こんにちは
NYのKayoです。
今回のお話は、以前お伝えした「ご家庭にある、不要な拳銃買い取ります」というお話に関連した、アメリカの銃に関するお話です。
クリスマスに必ず流れる映画に「え?」と思う場面
アメリカのホリデーシーズンになると、テレビのチャンネルは一気に、クリスマス一色になり、朝も昼も夜も、気がつけば歴代のクリスマス映画が延々と流れています。
その中でも、毎年必ず登場するのが、1993年の映画「A Christmas Story / クリスマス・ストーリー」。
日本人が初めて見ると、ちょっと気づきにくいかもしれませんが、少しばかり深読みしてみると、正直「え?」と思う場面が、あるんです。
男の子が欲しがったプレゼント
何がそんなに引っかかるのかと言うと、主人公の男の子が欲しがるクリスマス・プレゼントが、ライフル銃のおもちゃ、見た目だけの玩具ではなく、おもちゃの弾とはいえ、実際に撃つことができるタイプのもの。
さらに驚くのは、クリスマスの朝、その銃の使い方を誇らしげに教えるのが、父親だということです。
日本で育った感覚だと、
「サンタから銃?」「しかも父親が使い方を教える?」
と、どうしても頭が追いつきませんよね。
アメリカ人に話を聞いてみると、当時は、ほとんどの男の子が、ライフル銃や拳銃の、実際に打てるタイプのおもちゃをクリスマスにもらったのだそうです。
アメリカ人のシンボル、生きるための道具である銃
日本で言えば、子どもが侍に憧れて、刀のおもちゃを欲しがる、そんな感じでしょうか?
でも実は、ここには大きな違いがあります。
日本の刀は完全にファンタジーです。あれは、時代劇の世界の小道具であり、現実に切ったり刺したりする場面に出会うことはありません。
一方、アメリカにおいての銃は、「象徴」であると同時に、現実の生活の中にずっと存在してきた「道具」でもあります。
アメリカの歴史を少し振り返ると、銃は、私たち日本人が、つい考えてしまいがちな「悪者が持つもの」、というよりも、「生きるための道具」でした。
・狩りをして食べ物を得るため
・猛獣から家族や家を守るため
・広い土地で悪者から身を守るため
そうした時代背景の中で、銃は恐ろしいものというより、頼りになる相棒のような存在で、現実的な道具だったのです。
父から息子へ教える「責任」
映画の中で、父親が息子に銃の扱いを教える姿は、
・慎重に扱え
・責任を持て
・家族を守れ
というメッセージが、しっかりと込められています。
アメリカでは、こうした場面が「男の子が、大人になる通過儀礼」として、受け取られてきた側面もあるようです。
日本で言えば、包丁や車のような感覚
ニューヨークのような大都会だと、なかなか身近にそういう、父と息子を見る機会はありませんが、何しろアメリカは大きいので、大自然の中で生活している人びとの方が多いのです。
もし日本で例えるとすれば、
・初めて包丁を任される
・初めて一人で車に車を運転する
そんな感覚に近いのかもしれません。
銃と「自由」が結びついた国
さらにアメリカでは、銃は「自由」や「独立」とも強く結びついている点があります。
アメリカの憲法第2条に書かれている、「国民の武器保有の権利」は、政府に対する抑止力、にもなっているそうです。
多くのアメリカ人にとって、理屈だけではなく感情の問題も含まれており、祖父から父へ、父から子へ、と語り継がれる記憶の中に、銃が組み込まれている家庭も少なくないようです。
最近では、銃規制強化推進派も
もっとも、今のアメリカで同じ光景が当たり前かと言われると、答えはノーです。
銃による悲しい事件がずいぶんと増え、子どもに銃のおもちゃを与えることに違和感を覚える人たちも確実に増えました。
銃規制強化の運動は、年々盛んになっています。
それでもこの映画が毎年放送され続けるのは、良くも悪くも「かつてのアメリカ」を映したタイムカプセルだからなのでしょう。
まとめ
拳銃はギャングや悪人のもの、という日本人の感覚は、とても自然だと思います。
ただアメリカには、そこに重なってくる、まったく別の歴史と感情があります。
その温度差は、両国の全く異なる歴史の違いから来るのだと、私はこういう懐かしのアメリカ映画を見ると、なんだか少し納得できるような気がするのです。
もちろんこれ以上、拳銃による乱射事件など、絶対に起こさせてはなりません。
ですが、日本の皆さまにも、こういう見方もできると言うことを知っていただけたなら、何かこのアメリカのガン問題、解決方法の糸口となるかも、とも思えるのです。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。

