英検は資格試験の中では最も良く知られているものの一つです。受験者数は膨大なので、あなたも受験経験があるかもしれませんね。
下の5級から1級のうち、3級以上では、筆記合格者に面接試験があります。面接官が一人の受験生とイラスト入りのカード等で数分間Q and Aを行います。
数年前まで私その英検面接官でした。
さて、その面接官時代のことです。私には受験生に思わず言いたくなる本音がありました。勿論、試験中に言ったことはありませんよw
さあその本音とは?
面接官の本音
その本音とは「嘘でもいいよ」ってことです。
どういうことかというと…
例えばこういう質問が面接に出たとします。
Which do you like better, summer or winter?
(あなたは夏冬どちらが好きですか?)
高校生なら十分答えられるレベルの質問でしょう。でも(どちらがいいだろう…)と悩んでしまう受験生は珍しくありませんでした。そんな時、私が何度も言いたくなったのが、
Either will do. I don’t care.
(どちらでもいいよ。私はどっちでも構わない)ということなんです。
(ちなみに面接のやり取りは全て英語です。)
英検は「言語」の試験
受験生は「どちらが好きか質問されたから、どちらか答えなければ」と素直に思いますね。これが誤解です。
さっきの質問も、確かに季節の好みの質問です。でも面接官が本当に知りたいのは、英語として正しい答え方ができるかです。
面接官にとっては、あなたがどっちが好きか自体は関心ゼロ。知りたいのは、あなたの英語の力であり、あなたの個人的な好みではないのです。
「言いたいこと」より「言えるか」どうか
さっきの受験生の状況をもう少し見てみましょう。仮にこの受験生が本当は冬が好きだとします。夢中なウィンタースポーツもある。ところが英語での言い方が分からない。
他方夏は嫌いだが、頭に浮かぶ単語はある。go swimming(泳ぎに行く),too hot(暑すぎ),can’t sleep(寝られない)など、何とかつなげて言えそう…
さあ夏か冬か、どちらにしたらいいでしょうか?
夏 | 冬 | |
言いたいこと | × | 〇 |
言えること | 〇 | × |
答えは、不本意でも「夏が好き」だと答える、です。あなたは「嘘をつけということ?」と思うかもしれませんね。この場合にはその通りです。
でも「ウソも方便」という言葉もあります。許されるウソもあると言う意味なら、今の場面にぴったりかもしれません。それにウソ発見器も置いてませんしねw
実際の会話なら、相手の興味・関心を尋ね合い楽しくやり取りする方が普通でしょう。
でも面接と日常の会話とは、別世界のルールです。面接は(英検自体も)英語力のテストで、あなたの興味・関心の調査ではないのです。こういう割り切りも案外役立つかもしれませんよ。
Good luck!
ここまで読んでくださったあなたなら、英検受験にも多少興味があるのかもしれませんね。言いたい事よりも、言えることを優先して英検では言いましょう。そっちの方が大切なこともありますよね。 See you!
(追伸:私がここで述べたことはあくまで私の過去の経験内のことです。最近の変化には触れていません。特にここ1.2年は感染対策をめぐる変化があるようです。正確な情報は英検の公式HP等を必要に応じてご覧ください。)
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員