デイライトセービングタイムってご存知でしょうか?
日本ではサマータイムという通称でご存知な方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカでは、ほとんどの州で、1年に2回、春には1時間早め、秋には1時間遅く、と時間を変更するタイミングがあります。この春から秋の間を、お日様が出ている時間を大事に明るく過ごそうね(=電気代節約!)っていう感じで「daylight saving time」、又は「DST」と呼びます。
アメリカでは、サマータイムと言うと、ガーシュインのオペラで代表されるような「熱い夏の日々」のイメージなので、この「デイライトセービング」の事は指しません。
なぜ時間変更するの?
やはり人間は、太陽の昇るのと共に起き、そして夕暮れとともに家で休む生活だと、エネルギーがずいぶんと節約できるようです。日本でも、戦争直後にアメリカ人がこの制度を導入しようとした時期もあったらしいのですが、慣れない慣習は、やはりややこしいのと、日本人は変化を好まないため、数年で中止になったとのこと。
ヨーロッパでは、中止にしようとする動きもあるらしいのですが、コロナ禍でなかなか議論が進まないらしい。以前夏時間の時に、よくパリへ行っていたのですが、日没が夜10時過ぎなので、会社が終わってからも、いろんなところで人々がハングアウトしていました。
外が明るいから、家に帰るのがもったいないと思う人も多いのか、サイドウォークカフェ等はいつも人で溢れていて、ワインをカラフェで注文して、ワイワイ飲みながら、人々がいろんな論争を戦わせていたのが、懐かしく思い出されます。
早めるんだっけ?、遅らすんだっけ?
いざ変更する際に、あれ?早めるんだっけ、遅らすんだっけ?ってならないように、”Spring forward, fall back” (前に跳び、後ろに倒れる = 春は針を前に進め、秋は後ろに戻す)と覚えます。
近年、春は3月の第2日曜午前2時、秋は11月第1日曜午前2時のタイミングで変更するので、と言う事は日本の皆さまがこの記事を読んでおられる頃は、ニューヨークはすでに夏時間となっております。この記事を書いている今日(3月12日現在)は、いまだにロングのダウンジャケットを着ており、3日後には雪の予報も出ておりますが、それでもサンセットはほぼ午後6時。ついこないだまで午後3時半には薄暗くなっていたことを考えれば、春はすぐそこまで来てるなーって思える今日この頃です。
DSTハプニング
この、時計を1時間、今年ですと3月13日(土)の夜寝る前に、進めてから寝るっていうのは、今でこそデジタルで、それぞれデバイスが自動でやってくれますが、昔はほとんどの目覚まし時計は手動でしたので、この1時間の差によるハプニングも起こっていました。
春、日曜日の演奏の日、ミュージシャンがひとり、堂々と当たり前の顔をして1時間遅れてきたことがありました(笑)彼はこの日がデイライトセービングだと言う情報を、テレビやラジオから聞き逃したのでした。当時はメンバーが揃わず大変な思いをしましたが、今でこそ、笑い話です。
またある人は、秋のデイライトセービングタイム終了翌日の大学のクラスで、これまた週末たまたま誰とも話さず、テレビも見ず、月曜日、普段通りに学校に行ったら、プロフェッサーもクラスメイトも誰も現れなかったと(笑)
そして、これは一歩間違えればなお話ですが、外国人で米国旅行中に、この1時間の差に気がつかず、飛行機に乗り遅れそうになった、と言う話も聞いたことがあります。
スマホの時計も含め、デジタル時計の場合はきっと大丈夫ですが、アナログ時計をご利用の方は、お気をつけください。
最高の省エネ
ハワイ州、そしてアラバマ州などは、このデイライトセービングタイムが無いそうです。これはきっと、いつも日の光に恵まれているからですね。
太陽って、毎日私たちを照らし続けてくれて、本当にありがたい。なので、なかなか太陽が当たらない地域では、少しでも貴重な太陽光を有効に使おうと、こんな工夫を生み出したんですね。無料でできる最高の省エネだと思います。
さあ、2021年は、人々が、どんどん外に出られる年になりますようにと祈るばかりです。
引きこもりは、普段できなかったことができたり、とってもいろいろ勉強できましたが。でもそろそろ・・・。1年でちょうどよかった気がします。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。