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“sympathy”って「同情」じゃないの!?

World Lifeな生活
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おはようございます。
木曜日のCozyです!

最近,街中やテレビで昔の歌が聞こえてくることがあります。

その中で印象に残っているのが,杏里さんの

「悲しみが止まらない」。

実はその歌詞の中の英語で,

「えっ!?」

と思うものがあったんです。

「二人は◯◯◯◯◯感じ〜てたぁ♪」

この◯の部分,

どんな言葉が入るか覚えてますか?

―シンパシーって同情じゃないの?―

今流行りの曲もいいのですが,昔の曲が流れてきたりすると

「お!?」

って思う時ありますよね。

私は洋楽が大好きなので,Bon Jovi

“It’s my life~♪”

や,Def Leppard

“Pour Some Sugar on Me”

なんて流れてきたら,超嬉しくなってしまいます。

そんな昔の曲ですが,邦楽でもたくさんの名曲がありますよね。

この杏里さんの「悲しみが止まらない」もそう。

まずは歌詞を思い出してみてください。

https://www.uta-net.com/song/1341/

私が中学生の頃に出た曲でした。

当時はなにも思っていませんでしたが,

今回流れてきた歌詞を聞いていたら,

「え?」

と思ったんです。

それが,

♪ふたりはシンパシー感じてた♪

という部分。

たしかにメロディに乗っていれば,何の違和感もなく流れていくこのフレーズ。

でも,ふと立ち止まって考えると……

英語で “sympathy”って「同情」という意味ですよね。

英語で “sympathy” というと,一般的には次のような意味になります。

「同情」や「哀れみ」「お悔やみ」
She felt sympathy for the victim.(被害者に同情した)

このような恋愛とはちょっと離れた意味が一番に掲載されています。

だから恋愛ソングの中で

sympathyを感じる」

と言われると,ちょっと微妙な感じがします。

だって,

「親友と彼が同情し合ってた」ってこと……?

って思うじゃないですか。

さらに意味を調べていくと,

「感情の共有,共感」
I have sympathy with your opinion.
(あなたの意見に共感する)

という意味もあります。

でも,

「二人は共感し合ってた」

というのも,意味はわかるけどそんな恋愛で言うかなぁ。と思う私だったんですよね。

―時代がうつす歌詞のトレンド―

ここで重要なのが,これは1983年にリリースされたJ-POPの歌詞だということ。

当時のJ-POPでは,英単語を“カタカナ語”として,独自の感覚で使うのがトレンドだったそう。

例えば,この2年後に流行った曲

「ロマンティックが止まらない」/C-C-B(1985)

このタイトルを英語にしてみると,

Romantic won’t stop.”

としてしまいがち。

でも, “Romantic”は形容詞なので,

“Romance won’t stop.”

としなくてはなりません。

でも,あえて “Romantic”とすることで,日本人にその意味を想像しやすくし,より印象付けているんですね。

まさに,雰囲気優先で造語的に使っている好例です。

「ロマンティックがとまらない」…あ,タイトルが「悲しみが止まらない」,と似たようなものになってしまった(笑)

さらにもう1曲。

「ロンリー・チャップリン」/鈴木聖美 with ラッツ&スター(1987)

♪ ロンリー・チャップリン〜 あ〜な〜た〜から〜♪

のとっても大人で切ないメロディですよね。

私,当時この曲を聞いてちょっと大人になった気がしました(笑)

さて,これは

“Lonely Chaplin”(孤独なチャップリン)

と日本語で考えると,全く不自然な気がしません。

でも英語としてはちょっと不自然なんです。

それはなぜか。

実は,

“lonely”のような形容詞のあとに,「人名」を続けることは,英語ではあまり一般的ではないんです。

だから,

“a happy girl.”(ハッピーな女の子)

という場合はいいのですが,

“happy Yuki”(ハッピーなユウキ)

とはあまり言わないんですね。

“Chaplin”とは,あのチャーリー・チャップリンのこと。

だから,

“Lonely Chaplin”

というのは,孤独な恋人像を象徴する造語的タイトルで,英語的にはちょっと不自然なんです。

―本来の意味とは異なっている!?―

さて,「悲しみが止まらない」に戻って考えてみると,

“sympathy”というのは,なんとなく

「印象的で」「切ない」

を伝えるための英語という感じ。

だから英語本来の「同情」ではなく,もっとふんわりした意味。

たとえば

「波長が合ってた」

「お互いに通じ合ってた」

「いい感じになってた」

といった

“なんとなくフィーリングが合ってた”

という日本的な解釈で読むのが正解なんですね。

「共感」ではなく「通じ合い」

よく見ると,これは「共感(empathy)」とも少し違います。

empathy はもっと深いレベルで相手の気持ちを理解すること。

でもこの歌詞で描かれているのは,主人公の「彼」と「親友」の間に芽生えた,

“言葉にできない何か”。

そこに“sympathy”という単語を乗せて,

「あの二人,なんか通じ合ってたんだよね……」

という切なさを表現しているんですね。

でも,英語のネイティブにこの歌詞を見せたら,きっと

「えっ,二人は同情し合ってたの?」

と首をかしげるかもしれませんね。

―カタカナの持つ独特な雰囲気―

邦楽におけるカタカナ英語は「意味」だけでなく「響き」や「感覚」も重視されます。

「シンパシー」という言葉が持つ,どこか繊細で複雑なニュアンスが,この曲のテーマとうまく重なっているからこそ,成立しているのですね。

あえて“英語っぽい言葉”を使うセンス

日本の歌詞には,他にも

“プライドを傷つけた”の「プライド」
“マインドが通じる”の「マインド」
“ファジーな関係”の「ファジー」

など,英語から来た言葉が,本来の意味とは違う独特な使われ方をすることがよくあります。

これは,次回のお楽しみ,ということで待っててくださいね。

さて,この杏里さんの「悲しみが止まらない」に登場する「sympathy」という言葉。

英語としては「同情」でしたよね。

でも歌詞の中では,

「共感するだけじゃない,もっと深くて意味深なつながり」

といった意味合いで使われています。

だからこそ,自分の切ない気持ちを,カタカナ英語で印象的に表現した名フレーズだと言えるのかもしれません。

時代が変わっても,この

「“言葉のズレ”から生まれる面白さ」

は,きっと色あせないですね。

ということで,また来週〜♪

See you next week!

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