「あの娘のTシャツヤバいね。」
ここはオーストラリアのケアンズ空港。私は、日本の旅行会社の空港スタッフとして働いていた。
「ヤバいね。」と言ったのは、オーストラリア人の男性ガイドさん。彼が指を指した先には、日本から到着したばかりの学生さんらしき若い女の子がスーツケースを持って立っていた。
彼女が着ていたのはトロピカルフルーツが描かれたカラフルで可愛いTシャツ。
「どこがヤバいの?かわいいじゃん。」と言った私に、「Tシャツに書いてある英語、見た?」とガイドさん。
英語はデザインの一部のような感覚で気にもとめていなかった。
ガイドさん:「〇〇〇〇〇だって。危ないよ。」
私:「え?そうなの?」
それは特別変な言葉という訳でもなく、私には問題なく思えた。が、現地の人からすると「危ない」と思われたその言葉とは?
<I’m juicy?>
その女の子が来ていたTシャツには、胸元に大きく「Juicy」という文字。フルーツ柄なので、そのフルーツがJuicyという意味で書いてあるのでしょう。
私:「フルーツだからJuicyで何がおかしいの?」
ガイドさん:「あれだと自分がJuicyですって言っているみたいだよ。」
私:「え~、そうなの?あなたがそう思うだけでしょ?」
ガイドさん:「いや、そんな事ないよ。あれは危険だよ。ねぇ?」と、別のオーストラリア人のガイドさんに聞く。
すると、彼も「そうだね。夜にあれ着て歩いてたら変な奴から声かけられるかもね。」
私:「へ~。そうなんだ~!」
服に書いてある英語は、時々意味不明の物があったりするけどデザインの一部として気にせず着ている事がある。でも、英語がネイティブの人が見ると違和感を覚えるらしい。
<その漢字は…??>
逆の場合もある。同じくケアンズのレストランで食事をしていた時。ウェイトレスの女性が丈の短いTシャツを着ていて、腰に入れているタトゥーが見えていた。
腰にタトゥーがあるのは珍しくないのだけれど、それが漢字だったので思わずなんて書いてあるのか気になって凝視する。
書いてあった文字は「射手」。
「射手??? イテ? イシュ?」
意味が分からない漢字に困惑する。
「ひょっとして日本語じゃない? 中国語???」
だとしても、意味は一緒のはず。なぜその文字をいれているのか分からない。
「射手だし、アーチェリーでもする人なのかなぁ?」
こうなると気になって仕方ない。一緒にいたオーストラリア人のガイドさんに聞いてもらった。
すると“Sagittarius”とウェイトレスさん。
「あ~、射手座!!!!」
射手座の「射手」だったのだ!きっと彼女は射手座なのだろう。でも、「座」がない。「“Sagittarius”には文字が一つ足りないよ。」と伝えると
「あ、そうなの?でも分かるでしょ? Never mind!」とウェイトレスさん。
そうは言ってもやっぱり日本人として「座」がないと射手座には成り得ない気がした。
きっと、英語のネイティブの人が日本人が着ている服や物の英語が気になったり、違和感を覚えたりするのも一緒なのだと思う。自分の国の言葉は気になるし、ちょっとでも違うと違和感があるのだ。
しかも、英語を気にしていないと空港の彼女のように知らないうちに危険な状況を呼び込みかねない。英語のロゴが入っている物を着る時には、何て書いてあるのか、日本でもそして海外では特に気を付けた方がいいようです。
<秘密のメッセージ>
さて、日本では英語のデザインが入ってると「なんかかっこいい」感がある。それで洋服だけでなく日用雑貨やパッケージ、壁紙など英語がデザインとして使われている物をよく見かけますよね。
それをデザインの一部として絵と同じような感覚で見る事もできますが、その英語を読んでみると意外に良いメッセージが書いてあってハッとする事があるんです。
この写真は、コンビニの外壁一面に書かれていた物の一部。ぱっと見ると、THANK YOUやHOPE、PLAYなど大きな文字が目に飛び込んできて、よくある英語を使ったデザインという感じ。
でも、小さく書かれている文を読んでみると、どこかの偉人の名言のような文章。
“To know yourself is the deepest knowledge of all.”
(自分自身を知ることが全ての中で一番深い知識だ)
“The greatest pleasure in life is doing what people say you can not do it.”
(人生の一番の喜びは人々があなたはできないと言った事をする事)
“Vision without action is daydream. Action without vision is nightmare.)
(行動なしのビジョンは夢想。そしてビジョンなしの行動は悪夢だ。)
どうですか?一つ一つを読んでいくとどれも面白いのです。
壁の前にジッと立って壁を眺めている私を不思議そうに見ながら足早に通り過ぎて行く人たち。私も立ち止まって英語を読んでみるまでは、ただの英語がデザインされた壁紙にしか見えていませんでした。
でも、ふと立ち止まって英語を読んでみたら、そこはめちゃくちゃいい名言集の塊だったのです。それに気づいて私は嬉しくなりました。そして何か得した気分にもなったのです。
同じ物を見ていても他の人は気づかない、秘密のメッセージを受け取ったような気持ち。
それから気を付けて町中や身近な物を見てみると、他にも色んな所で「秘密のメッセージ」を発見する事ができました。ペンケースの内側に隠れていた秘密のメッセージを見つけた時はまるで宝物を探し当てたような気分でした。
秘密のメッセージ=英語のメッセージ。
自分が秘密のメッセージを受け取れるという事は、自分がその英語を理解できるという事。それが嬉しく、英語を知っているって楽しいなぁと思う瞬間でもあります。
あなたの周りを見まわしてみてください。
服や文房具、雑貨に町の看板や壁紙…。きっと色んな所に英語が溢れているはずです。宝探しのように英語を見つけて、読んでみましょう。
どんな秘密のメッセージが書いてあるのか。自分なりの解釈でいいのです。楽しみながら英語のメッセージを受け取ってみてください。
あなたの心を豊かにしてくれる秘密のメッセージが隠れているかもしれません。
“It all depends on how you see and interpret things”
(全てはあなたがどのように見て、どのように物事を解釈するかによる)
~ペンケースの内側に見つけた秘密のメッセージより~
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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