ほとんどの方が、4回のワクチン接種を終えCovid-19 (コロナ)禍も、ほぼ落ち着き、街中ではたまにマスクをしている人を見かけるものの、話題としてはモンキーポックス(猿痘)ワクチンの方がよく聞かれるようになったニューヨークです。
先日、ニューヨーク在住の知り合いから聞いた話ですが、日本へ夏休みに帰国していて、こちらへ戻ってこようと思ったら、東京でお世話になっていた、お姉さん夫婦の家族、甥っ子も含めみんなコロナにかかってしまい、そのニューヨーク在住の知り合いまで、陽性と判断されてしまったのだとか。
アメリカへの出国を控え、5日間家でじっと「自宅隔離」していて、最終的に、アメリカから持参した「家庭用コロナ検査キット」で陰性が出たので、アメリカに戻って来れた!と言うことでした。
昨年パンデミック禍のニューヨークで、無料で配布された「家庭用コロナ検査キット」
これ、どうやって使うんだろう、練習しといたほうがいいのかな、などと友人達と話していた矢先に、なんとルームメイトが高熱発症。
これは良いチャンスとばかりに、この検査キットを使ってみることにしました。
発熱したルームメイト本人は、ワクチンをちゃんと打ってるし、いつも手をよく洗う人だし、マスクは欠かしたことがないし、人混みにも出かけないし、絶対にコロナではない、と思っていたので、話し合って、やってみることにしました。
いざこのコロナ検査キットを前にすると、子供の頃、「科学と学習」っていう付録付きの雑誌があって、毎月とても楽しみにしていたのですが、それの「科学」についてくる検査キットの付録のような、そしてそのワクワク感。
まず、きれいに石鹸と水で手を洗えと書いてある。そして、私はゴム手袋も着用することにした。セルフルーム・ラボ気分。
まず、それぞれのパートを確認。4回分のキットなので、今日の分だけ取り出す。
スワブ(綿棒)で鼻の奥の粘液を両方とも5回ずつ擦りとって、
それを、少量の液体が入って密封してあるチューブ状の容器のシールを剥がして差し入れ、10回ほど、その中で綿棒を回転させ、最後に、綿棒を取り出すときに、チューブの両脇をしっかりサム(親指)とインディックス・フィンガー(人差し指)で押して、スワブ(綿棒)を絞るみたいにする。
ふむふむ。そしてその綿棒はどうすれば良いのかしら。そこには、綿棒を廃棄し、とある。特にどのようにとか、何も書いてない。普通にゴミ箱に捨てて良いのかしらと、思いながら、とりあえず、使ったゴム手袋に包んで捨てる。
そして、チューブの蓋のパーツ、ノズルキャップをしっかり閉める。結構硬くて、やっとパクっと入ったときには、ちょっとびっくりした。おー。精密。
その容器を逆さにし、今はめた蓋の先にノズル(小さな穴の開いた管)が付いているので、そのチューブを軽く押しながら4滴、マーカーの検査部分にたらす。
そして、約20分から30分。それで結果が出るはずです。が、今回は4滴たらすないなや、あっという間に検査結果が。でも一応20分そのまま待ちました。きれいに陰性でした。よかったよかった。
思い返すと、2020年夏頃には、猛威を奮っていたコロナ。ニューヨーク州だけでも、約800人近くの人が毎日、亡くなっていたのですから、それはそれは恐怖でした。火葬場や葬儀場が間に合わなくて、病院の横に停めた冷凍トラックの中に溢れそうな死体をとにかく保存。
あまりにもその数の多さで処理が追いつかず、身元不明のご遺体が何か月後とかに、何体も出てきたり、自分の家族の遺体が、いつになっても火葬場に行けたと言う連絡が来なかったり、実際のニュースで流れていたのです。
とにかく、なるべく家から出ず、外出時はいつでもマスクを手放さず、人とすれ違う時は1メートル以上間隔をあけ、なるべく誰ともしゃべらず、何にも触らず過ごしました。
すっかり3年経って、恐らく、みんなブースターもしっかり打っているし、最近のコロナは症状も出ない位らしいとか聞くし、周りの人も、既にけっこう数回かかっちゃってたりと、だんだんと恐怖感が薄れているように思います。
そんな中、まさか自分のルームメイトがかかるとは思いもしなかったので、ちょっと実験と言うと怒られちゃいそうだけど、検査してみました。
ニューヨークのすべてのレストランが一斉にクローズした、あの2020年3月、パンデミックへの突入時を、まざまざと思い出しました。YouTubeでは、このパンデミックは世界第三次大戦だった、なんて言う仮説を述べている人もいるらしいけれど、本当にそうなのかもなぁ、なんて思ったりもしました。この後は、少しでも、世界が平和な時期が続いてくれることを祈ります。人間の、エゴがもうちょっと少ない人種が特別変異とかで生まれてくるまでは、それは難しいのかなあ、、、
それではまた来週
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。