海外のニュースを見ていると、日本ではなかなか出会わない話題を目にすることがあります。
今回は、私たちにも身近な「食品」に関する、ちょっと意外なニュースをご紹介します。
スーパーでベーコンを買うとき、皆さんは何を基準に選びますか?
値段でしょうか。それとも、味やメーカーでしょうか。
最近では、健康を意識して「無添加」と書かれた商品を選ぶ方もいるかもしれません。
なんとなく、添加物を使っていない方が体に良さそうな気がしますよね。
ところが、イギリスで今、そんなイメージをちょっと考え直したくなるニュースが話題になっています。
【イギリスで売れている「無添加ベーコン」】
イギリスの新聞『The Guardian』が10月3日に報じたところによると、イギリスでは「亜硝酸塩を添加していないベーコン」の売れ行きが伸びているそうです。
亜硝酸塩とは、ベーコンやハムなどに使われる食品添加物の一種です。
市場調査会社のデータによると、亜硝酸塩を添加しないベーコンの売上額は、2026年9月までの約1年間で、前年より11.4%増加しました。
イギリスの大手スーパー「Waitrose(ウェイトローズ)」では、亜硝酸塩を使わない商品の種類を、この1年で2倍に増やしたそうです。
また、大手スーパー「Tesco(テスコ)」でも、9月から新しい商品が販売されています。
健康への関心が高まる中、こうした商品を選ぶ人が増えているようです。
ところが、ここに意外な話があります。
【添加物を使わなければ、安全なの?】
イギリスの食品安全を担当する政府機関、FSA(食品基準庁)は、亜硝酸塩などを添加していない加工肉について、添加した製品より安全だと示す証拠はないと説明しています。
「えっ、無添加の方が安全なんじゃないの?」
と思ってしまいますよね。
実は、亜硝酸塩には、ベーコンの色や風味を保つだけでなく、食中毒の原因となる細菌が増えるのを抑える役割があります。
そのため、亜硝酸塩を使わずに製造する場合には、別の方法で食品の安全性を確保する必要があるのです。
ただし、これは「亜硝酸塩が入っている方が体に良い」という意味ではありません。
亜硝酸塩は、条件によっては健康への悪影響が懸念される物質の生成に関わることもあり、その影響については研究が続けられています。
つまり、どちらが安全なのか、添加物の有無だけで簡単に判断できるわけではないのです。
【では、何に気をつければいい?】
実は、世界保健機関(WHO)の専門機関は、ベーコンやハムなどの加工肉を、発がん性があることを示す「グループ1」に分類しています。
これは加工肉を食べたら必ずがんになるという意味ではありません。
また、同じグループに分類されているからといって、たばこと同じ大きさの危険があるという意味でもありません。
加工肉を多く食べることと、大腸がんのリスクが高まることには関連が認められていますが、その原因が亜硝酸塩だけにあるとは分かっていません。
イギリスのFSAも、添加物だけに注目するのではなく、加工肉を食べすぎないことが大切だとしています。
もちろん、無添加の商品を選ぶこと自体が悪いわけではありません。
ただ、「無添加だから安心」「値段が高いから健康的」と、思い込まない方がよさそうです。
【「無添加」という言葉の向こう側】
今回のニュースで興味深いのは、ベーコンそのものだけではありません。
イギリスでも、健康を気にして食品の表示を確かめる人が増え、それに合わせてスーパーの商品も変わってきているということです。
これは、日本のスーパーでも見かける光景と少し似ていますね。
私たちが普段、何気なく選んでいる食品。
その表示の意味を、どこまで理解しているでしょうか。
「入っていないもの」だけを見るのではなく、「なぜ使われているのか」まで知ることも大切なのかもしれません。
今回のニュースを読むと、いつものスーパーでベーコンを選ぶとき、少し違った目で商品を見るようになりそうです。
今回の英語ニュースはこちら
The Guardian(2026年10月3日)
Nitrite-free bacon sales boom in UK amid fears over curing chemicals
日本語のニュースだけを見ていると、なかなか出会わない世界の出来事。
そんな「英語がわかると、世界が広がる」ニュースもお届けしていきたいと思います。

