クローズアップ現代でsmall businessが各地で活況と報道されました。そして、small businessの良さが述べ立てられます。例えば
◯何かの技術や興味(地ビール、コーヒー豆、整体術等)を元に開業できる。
◯自分の技術や興味を職人的に追及できる。
◯店が狭く、人員も一人二人なため始めるのも維持もコストが安い。
◯失敗しても大打撃は負いにくく、再出発できる。
何だかいいコトだらけ。わたしは(報道に偏りはないのか)と何だかもやもや。
というのも、以前読んだ米人のSmall buisinessの権威者Gerber/ガーバーの「E-Myth revisited」 を読んだ時の感動を思い出したからです。
これは数百万部のベストセラーになり、今でも世界中の起業家などに影響を与えているらしいです。
今頭に浮かぶのは、例えばこんな内容
職人的な技があればそれで開業できるというのは嘘だ。
事業には、職人的な技術プラス将来のビジョン、毎日の業務の管理が不可欠だ。将来へのプランの作成、業務分担や役割のシステムがなければ、早晩破綻する。実際開業後1年で4割、5年で8割が倒産する。
(最後にガーバーの言うコトです)
人数に関係なく起業時から経営の組織図を作れ。創業時少ない人員なら、同じ人が複数の役割・部署を兼ねる。
そして事業が軌道にのり人員が増えれば、新人が役割部署を担当する…(以下IBM創業者Tom Watsonの言葉)
”I(=Tom Watson)realized that for IBM to become a great company, it would have to act like a great company long before it ever became one.”
(私が意識したのは、IBMが大企業になるには、創業時から大企業のような経営が必要だということだ。)
さて今回私ガーバーを改めて読んだんです。そしたら、だんだんもやもやが消えました。
結局ガーバーのスモールビジネスは、一番が事業の拡大。プランや組織も、つまりは事業拡大の為だったんです。
他方日本のsmall buisinessのオーナーは「businessは維持でOK」らしいから、結局一番の目標は職人技の追及。そう言えばものづくりの職人技とかは日本の伝統。
それにクローズアップ現代で報じられた次の2点。ガーバーの本には勿論出てきません。
1つ。コロナ過後に、日本の消費者に地元志向・本物志向が強い。
2つ。人口減少対策の一部で、地方自治体がスモールビジネスを奨励する場合も。
つまりクローズアップ現代とガーバーは見方の違い。繰り返しますが、まとめると
◯Gerberのsmall business
~拡大ファースト。将来の青写真が不可欠。
◯クローズアップ現代のsmall business
~職人技ファースト。businessは現状維持。今社会的追い風がある。
結局今回はクローズアップ現代が偏った報道…というワケではなさそうです。
洋書は別の視点を提供してくれるので、報道を色々な角度から見るのに役立ちます。やはり英語を学ぶのは良いですね。
See you next time!
Jiro
追記:
英語版には「職人のこだわり」がより詳しく。
↓ ↓ ↓
英語版はこちらから☆
追記:
◯NHKクローズアップ現代 2024年5月16放送
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4900/
◯The E-Myth Revisited:
Why Most Small Businesses Don’t Work and What to Do About It 2004/10/14
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◯邦訳 はじめの一歩を踏み出そう。
―成功する人たちの起業術
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私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員