オーストラリアは高校教員時代、学校の合唱団の演奏旅行について行って以来、馴染みの国の一つになり、今でも時々気になりリサーチします。
最近これは!とピンと来た記事がありました。
オーストラリア北東部のQueensland州の図書館で、幼児達が衣装付で踊りながら!物語を味わうイベントが大成功、
との記事です。読書欲が高まる効果もあったとか。
私はちっちゃなバレリーナ達の写真を眺めながら、自分の大学時代のフランス語の授業を思い出したんです。
大学のフランス語の授業で踊り?まさか、と思われるかもしれませんが….
どういうことかと言うと、大学のフランス語の授業で、フランス語を発音しながら手を振ったり上げたり下げたりさせられたんです。
(こんなことさせられる為に大学に来たのか)と最初は戸惑いというか正直ショック。跳んだり跳ねたりまではありませんでしたが、まさに幼児のダンス教室か?と思いました。
なぜフランス人の先生は、私たちにそんなことをさせたのでしょうか?当時授業を受けていた際ははっきりしませんでしたが、つい数年前そのフランス語の先生、ロベルジュ先生をお訊ねした時に訊いちゃいました。
「なぜあんなダンス・体操みたいなものしたんですか?」と。
そのこたえが、
ーーーーーーーーーーーー
それは言葉の底に「体感」があることを伝える為です。文法や意味ではない、身体の感覚の実感が言語の根本にあり、それを無視した言語学習はあり得ないと伝えたかったのです。
ーーーーーーーーーーーー
ダンスお話教室でオーストラリアの幼児の読書欲が高まったのも、言語の根本に体で触れた実感故かもしれません。
でもこの話って、フランス語に限らないのは勿論。英語を学んでいるあなたにもとても重要ですよね。あなた用にまとめます。
ーーーーーーーーーーーーー
言語学習には、身体をできるだけ使うこと。頭だけでなく口も、また可能な限り体を動かして学ぶこと。
例えば、「go」と言う動詞。これは体を動かしてどこかへ「行く」、移動する実感と結びついている。「feel」感じるや「taste」味わうという動詞は、嬉しい・悲しいという感情や甘い・辛いなどの感覚を土台にしている。
これは多かれ少なかれどの単語にも言えること。だから言語はできる限り体の動きや身体感覚と一緒に学ぶこと。体の動き、感覚を忘れないやり方が言語学習には効果的。
ーーーーーーーーーーーーー
なぜ効果的なのでしょうか?繰り返しになりますが、言語の底には体感があるからです。
ただそう聞いても、自分で体の動きと一緒に言語を学ぶ方法はなかなか考えつかないかも。
ではロベルジュ先生の教えに従い、私自身が中高生の英語の授業に使った方法を二つ紹介します。
◯例1:超初級。
I am, you are, he is, she is, it is, we are, you are, they are, they are, they areという歌詞にラジオ体操の前奏をつけたのを、無理に人称体操と名付け、生徒にやってもらいました。
もちろん、be動詞の人称との対応に慣れる為です。生徒は初め驚いていましたが、そのうち面白がってくれるように。卒業生の中には、今でも覚えてると、やってくれる者がいますw 当時私のクラスの雰囲気作りにも一役買っていました。楽しい雰囲気だと授業や学習がうまく進む気がしました。
I am, you are, he is, she is, it is, we are, you are, they are, they are, they are
◯例2:中級編
接頭辞体操というものを作り、♪ad-, ab-, re-×2, com-, dis-, ob-, se-, in-, ex-, inter-, sub-, de-, pre-, pro-, per-という歌詞にやはりラジオ体操の前奏の節をつけ、クラスで踊りましたw
♪ad-, ab-, re-×2, com-, dis-, ob-, se-, in-, ex-, inter-, sub-, de-, pre-, pro-, per–
このように体を動かすと(またそう想像するだけで)英語を学ぼうという力が体に湧いてきませんか?w
勿論全てに身体で振り付けは難しいでしょうが、あなたがこれから英語を学び続ける時、言語の基礎には体感がある、ということを心得ていて、常にそれに立ち返り、言わばそこから活力を搔き立てていけば、成功の確率は上がるはずです。
念の為、逆に言うと、身体を動かさず、口もあまり動かさず、じっと座ったまま頭の理解だけで英語をやろうとするのは難しいということです。
言語の基礎には体感があるという見方は、あなたが思っている以上に大事なのかも。あなたの成功をお祈りします。
Until next time,
Jiro
↓ ↓ ↓
<追記>
ちなみにこの接頭辞体操は、DNAの発想が沸いた時、ロベルジュ先生からいただいた「体感を大事に」のアドバイスに基づいています。なので、この接頭辞体操を一生懸命やると、ここでお話ししているDNAの理解も進むかも。
歌詞の意味: ad-(に向かって), ab-(~から),re-, re-(後ろ、再び), com-(一緒に), dis-(離れて), ob-(傍らに), se-(遠ざけて), in-(中に、否定),ex-(~外へ), inter-(~の間に), sub-(下から),de-(下へ、否定), pre-(前・先), pro-(前・先), per-(~通り抜けて、完了・完全),
手の動作等の体の動きで各接頭辞の意味を表現しているつもりです。
<今週のJiro’s Quiz>
適語を選びQAを作りましょう。
Q : What (1. reject 2.project 3.subject) did you like best?
A : English!
・
・
・
・
・
・
・
正解は3.
-jectは「投げる/投げられた」の意味
re-「後ろ」、pro-「前」、sub「下」
reject 拒否・拒絶する(⇐後ろに投げる)
project 大きな計画(⇐前に投げる)
subject 教科(⇐ 学校の授業の下に投げられ横たわる)
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員