おはようございます。
木曜日のCozyです!
突然ですが,みなさん「ファジー機能」って覚えていますか?
そう,あのファジーです。
30年ほど前,洗濯機や電子レンジなどの電化製品に
「Fuzzy 機能!」
なんて書いてあって,ちょっとした流行になりましたよね。
でも,「これって何がどうスゴイの?」と首をかしげた人も多かったのではないでしょうか。
私もその一人。
なんとなく最先端っぽいけど,実際には“微妙に”よくわからない……そんな空気でした。
実際, “fuzzy”って何だったのでしょうか。
あなたはわかりますか?
―”fuzzy” は「賢い」じゃない!?―
あの頃の家電カタログには,Fuzzy という言葉がまるで魔法の呪文のようにたくさん使われていました。
「自動で考えて最適に動く」というニュアンスを込め,
「ボタンひとつで,あとはおまかせ!」
とキャッチコピーが並ぶ。
実際は水量を自動調整するとか,加熱時間を少し変えるといった機能だったのですが,消費者にとっては十分に新鮮で,ワクワク感をそそるものだったと思います。
でも,英語の “fuzzy” って,本来は
「ぼやけた」「はっきりしない」
という意味。
英語では,
“My memory is fuzzy.”
“Things are fuzzy in my mind.”
のように,「記憶が曖昧だ」「うまく思い出せない」という使い方をしたり,
“The picture is fuzzy.”
(写真がぼんやりしている)
“The rules are bit fuzzy.”
(ルールが少し曖昧だ)
のような使い方をしたりします。
このように,ちょっとネガティブな響きなのに,日本では「賢い自動化!」みたいに使われていたんですね。
ここで思い出したのが,「微妙」という日本語。
この言葉,褒めにもなるし,やんわり否定にもなるよく使うことば。
でも英語で「微妙」と言いたいときは,場面に応じていろいろな表現で言う必要があるんです。
―「微妙だった」= so-so?―
例えば,映画やレストランの感想で「微妙だった」とちょっとネガティブに言う時,
“so-so.” とか “not great.” がピッタリです。
A: “How was it?”
(どうだった?)
B: “So-so.”
(まあまあ=微妙)
こんな感じ。
よく日本では,
“How are you doing?”(元気?)
と聞かれて,
“So-so.”
と答える人が結構います。
これは,ネガティブな意味の「まあまあ」に捉えられてしまう可能性がありますので要注意!
“I’m OK.”
“I’m good.”
のように答えましょうね。
―「繊細な味」は「微妙」?―
「この微妙な味わいがまたいいんですよ」
などがそう。
この場合は
“subtle”(わずかな,かすかな)
“delicate”(繊細な)
がいいかもしれません。
“This wine has a subtle flavor.”
( このワインには微妙な風味があり,味わい深い)
“The color balance is delicate.”
( 色合いのバランスが 微妙で美しい)
―やんわり否定の「微妙」―
「うーん,それはどうかな」
のように,首をかしげるようなネガティブの感じの時ってありますよね。
「それはちょっと微妙かなぁ」
というニュアンスです。
そんな時は,
“awkward(気まずい,ぎこちない)”
“questionable(疑わしい,信頼できない)”
“iffy(怪しい,はっきりしない)”
が使えます。
“That’s a bit awkward.”
(それはちょっとぎこちないね=微妙だね)
“His explanation is questionable.”
(彼の説明は信頼できない=微妙だ)
“The weather looks iffy.”
(天気が怪しいね=微妙な天気だね)
まさにちょっと疑わしい,ネガティブな「微妙〜」って感じじゃないですか?
―予定が「微妙です」って?―
日本語だったら,
「行けたら行きますね。」
と言って,気乗りがしないときの断り方みたいな(笑)
そんな時は,
“It’s kind of tricky.”
(それはちょっと難しいかも=微妙かもしれない)
“Not the best timing.”
(あまり良い時期じゃない=タイミングが微妙)
ということができます。
“That day is kind of tricky.”
(その日はちょっと微妙ですね)
……やわらかいけど…ね,
言いたいことは伝わりますよね。
―グレーゾーンの「微妙」―
そんな場合もあると思います。
これは,
“It’s a gray area.”
(グレイゾーンです)
なんて言うこともできます。
まさに白黒つけづらい「微妙」です。
ここまで見てくると,日本語の「微妙」って一語でまとめちゃうけど,英語ではちゃんと切り分けなきゃいけないんだな,ってわかりますよね。
さて,最初に話した “fuzzy”。
家電の「ファジー制御」は,水量などが厳密じゃなくても「だいたい最適」を選び取る力がウケたのかもしれませんね。
でもこの「だいたい最適」,実はこれって英語の表現にも必要なんです。
褒めるなら “subtle”/”delicate”,
否定するなら “not great”/”iffy”,
予定なら “kind of tricky”,
線引きなら “a gray area”。
各場面での「だいたい最適」を知っていれば,日本語の感覚を英語でもきちんと伝えられるようになりますよ。
それでは,今日も一日 “fuzzy”で乗り切りましょう!
See you next week~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。