【World Life】とは?
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米軍マスターフィットネス挑戦

World Lifeな生活
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あなたは、ビリーズブートキャンプを覚えていますか?

ビリー・ブランクス氏が米軍の新兵教育隊(ブートキャンプ)での体育訓練を基に考案したダイエット・プログラムのことです。

内容がかなりキツいこともあり、2005年に大ブームとなりました。実は私も、これに挑戦して3週間で2㎏の減量に成功。久しぶりに「軍隊風」トレーニングで,一人盛り上がっていたことを思い出します。

ビリーズブートキャンプがキツいと話題になってましたが、米陸軍マスターフィットネストレーナ―の資格を持っている私からすれば、米軍の体育訓練は「そんなものじゃない!」と明言できます。

その米陸軍マスターフィットネストレーナ―の資格も、米陸軍のアカデミーの留学で取得しました。
米軍人でさえ敬遠するタフな資格を、なぜ私が取得することになったのかお話ししましょう。

それは、米陸軍のアカデミーでの自主トレでのことです。

<米陸軍アカデミーの医務室長から声をかけられた>

米陸軍のアカデミーでは,月水金に早朝の自主トレがあります。学生たちは,テキサス州エルパソ市(El Paso)の広大な訓練場を、自主的に2マイルから3マイル(3.2~4.8km)をジョギングします。

私も,早朝から安全規則で決められた蛍光オレンジ色の安全ジャケットを着け,ジョギングをします。自衛隊の持続走競技会でもトップクラスにいた私は,ゆっくりと走り始めます。

後方から背の高い白人男性が軽快なステップで私を追いかけてきます。

横に並ぶと

“Good job!!”と声をかけて追い抜いていきました。

私は瞬時に

“Hoooah!”(フ~ア!)と応答します。

Hooah!は,米陸軍の掛け声で「すべてよし,頑張ろう!」を意味します。米軍は軍種毎に,その掛け声が違い,米海兵隊では,Hoooah!ではなく,“Uraaah”(ウラ!)と掛け声をかけます。

ランナーには、走り方のタイプがあります。私を俊足で追い抜いて行ったタイプは,先行逃げ切り型,クイック・スターター。私の場合は,徐々にスピードを上げていくスロー・スタータです。

4kmを過ぎた頃,私の前に先ほどの白人のランナーの背中が見えてきました。そのままスピードを上げ一気に白人を追い抜きます。すると,彼は私の後ろにピタッとついたのです。

その後の約500メートルは,二人のデッドヒートとなりました。私は,短足を活かしてピッチを上げ(笑),彼は長足のストライドを伸ばして速度を上げます。約2分間のデッドヒート!

めでたく同時にゴールしました。

“Good job”,“Hooah”と米陸軍の掛け声を繰り返します。
スローダウンし,ゆっくりとクールダウンする中で,白人男性が話しかけてきます。

 白人男性:やるじゃないか!トップスピードがすごいなあ。

 Swatch:最初から飛ばしすぎだよ。スピード違反(speeding)だな。

 白人男性:日本人の留学生か?学生に俊足の日本人がいると聞いてたんだ。

 Swatch:いや,人違いだ。私ではなく,中島という日本人学生だ。彼は新幹線だ!(bullet train)

 白人男性:二人いるんだ。ちょっと話があるんだが,私のオフィスに来てくれないか?

 Swatch: Roger!(了解)シャワーの後に立ち寄るよ。See ya! (じゃあ)

言われたオフィスに立ち寄ると,医務室だった。陸軍の迷彩服を着こんだあの白人男性が笑って向かい入れてくれた。襟の階級章を見ると柏の葉(oak)をデザインした金バッチが光っている。

つまり,アカデミーの医務室長の少佐(Major)だったのだ。

<MFTCに入らないか?> 

咄嗟に
“Great running this morning , Major!”
(今朝のランは最高だったね,少佐)と挨拶する。

“Have a seat!Coffee?”
(おかけください。コーヒーいかがですか)とウエルカムしてくれる。

“I’m fine, I should go soon. What’s going on?”
(結構です。時間がないので。要件はなんですか)と畳みかける。

「MFTCに入ってくれないか?」と聞いてくる。

“MF……? What dose it stand for ?”
(MF……って何?)

“It’s Master Fitness Trainer Course. Why don’t you try the course ?”
(マスターフィットネス・トレーナー・コースにチャレンジしてみないか?)

“Sorry, I should go now, I’ll come back to see you, sir! ”
(もう行かなくては。失礼。また後で来ますよ,少佐)
と言って,教室へ出かけた。

<同期生がMaster Fitness Trainerだった!>

MFTCね。まあ,同期生に聞いてみるかと考えて教室の扉を開けた。調子のよい声が聞こえてくる。

“Hi!Swatch!How are you doing?”メキシコ系のマッチョの同期生だ。

この体型ならMFTCについて知っているかもと思い話題を振ってみる。と,意外な答えが。

「俺は修了しているよ。マスターフィットネストレーナ―だ!」こんなことある?

彼から概要を聞いて,再び医務室長に会う。体力検定の点数と既往症などの健康状態を聞かれ,資格はあるという。同期生が言っていたが、部隊(100人)に一人ぐらいしかいないらしい。

英語が話せない留学生でも大丈夫かと冗談を言うと,「英語は、私が教えるから大丈夫だ!」とマジで答える。思わず噴き出した!少佐との出会いが、私がMFTCに挑戦するきっかけだった。

<MFTCの目的はCombat Readiness>

朝トレが縁で,MFTCに留学生として初めて入学を許された英語の話せない(笑)Swatchは,自由な朝トレから,体育教官となるべく訓練プログラムに取り組むこととなった。

MFTCの目的は,大まかに説明すると以下のようになる。

体育教官は,個人・部隊を訓練して,体力をつけ,健康で強靭な兵士を作ること。作戦参加テンポに合わせて,コンバットレジネス(心身ともに戦える状態:即応態勢)を維持すること。

体力検定に不合格の者(体力が基準以下の者、体重がオーバーしている者)は,兵士と呼べず,規定により陸軍を去らなければならない。彼らを体力検定に合格させ、任務に復帰させること。

困難な状況から素早く立ち上がり、何事にもくじけない心(レジリエンス)を養成することである。

<レジリエンスが生活の基本に!>

朝トレのランニングで偶然出会った体育教官(医務室長)に、私は声をかけられ、留学生として初めてMFTCを履修するという貴重な機会を得た。

12か国の留学生が、それまでMFTCに参加することはなかった。アカデミーの同期の陸軍兵士は500名いたが、その時にMFTCに挑戦したのは、12名であり、そのうち2名が脱落した。

早朝5時に訓練場に集合し、5kmをジョギングし、その後、体育訓練の講義を受ける。ある時は、銃を担ぎ10kmを走破する過酷な訓練に耐え、レジリエンスは体に染みついていった。

失敗や小さな挫折は毎日のようにやってきます。いつもMFTCでの厳しい体験が救いとなった。そこで立ち止まったり、落ち込んだりせず、あきらめずに前を向くことが習慣になった

英語の勉強も、同じことが言える。TOEICのスコアーが伸びない、英語を勉強する気が起きない、英語の勉強が嫌になったなどが、お決まりのように周期的に襲ってくるのではないだろうか。

レジリエンス、決してくじけない心で、時間がかかっても、進歩が遅くとも、最後までやり遂げることが、人生に良い結果をもたらしてくれるのではないでしょうか。

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