「モヤモヤする」って表現,あなたは使ったことがありますか?
「説明できないけど,なんとなく違う気がする」
「なんだか腑に落ちない感じがする」
「言葉で表現するのは難しいけど,なんだか納得できない」
などのような,
「なんとなく,こんな感じの気持ち」
のときに使われることが多い気がするモヤモヤという表現。
英語で「モヤモヤする」ってどう言うのでしょうか。
あなたはどんな言葉を思いつきますか?
―怒ってないけどモヤモヤするー
「モヤモヤ」を辞書で調べると,
「靄(もや)がかかったように,はっきりしない様」
と載っていました。
まさに,YesでもNoでもないしはっきりしない感じですよね。
しかも,すこ~しネガティブな感情が含まれている気がします。
はっきりと言えることができれば良いのですが,そうもできない場合にも用いられるモヤモヤ。
英語ではどのように言うのでしょうか。
結論から言えば,英語では「モヤモヤする」という決まった表現はないのですよね。
なので,その時の気持ちを状況によって表します。
例えば,友人にLINEを送って既読になっているのに返信がない場合。
(読んだんだったら,返事くらいして欲しい)
(なんで返信してくれないのだろう)
(怒ってるのかな)
(忙しいのかな,でも読む時間あるんだから一言くらい返信できるでしょ。)
なんていろんな感情が頭の中をグルグルして,心はすっきりせずにモヤモヤ。
そんな場合は,
“bother”や “worry”を使うことができます。
“bother”は,(悩ませる,煩わせる)
“worry”は,(心配させる,やきもきさせる)という意味。
それを受動態(be動詞+bothered/worried)にして,
“I’m bothered.” (私は悩ませられている)⇨(悩んでいます)⇨(モヤモヤしています)
“I’m worried.”(私は心配させられている)⇨(心配しています)⇨(モヤモヤしています)
となります。
また,形容詞の “upset”(動揺して,気が動転して等)を使って,
“I’m upset.”(私は動揺しています。)⇨(モヤモヤしています。)
と表現することもできます。
これが日本語でいうところの「あ~モヤモヤする」に匹敵するんですね。
―イライラが伴うモヤモヤ―
先述した “I’m upset.”も,直訳すると
(私は動揺しています)
と言えますが,こちらも
「イライラした感情のこもったモヤモヤ」と表すこともできます。
「モヤモヤ」の中でもイライラ感を伝えたい場合は,
“annoy”を用いることができます。
“annoy”は,(いらつかせる,イライラさせる)という意味。
同じくこれを受動態にして,
“I’m annoyed.”(私はイライラさせられています)⇨(イライラしている)
となり,
“I’m annoyed with my boss.”
(私は上司にイライラ(モヤモヤ)している。)
“I’m annoyed to see my boss’s behavior.”
(私は上司の振る舞いを見ているとモヤモヤ(イライラ)する。
のように表現することができるんですね。
“annoyed with(人)”
“annoyed to(動作)”
のように, “annoyed”の次に「人」を入れるか,「自分の動作」を入れるかによって, “to”を使うか, “with”を使うかが変わってきますので,上の例文で覚えていきましょうね。
―腑に落ちない,納得できないモヤモヤ―
私はこの「腑に落ちない」というのが「モヤモヤ」という感情を最も表しているのではないかと思っています。
先日,冷蔵庫を買うために,大手の家電量販店へ行ったんです。
ある製品の機能について質問をいくつかして,他の製品も検討しようとしたところ,
「納品は◯日ですぐに手配いたします。伝票を作っておりますので,こちらでお手続きを…」と言われたんですよ。
「これにします!」とも何も言っていないのに,こりゃビックリ!
心の中では,「ある意味優秀な店員だな!」と皮肉交じりの感情が湧いたのですが,
「まだ買うと決めたわけではないので,また検討しますね。」
と言ってお店を後にしました。
このときの私の気持ちはちょっとモヤモヤ。
前述した, “I’m upset.”とも言えますし,
“I don’t feel good.”
(私は気分が良くない。)
とも言えます。
この “I don’t feel good.”も,日本語に訳せば(良い気分ではない)⇨(モヤモヤする)
とも言えると思うんです。
他にも,
「期待していたのにガッカリ。」という感じのモヤモヤには,
“I’m disappointed.”(私はガッカリさせられました)⇨(ガッカリした)⇨(モヤモヤ)
という感じでしょうか。
状況によって,様々な言い方ができるんですね。
―日本語と英語―
日本語の「モヤモヤする」は,はっきりとは言えない気持ちをぼんやりと一言で言える便利な表現。
日本人らしいと言えば,日本人らしい表現なのかもしれません。
ここまで読んでいただいた方はもうお気づきかもしれませんが,「モヤモヤする」という曖昧な表現を英語にするという今回のコラム。
でも,いざ英語にしてみるとその英語表現は
結構,「ど直球」(笑)。
日本語の「ぼんやり」した感じとはちょっと違いますよね。
日本では
「空気を読む」
「言わなくても察する」
と言うことがよくあります。
反対に,アメリカなどでは
「はっきりと主張する」
「きちんと相手に伝える」
というのが通常です。
このことからも,日本とアメリカを始めとする欧米諸国との違いがわかるような気がするんですよね。
やっぱり「英語は言語だけを学ぶのではない」ということだと思います。
「英語という言語を学びつつ,文化や習慣,考え方なども学ぶ」ということを意識するだけでも,
「◯◯って日本語,英語ではどう言うんだっけ?」
という,
「日本語をそのまま英語に置き換えようとする」
ことがグッと少なくなると思うのです。
いつも私が言っていることで恐縮ですが,
日本語を英語に直訳するのではなく,
「状況や気持ちを考えて,それを英語にする」
ということを意識して学んでいけば,絶対に英語はうまくなると思います!
ということで,これからも頑張って英語を学びましょう。
私もまだまだ頑張ります!
それでは,また来週~!
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。