ニューヨークでレストラン等を探す際、何かいいグルメアプリありますか?と聞かれることがあります。たくさんありますが、周りの知り合いなども、「 Yelp 」これが1番ポピュラーだ、と言っています。しかしながら!私は今ほとんど使っていません。はてさてなぜか。
まず、ニューヨークでは、外食の値段が高級で、外食自体あまりしないから。私は、生涯ジャズ・ミュージシャンなので、ずっと、いわゆる貧乏暮らし(?)。
私たち音楽家などのクリエイターは、もしエキストラな収入があれば、それを自分のCDの制作費に回したり、良さそうな音楽を聴きに行ったり、超有名な演奏家のレッスンを受けたり、CDを購入したり、そういうことの目的のためにニューヨークに住んでいるわけで、外食って、もったいなくて、滅多にしない贅沢品なわけなんです。
ニューヨークでは、外食できる人たちの仕事の層がやっぱり決まっています。ちゃんとした高収入の職業についていないと。
というのも、ニューヨークでは、ほとんどのことが、払う値段と正比例します。
日本のように「安くてうまい店」や、「安くて美味しくておまけにヘルシー」なんていうレストランは、現実に存在しないんですよね。なので、外食となると、やっぱり値段が高級になるんです。
そして、たまの外食が、さらに遠のいてしまったのは、このパンデミックのコロナ禍で、約3年間、ニューヨーカーはレストランで食べ歩くと言うことに制約が生じたので、たくさんの人気カフェやバー、レストランがクローズしてしまったから。
デリバリーでもオッケーなお店は持ちこたえたのですが、店内がすてきな雰囲気とか、そのお店で食べるのがステータス、みたいなところは軒並みやられたみたいです。
また、パンデミック前と比べて、味が落ちたとよく言われています。1年以上レストランの室内営業ができない期間が続いたため、腕の良いシェフたちが、生活のために他の州へ移ったので、ニューヨークから流出してしまった、というのもあるそうです。
さて、デリバリーを利用することはありますが、頼むのなら、自分の住んでいる近所の常連の店なので、アプリで探す必要はないんです。午後4時まであるランチメニューをとっておいて、夕食にすれば割安で済ませることができるし、買い物はほとんどデリバリーとなり、まず外出することがなくなったので、外出先で何か必要に迫られて食べるということがなくなりました。
もう一つ、アプリで検索しなくなったのは、最近はどのお店もホームページが素敵すぎるって言うこと。
どういうことかと言うと、新しいお店に行ってみたいと思ってチェックすると、結構若い人がオーナーで、デジタルデバイスを上手に使いこなしていて、ホームページが素敵すぎて、・・・行ってみるとがっかり・・・することが何度もありましたから。
あとは、自分で作るよりもおいしいと思えるレストランが、そんなに見つからないからかな。日本に住んでいる皆さまには、信じられないだろうと思いますが、日本のレストランのレベルは、絶対に世界最高峰です。
そんなわけで、ニューヨークで流行ってるアプリは私は使ってないんです。
使われる際は、「 Yelp 」がいいそうです。
ではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。