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【検証】某国の情報統制

World Lifeな生活
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もしもですが、日本政府があの『雪国』の冒頭を書き換えたらどうでしょう?
「トンネルを抜けたら雪国が消え、目に入るのは防空ミサイル基地だった」などと…

大問題になるに違いありません。ただ日本では絵空事のような気がしますが…

ところがなんです。

ロシア(旧ソ連)ではそれ以上の情報操作が実際に行われているようです。今回あなたにお話しするのは一冊の名著をめぐる権力の検閲疑惑。

あなたは『戦争は女の顔をしていない』という書名を聞いたことがありますか?
元々Svetlana女史というジャーナリストが書いたナチスドイツと戦った露女性兵ルポ。一人一人の肉声に基づくもの。彼女が2015年ノーベル文学賞受賞の理由のようです。

私はコミック版や映画版の紹介から『戦争は女の…』にとても興味を持ちました。そこでロシア語の原作を、英語版(とGoogle翻訳)を頼りに読み始めたんです。

そしたら妙なことが。ロシア語版と英語版が合わない個所が多すぎるんです。

さらに比べながら読み続けた結果、私はある疑念を深くしました。それはこの「ロシア語版」がどこかにあるオリジナル版を当局が書き換えたものではないかという疑念です。

私がそう怪しむ理由は4つ。

<怪しい理由①>

英米や日本は政府が検閲する理由がなさそう。そして日本語版英語版がほぼ完全一致する。
でこれら両版が、スベトラーナさんのオリジナル版と一致と考えるのが自然。

<怪しい理由②>

ロシア語版だけにしかない個所は、ロシア(or旧ソ)政府がいかにも付け加えそうな内容。

その例。
ある女性歴史家の話。

「戦争を研究する私が問うのは、女性が従軍する理由です。私の見るところまず国民性。祖国存亡時に育児や料理を捨てるのがロシア女性らしさです。次に戦争では男も女もなくなるから。平等と解放を望む女性に訴えるのでしょう。
…極限状態では、か弱く情緒的な女性が男性より我慢強くなります。40㌔の行軍で男や馬が倒れても、女は歌い歩き続けます。数多くの女達が自分より重い傷病兵を何十人も戦場から救出しました。輝かしい自己犠牲です。」
(政府が「ロシアの女性」という神話的イメージを作りたそう)

<怪しい理由③>

本物からカットされ英語版(=日本語版)だけに残っている個所の内容は、ロシア(or旧ソ)政府がいかにもカットしたそう。

③の例(その1)
ある女性曹長:「すぐ近くで起きた戦闘で、殺し合い、骨の砕き合い、銃剣の突き刺し合いを目にしたことが。今でも話すと心が折れそう。日常決して見ない殺戮現場を目撃したのだから。恐ろしく忘れられない。戦後の今も自分の悲鳴で夜目覚めることが…」
(余りにリアルで戦意を喪失させると考えられカットされたかも)

③の例(その2)
ある女性歩兵:「厳冬にドイツ兵捕虜数人が部隊の前を通りました。ボロ毛布を被り震え凍えていたのを今でも思い出します。
一人の若いドイツ兵が目にとまりました。涙を顔に凍り付かせ、私が教会へ手押し車で運ぶ予定のパンを、食い入るように見つめています。私は思わずパンの塊から一掴みちぎり、その男の子に差し出しました。彼は何が起きているのか信じられず呆然と…
当時の自分の行動理由は謎です。でも自分が一人の敵を憎悪できなかったのは確かです。」
(こんな敵兵への同情の話は、官憲にはとんでもないと思われるでしょう。)

<怪しい理由④>

検閲を疑う4つ目の理由。昨今ロシア高官が余りに見え透いたことを言います。例えば着弾痕から露国からの発射と考えられるミサイルに関し「いやミサイルが急カーブした」などと抗弁。こんな具合だと「検閲はしない」と言われても信じられますか?言わばいつもの行いが行いw。

以上、誰が考えても検閲の結果、内容が自在に増減したようです。

読み通してみて、改変の個所はざっと半分以上。

旧ソの手かそれとも現ロシアかは不確かです。しかしもし検閲なら酷いもの。国の都合だけ、ノーベル賞や文学への敬意など踏みにじる。しかも一冊だけの話。全検閲の実像は見当もつきません。

<英語=ライフライン>

さて今回あなたに伝えたかったのは、母国語だけに情報源を頼ることの危うさ。少し外国語、特に英語ができれば見破られることが母国語オンリーだと見えなくなります。

今もロシアの人々の多くは、この本を読みノーベル賞の人と信じて疑わないでしょう。ただ若者など英語を情報源にできる人々の考え方はかなり異なっていると言います。

英語で情報が手に入らない、英語が読めないリスクは大きそう。

英語はまさに情報ライフライン。英語で情報が取れるに越したことはありません。備えが必要なのは自然災害に対してだけではないようです。

See you later!
Jiro

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