Cotton Club / コットンクラブ・イン・ ハーレム
ウエスト・ハーレムの125丁目、赤のブロードウェイ沿いの地下鉄1、2または3のラインを北へ向かい、地上のハイラインとなる125丁目ステーション下車、
そこから西(ハドソン川の方)へ約7- 8分歩くと、かの有名なジャズクラブ、Cotton Clubがあります。1920年代にあった場所からは約20分の場所ですが、いまだにノスタルジアを感じさせます。
昨今、ここで一番盛り上がるのはなんといっても週末の、ゴスペルブランチのショーでしょうか。(現在はコロナパンデミックの規定で、2020年3月半ば以降、お店自体がクローズしたままですが、、、)
ブランチは、ソウルフードのバフェ(ビュッフェ)。ハーレムの人たちが大好きなフライドチキン、コーンブレッド(ほんわり甘いのがあとを引く)、ワッフル、 マック‘ン‘チーズ(マカロニチーズ)や、スクランブルエッグなど卵料理の数々、フランクフルトぐらい大きなビーフソーセージや、ぶ厚いハムステーキ、カリッカリのベーコンなどが所狭しと並びます。もちろんコーヒーは飲み放題。ショーは12時と2時半から。2回に分けて入れ替え制で行われます。確か、ショーと食事込みで、40ドルぐらいだったかしら。
ゴスペルのショーと言えば、やはり圧巻はハーレムの、普段、教会で歌っているシンガーさん達、背も高く、恰幅の良い黒人女性を想像されるのではないかしら。声楽家にとって、身体が楽器ですから、大きい方が断然有利。どう有利かと言うと、音域はもちろんのこと、音量も、とにかく演奏の(歌唱の)幅が出せるのです。(皆さんはお気づきか分かりませんが、素晴らしいコンサートホールになると、グランドピアノも特大なのはご存知ですか? 幅というか鍵盤数は同じですが、長さが長いものをコンサートグランドピアノといいます。会場が大きいのであまり気づきにくいですが、プロの演奏家は、とても長いグランドピアノをコンサート時には演奏します。)
ゴスペルとは、実際には、教会で人々の心の中にある深い祈りを歌にしたわけですから、スピリチュアルと言われる所以です。聞く上で知っておいた方が良い事は、ゴスペルは、もともとただのパフォーマンスのショーではない、と言うこと。ですから、教徒ではない我々でも、聞いてるうちに心の高まりを覚えたりします。トランス状態とでも言うのか、ゴスペルクワイア、彼らの声が、とても、心の深くまで入り込んでくるような感じがします。これらは、彼らが長い奴隷時代に耐え難い生活を送っていた、その魂の叫びなのかもしれません。普通に、人間の生の声のはずなのに、それが素晴らしい草原のアフリカで培われた清らかな魂たちとぶつかりあって、こんなにもスピリチュアルな音楽を作り出せるのかと思います。ぜひ、日本の皆さんにも聞いていただきたい、ニューヨークの素晴らしいものの1つです。
ハーレムと言うと、実は1920年代、この時代の突出した文化発信地として「ハーレム・ルネサンス」が有名です。ここニューヨークに、長い奴隷解放運動の後、アフリカや大西洋諸島の黒人らの子孫等、若いクリエイターたちの才能が押し寄せ、絵画、ジャズ、ゴスペルなどの音楽、小説、ポエム、ダンス、舞台等、目を見張るものがどんどんもたらされたのです。こんなお話も、これから紹介していきますね。
次回は、同じハーレム内125丁目、あのスティービー・ワンダーやダイアナ・ロス、ジャクソン5たちが出演していたアポロシアターも、特集します。少しお待ち下さいませ。
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。