのは、他人から「マダム」と呼ばれる時です。今でもたまに「ミス」と呼んでもらえる時もありますが(後ろ姿?笑)、最近は結構「マダム」が普通になって来ました。
自分が落ち着いてきたんだなと、少し自覚します(笑)。男性の場合は、大人の(年配の)方には「サー」と呼びかけます。
また、日本では、家で夫婦の間で子供がいる場合、夫婦本人も「ママ」と「パパ」と呼び合うそうですが、それも不思議に思います。「ママ」は子供からみた母親のことで、「パパ」は子供からみた父親のことなので。
アメリカだと夫婦は普通に、「ハニー」とか、「ダーリン」「キューティ」「スィート・ハート」「マイ・スィーティ・パイ」など、聞いててめちゃめちゃ甘ったるくなるような名前で呼び合います。(笑)子供たちがいても、です。
家族関係
この季節は、特にサンクスギビング・デーとか、クリスマスとか、若者たちは、両親や祖父母、兄弟や従兄弟、家族の待つ街へ、満員の電車やバス、飛行機に乗って、実家に帰るのをとても楽しみにしています。
恋人がいたとしても、この時期は、それぞれの実家に戻ります。結婚すれば、1年おきにお互いの実家へ行ったりします。実家でのママやおばあちゃんのホーム・クッキングが、とてもとても楽しみだと、皆言います。
クリスマスは実家に、年末年始は恋人や友達と、と日本とは逆な感じですね。
さて、今回が今年最後の記事になります。また、来年も、ニューヨークで面白いことを見つけて、記事にできたらと思っています。もし、ニューヨークではこんな事はどういう風になっているの?とか、こんなときにはどうするの?とか、何かありましたら、いろいろ編集部までご意見お寄せください。もし私がわかる範囲であれば記事でお伝えできるかもしれませんので。
それでは、風邪やコロナにお気をつけて、どうぞ良いお年をお迎えくださいね。
P.S.
ニューヨークの年越しは、大晦日にわりと大きめのパーティーとかがあって、1月1日はシャンパンの二日酔いをなんとか治して、そして1月2日からは学校もお仕事も、すべて通常通り、全く普通の日常に戻ります。
各家庭で飾ってあった自然木のクリスマスツリーも、1月1日の夜には、オーナメント類を一切外した後、大概、路上に有機廃棄物として出されます。専用のクリスマスツリー廃棄車が回ってきて、1本1本の枯れたクリスマスツリーを粉砕しながら集め、セントラルパークなどで肥料にします。
お正月ムードで、ほんわかしていたいのは日本人ぐらいかな(笑)。日本人だとついつい、お正月の3が日はゆっくりしたい、なんて思ってしまいますよね。アメリカのホリデーシーズンは、クリスマス前から早めに始まり、1月1日に終了です。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。