突然ですが、クイズです!
3月17日は何の日でしょう?
日本では「漫画週刊誌の日」だそうですが、アイルランドを始め、欧米諸国では「聖パトリックの日」です。
聖パトリック??聞いたことがない人もいるかもしれません。
日本では馴染みのない聖人の名前とその祝日。
St.Patrick’s Dayではどんなお祝いをするのでしょうか?
<ちっさいおっさん、レプラコーン?>
聖パトリックは、アイルランドの守護聖人で、アイルランドにキリスト教を広めた修道士。3月17日は、その聖パトリックの命日で、アイルランドでは祝日なのです。
聖人の命日の日と聞くと、静かでしんみりとしたイベントのように感じるかもしれません。
が、実は正反対の賑やかなイベント。
私は、アイルランドのSt.Patrick’s Dayは知らないのですが、オーストラリアにいる時にSt.Patrick’s Dayを体験しました。
というよりも、遭遇したのです。昼間に友人たちと集まってどこかお茶でもとウロウロしていた時。いつもはこの時間だと静かなアイリッシュパブが外のテラス席まで満席!中も人が溢れビールジョッキ片手に大きな声で騒いでいるのです。
しかも、その人たちは緑色のTシャツや緑のシルクハットを身に着け、中にはオレンジ色の付けひげを付けている人も。まるで仮装パーティ!昼間からお酒を飲むのが珍しくないオーストラリアでも、その恰好がとにかく目立ったのです。
私たちもその賑わいにつられパブの中へ。飲むつもりはなかったのに、つられてビールを注文。お店の人に「何かのイベント?」と聞いてみると「It’s St.Patrick’s Day!」と。
St.Patrick?? その当時は聖人の命日とも知らず「へ~、そうなんだ。よく分からないけど、なんか楽しそうなイベントだなぁ」。周りの陽気さにつられこちらも楽しくなっていく。
それにしても彼らの恰好が気になる。知らない人に声をかけるのは苦手だが、お酒を飲んでちょっと気が緩んだのと、相手も賑やかにしていて話しかけやすそう。勇気をだして近くで飲んでいる人に聞いてみる。
「なんで、あなたたちはそんな格好してるの?」
すると、「レプラコーンだよ。ほら、あれ」と指さした先には、全身緑で、帽子に赤ひげのおじさんのステッカーがあった。
「あ、あの帽子と付けひげ、これだったんだ~!」
おじさんだけど、どこか愛嬌がある。なんと彼は妖精らしい。私の中の妖精は、羽が生えていたり、服もヒラヒラしててもっとかわいいイメージだったけど…。
この妖精レプラコーンは、完全に「ちっさいおっさん」だ。お酒もよく飲むらしい。それでみんなも飲んでいるのかも。
「St.Patrick’s Dayはアイルランドの祝日で、その日にはみんな緑の物を着たり、レプラコーンの恰好をするんだよ」と何も知らない私たちに色々と教えてくれる。
「あ~、それでアイリッシュパブ!」
謎がどんどん解けていく。勇気を出して聞いて良かった。それからその隣のグループとも一緒に飲む事になり思いがけず楽しい午後の時間を過ごすことができた。私のSt.Patirick’s Dayの思い出。
<レプラコーンに捕まるぞ!>
ところで、St.Patrick’s Day は、アメリカでもお祝いされているそうなんです。
私の中では、アイルランドとアメリカの結びつきがなく、アメリカでもアイルランドの祝日をお祝いしてるのは意外でした。
実は、19世紀半ばにアイルランドでは主食のジャガイモが疫病で育たず大飢饉に陥る「ジャガイモ飢饉」があり100万人の人が亡くなりました。
餓死から逃れるため、その当時の人口の1/4にあたるアイルランド人がアメリカへ移住したそうです。そして今では、本国アイルランドの人口よりも、アイルランド系アメリカ人の方が多くなっているのだとか。
アメリカに渡った当初は、貧しい事や赤毛である事などから差別を受け、苦しい時代があったそうです。そんな中でも、アイルランドの人たちは団結し困難を乗り切っていったそうです。
そんなアイルランド人には“underdog”の強さがあると言います。underdogは、社会の中で力やお金がない人/グループ・(試合や選挙などで)勝ち目のない人/チームの事。社会的劣勢であった彼らが、その事を糧に頑張り、努力し大逆転した訳です。
現在ではSt.Patrick’s Dayの日には、パレードが行われたり、ホワイトハウスの噴水や、シカゴでは川まで緑色に染められる程の盛大なイベント。
そして、この日は、「緑色の物を身に着けなければいけない」という言い伝えがあって、身に着けていないと運が悪くなる。そして、ちっさいおっさんレプラコーンに捕まってつねられてしまうというもの。
なので友達同士でその日に緑の物を身に着けていない人がいると、つねったりするそうですよ。
実は、これを教えてくれたのはアメリカ人の国際交流員。
オンラインの国際交流イベントがあって参加してみたのです。私の中では「St.Patrick’s Dayは楽しく飲む日」だけだった知識がぐんと広がって興味深かったです。
他にも、青色が聖パトリックの色だったのが、イギリスから独立した時の軍の色が緑色だった事から、緑色が聖パトリックの色になった。そして、聖パトリックが布教の時にシャムロック(三つ葉のクローバー)を使ってキリストの教えを説いた事からシャムロックが聖パトリック、ひいてはアイルランドのシンボルになったなど教えてもらいました。
ただ、「ん?」と思ったのが、アメリカ人が抱くアイルランド系アメリカ人のイメージ。アイルランド系アメリカ人のステレオタイプのイメージは、「お酒を飲む、声が大きい、陽気なキャラ」なんだとか。
でも、私が知っている2人の本国アイルランド人はどちらも、お酒はよく飲むけど、声も大きくないし、陽気ってほどでもないタイプ。育った環境で人格も変わっていくのかもしれないと面白い発見でした。
今は、多くのイベントがコロナで中止や自粛になっていますが、その代わりに色んなオンラインのイベントが増えていますよね。家に居ながら、海外の事が知れたり、海外旅行ができるのは今だからこそとも言えます。この時期を利用して、外国の事を学んでみるのもいいですね。
まだまだ、日本では知られていないSt.Patrick’s Dayですが、楽しいイベントなので、クリスマスやハロウィンのように日本でも浸透してくる日も近いかもしれません。
今年の3月17日は、レプラコーンに捕まらないように気をつけてくださいね!緑の物を身に着けたり、Guinnessビールを飲んだりしてSt.Patrick’s Dayを祝ってみましょう♪
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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