「あなたの国の〇〇って、どう言うの?」、
この一つの質問だけで、私は外国人と仲良くなってきました。これを聞くと、どの外国人もとても誇らしげに答えてくれます。
今回はそれをお伝えしたいと思います。
##普段のお仕事中に
私が勤務している研究所では、宿泊施設や食堂も併設しているため、色々な外国人研究者の方が、宿泊費や食費の支払いに事務所へやってきます。その時の対応も私の大切なお仕事の一つ。
その時に私はなるべく彼らと話すようにしています。
「この施設はどうでしたか?」や「不都合はありませんでしたか?」や「食事は大丈夫でしたか?」など・・・施設の事から、彼らの生活全般の事まで。
このリサーチは、私と外国人とをつなぐ大切なツールです。
彼らの不都合な事は、私たちが運営する施設の改善点となり、次回は快適にすごしてもらうための重要なポイントです。
ただ、、、外国人は不平不満をあまり口にしません。
私たちが外国へ行くとそうであるように、言語の不都合、言っても理解してもらえないかもしれないという思いと、所詮すぐに立ち去る場所なので、そんな事に無駄な労力を割くことをしたくないと考えています。
それがわかっているので、あえて不都合だったことを質問します。
##ある時の質問の中で
いつものように、宿泊施設の支払いに事務所へ来た外国人へ、私は問題がなかったかと聞こうとした時
ある外国人が、自国の言葉でお金を数えていました。
余談ですが、お金の数え方は、日本と海外では違っています。
10,000円を「1万円=one million yen」と直訳することはありませ。4桁で数えるのは日本の方法で、海外では3桁で区切って、「ten thousand yen」と言います。
だから、日本語から英語へ直訳するととんでもない混乱をまねき、外国人は目をむいて驚く時があります。
さきほどの外国人の話へ戻りますが、彼はどうやらスペイン人のようでした。ラテン語っぽい言語でお金を数え始めました。
私は思わず「それはスペイン語?数字は何て言うの?」
外国人は嬉しそうに笑いながら「スペイン語では、uno,dos,・・・・・」と指を使って数字の数え方を教えてくれました。
私は「この金額は、なんていうの?」とスペイン語の数え方を教えてもらいました。
外国人は支払いを終えて、帰るときに、
「CHAO!!(チャオ)」
と、とびきりの素敵な笑顔で言いました。
私も「CHAO!」と返しました。
これは「じゃあね!」という別れ際のカジュアルな表現です。
数字を聞いただけなのに、こんなに喜んでくれるなんて、信じられない!と、私も彼らの笑顔を見るたびに嬉しくなりました。
##ただこれを聞くだけで
それからは、外国人が宿泊施設の支払いに来るたびに、外国人の自国の数字の数え方を聞きました。
英語圏でない国の人達は、とてもうれしそうに会話をしてくれるようになりました。数字の数え方をすぐに忘れてしまう私は、何回も聞きます。それでも、そのたびに外国人はニコッとしながら、数え方を教えてくれるのです。
英語ではない自国の言葉に興味を示す、それはその人に興味を示していると思われているようです。私も時々、外国人の学生から「〇〇という言葉は、日本語では何て言うの?」と聞かれると、妙にうれしくなり丁寧にニコニコしながら答えてしまいます。
この数字の数え方を聞いたのがきっかけで、その人の国の挨拶やいろいろな言葉を教えてもらうようになりました。「こんにちは」や「ありがとう」などはすぐに覚えられるので、廊下ですれ違うときにも言葉を交わすようになり、いろいろな外国人と長い英会話無しに、すっかり仲良くなっていったのです。
仕事の事を話すときは英語なので、私は日本語訛りの英語を話します。だけど、相手が既に心を開いてくれている状態だと、みんな私に好意を持っている状態からの会話なので、多少間違えても「それって、〇〇ってこと?」と笑顔で聞いてくれて、とても友好的にスムーズに進むようになりました。
ただ、数字の数え方を聞くだけで、私はいろいろな外国の人たちと仲良くなったのです。
外国語は不思議な力を持っていると思います。ただ話せるだけではなく、その国の言葉を知ることは、その国の人たちを肯定することにつながるように思います。
自分の生まれ育った国を尊重されて、嬉しくない人はいません。
英語を話すだけではなく、外国人の自国に興味をもって接してみると、もっと外国人と仲良くなれます。その親密度は、言葉を交わすより深いのです。
相手を理解するということに重点を置いて接すると、英語を話すということに重点を置くより、私達は世界中の人達と、とても仲良くなれます。
京都が大好きで光華女子学園へ進学、卒業後、大阪の企業で経理課勤務。仕事が肌に合わず、夢だったイラストレーターを目指して大阪芸術専門学校へ。賃貸住宅ニュース雑誌社へ派遣社員として就職。その後地元へ帰り、地元のフリーペーパーやパチンコ店などのポスター制作するグラフィックデザイナー、ベジタリアン・ヴィーガンのお料理の先生、バンドのドラマー(ジャズ・ロック・軽めのフュージョンなどジャンルを問わず、地元ではセミプロとして活躍する。プロドラマー海野俊介氏に師事)、お琴奏者(趣味で名取まで取得)、演劇が好きで劇団にも少しだけ所属・・・など様々な経験を経て、英検3級しかありませんが、縁あって現在は、某施設で外国人担当のお仕事をしています。