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“snub”って言葉知ってる?

World Lifeな生活
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木曜日のCozyです!

英語って,時には新しい知らない語を覚えることも大切。

今日は,昨年のアカデミー賞からの「ある単語」を覚えましょう!

あなたはアカデミー賞を見たことがありますか。

私は一度だけ,実際の会場に足を運んで,豪華なリムジンから降りてくる数々の俳優がレッドカーペットをにこやかに歩くのを直接見たことがあります。

そんなアカデミー賞。

あなたは,2024年3月に行われた,第96回アカデミー賞で

「ある事件」

がおこったのを知っていますか。

あの超有名な大ヒット映画の,またまた超有名俳優がとった「ある行動」が,

“snub”

として,ちょっとした批判を浴びることとなったのです。

この言葉,あなたは知っていましたか?

― 何があったの!?―

アメリカのニュースサイト Business Insider にはこう見出しが踊りました。

“Robert Downey Jr. Snubs Ke Huy Quan at the Oscars”
「ロバート・ダウニー・Jr.がアカデミー賞でキー・ホイ・クァンを無視」

また,Y! Entertainmentには,

“Robert Downey Jr. Slammed for Snubbing Ke Huy Quan While Accepting Oscar”
「ロバート・ダウニーJr. アカデミー賞でキー・ホイ・クァンを無視し非難殺到」

今回の「アイアンマン」の主演であるロバート・ダウニーJr.,アベンジャーズやドクター・ドリトルでも有名ですよね。
実は私は “Less Than Zero/レス・ザン・ゼロからのファンなのです。

また,キー・ホイ・クァンとは,あの伝説の映画

“Goonies/グーニーズの, “Data/データ役だったり,
『インディ・ジョーンズ:魔宮の伝説』の “Shorty/ショーティ” 役だったりした,あの少年なんですよね。

二人とも今ではすっかりダンディな大人。

では,今回の問題の場面,実際にどんな場面だったのか見てみましょう。

Robert Downey Jr. Slammed for Snubbing Ke Huy Quan While Accepting Oscar — Watch
Robert Downey Jr. took home his first Oscar on Sunday night… but he also took a heap of criticism for how he accepted it. It made for an awkward moment during S...

“The Oscar goes to…Robert Downey Jr.!”
(オスカー受賞者は…ロバート・ダウニーJr!)

と素敵な笑顔で発表したキー・ホイ・クァン。

そしてステージに上がってきたロバート・ダウニーJr.にトロフィーを手渡し,握手をしようと手を差し出そうとするも,なぜかロバートはスルー。

それどころか視線も合わせていないように見えます。

他のプレゼンター(ティム・ロビンスやサム・ロックウェル)とは握手や拳での挨拶を交わしたのに…。

このシーンは全米で生中継され,一部では「これがアジア系俳優に対する差別的な行為ではないか」という声も上がったそう。

SNSにはすぐに,「彼を無視したように見えた」「失礼だ」といった声が溢れました。
一方で,「単なるタイミングの問題」「舞台の緊張感でよくあること」と擁護する意見もありました。

と,ここまでが

「どんなことがあったのか」
「周りはどんな反応だったのか」

の説明。

私が言いたいのは,この件について批判だとか擁護だとかのお話ではありません。

この時に使われた「英語の言葉」に焦点を当てて考えてみたいのです。

この件で,日本語訳でよく使われた言葉が

「無視」。

「ロバート・ダウニーJr.が,キー・ホイ・クァンを無視」
「アカデミー賞で,ロバート・ダウニーJr.がアジア系俳優を無視」

のような感じです。

無視という英語といえば,

“ignore”

という単語を思い受かべる人も多いと思います。

しかし,ここで登場したのは,

snub

という言葉。

初めて聞いたという人も多いのではないでしょうか。

今回のように日本語では,

「無視する」

と訳されることも多い “snub”ですが,実は単なる“ignore”とはニュアンスが違うのです。

どんな違いがあるのでしょう。

― “ignore”と“snub”の違い―

“ignore”

「意図的に気づかないふりをする」
「見て見ぬふりをする」

というニュアンスなのですが、必ずしも侮辱や敵意を込めるわけではありません。

例えば:

“ I ignored the noise and kept studying.”
(騒音を無視して勉強を続けた)

“ She ignored his comment. “
(彼女は彼のコメントを無視した)

この場合、行為そのものは

「相手を軽んじた」というより

「あえて反応しない」「取り合わない」

といった事実ベースの表現です。

では, “snub”はどうでしょうか。

“snub”

「相手をわざと冷たく扱う」
「軽んじてあしらう」

という、侮辱にも似た相手の感情を傷つけるニュアンスを伴っているのです。

“ The boss snubbed his question and moved on. “
(上司は彼の質問を冷たく無視して次に進んだ。)

“ She felt snubbed when her invitation was ignored. “
(彼女は招待を無視されて冷たくあしらわれたと感じた。)

つまり

“ ignore” →「あえて対応しない」=無反応(必ずしも侮辱ではない)
“ snub” →「冷遇する」「悪意をもって無視する」

といったニュアンスです。

このように “snub”には,

「相手を冷たく扱い,軽んじたり侮辱したりするような強い響き」

があるのです。

しかし,「差別だ!」という意見も多い中,なぜこの “snub”という言葉が多く使われたのでしょうか。

理由は大きく二つあります。

まず,“discriminate”は「差別する」という強い表現で,意図的に人種や性別などを理由に不公平な扱いをしたと断定するときに使われます。

今回の行為が本当に差別だったかは分からないため,報道で用いるには重すぎたのですね。

一方,“ignore”は「無視する」という意味ですが,そこには必ずしも冷たさや侮辱の感情は含まれません。

単に「反応しなかった」と述べる程度で,今回のように多くの人が冷たさを感じた場面を表すには弱い表現でした。

そこで選ばれたのが“snub”

これは「相手を軽んじて冷たくあしらう」というニュアンスをもち,差別とまでは言わないものの,冷淡で失礼に見える態度を的確に表すことができたのです。

セレモニーなどでは,ほんの一瞬のしぐさが注目を浴びやすいもの。

笑顔で握手するかどうか,アイコンタクトをするかどうか。

そうした些細な行為が,ときに本人の意図を超えて

「相手を軽んじたのでは?」

という大きな話題に発展してしまうんですね。

今回のダウニーJr.の行為も,本人が意識していたかどうかは分かりません。

ですが,“snub”という言葉で表現されたことで,

「単なるすれ違い」

以上の印象を多くの人に持たれてしまいました。

でも付け加えておきたいのは,授賞式の舞台裏では二人が握手やハグを交わしていたということ。

つまり,実際には良好な関係だったにもかかわらず,その一瞬の切り取られ方が“snub”と報じられてしまったのです。

このエピソードから分かるのは,英語での“snub”は「単なる無視」ではなく,
相手を「冷たく扱う」「相手を軽んじる」という深いニュアンスを含むということ。

あなたがもし日常で,

「ちょっと冷たくされた」

と感じたとき,

“I felt snubbed.”
“I felt like a snub.”

と言えば,その心のチクッとした痛みまで伝えられると思いますよ。

でも,そんな表現,使わない状況が一番ですけどね。

ということで,今日も良い一日を!

See you next week~!

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