想像してみてください。
泊まる所と食べるものはあるけれど、ビーチ以外何もない小さな島。そんな所に行ったとしたら、どう感じますか?
「ゆっくりできていいじゃん!」
それとも
「何か飽きそう…。」
「いいね!」と思った人はそこで何泊できますか?
2日?3日? 1日も無理という人もいるかもしれませんね。「何したらいいの?」って思いませんか?
外国人ならきっと1週間でも2週間でも、1か月でも平気なはず。彼らの休暇の過ごし方とは?
<インド洋の真珠の首飾り モルディブ>
日本で休みというと、どこの観光地も込み合い、道路は渋滞。長期休暇ともなると、どこに行って、これをして、あれをして、〇〇を食べて…と綿密に計画を立てる人も多いと思います。
時間を無駄にするともったいない。という気持ちがあるからかもしれません。短い休みをいかに無駄なく過ごすか。これがメインの目標になっています。
海外の添乗員をしていた時も、1週間でできるだけ多くの観光地を回って、名物の物を食べて、しかも安い!というお得感のあるツアーが人気でした。「なかなか行けない所だからできるだけ色んな物を見たい」というのがあるのでしょう。
そういう私も、旅行に行く時にはやっぱり下調べをして、有名な所は抑えておきたいし、美味しい物も食べたいと思っていました。
そんな考えが一変したのが、モルディブを訪れた時。
その時の私は、夏のハイシーズンを休む暇なく働ききったところ。何もない所でゆっくりと癒されたい気分でした。
日本からのパッケージツアーで申し込みをしたのですが、そこは日本。10日間位のコースを探してみるも長いコースの設定がない…。という訳で、4泊6日のコースを申し込み、航空券を延長をして後半は自分たちでホテルを手配する事に。
そのままホテルを延長しても良かったのですが、モルディブは一つの島に一つのホテルしかない。同じ島にずっといるのは退屈な気がして、後半の3泊は別のホテル、つまり別の島に行く事に。
ゆっくりしたいと思いながらも、「せっかくモルディブに行くんだから他の島で水上コテージにも泊まってみたいよね」となったのだ。
モルディブはインド洋に浮かぶ1000を超える小さな珊瑚島と環礁からなる国。島々が南北に連なる事から「真珠の首飾り」とも表されます。
飛行機が着いた首都マレは、市場があったりお店やレストランがあったり人も多くて賑やか。
マレで1泊。そこから水上飛行機に乗り、別の島へ。水上飛行機は下のタイヤの部分に小さな舟のような物がくっついている。水辺から飛行機に乗るのは不思議な感じ。
着いた島は、思っていたよりもずっと小さい島だった。メインのホテルロビーやレストランの建物、ちょっとしたお土産物屋さんとツアーデスク、あとはバンガロータイプの客室が並ぶだけ。
島内を歩き回るというスペースもない位、島全部をホテルの建物が占めていた。
大きな部屋の窓を開けると、目の前は波も穏やかな静かなビーチ。ハネムーンが多いらしくベッドにはバラや蘭の花びらで飾り付けがしてあった。
同じ添乗員仲間の女子2人で来たけれど、花びらベッドは初めて見たのでテンションがあがる♪
「うわ~!最高!この景色も癒される~!」
ゆっくりするには最適の場所。
「何もせずにのんびり過ごすぞ~!」
1日目:遅めに起きて、ゆっくりとレストランで朝食をとる。島内には他にお店やレストランはないため、全ての食事はホテルのレストラン。料金も最初からホテルの料金に含まれている。
モルディブの料理は、どんな物か想像もつかず口に合うか心配だった。が、やはり海に囲まれているだけあって魚料理が多かった。味付けもシンプルな物が多くて食べやすい。野菜や果物も豊富で朝からお腹がパンパンになるまで食べる。
お腹も苦しいのでその後は、ビーチに出てデッキチェアに座って一休み。横を見ると離れたところに50,60代くらいの外国人女性がデッキチェアに座って本を読んでいた。
「ビーチでゆっくり過ごすのいいよね~。」
私も同じように本を読んでリラックスする事にした。波の音を聞くうちにウトウトしたり…。本を読んではまたウトウト…。それもまた癒しの時間だった。
午後からようやくビーチで泳いだり、シュノーケルをしたり。泳いで疲れたらまた昼寝。そして、日が暮れたらまた食べきれないほどの豪華ディナー。夜に出かける所もなくホテルのバーでちょっと飲んだら、10時ごろにはする事もなくなり就寝。
よく食べ、よく寝る。日本での生活と真逆の健康的な生活。
「これこそ頑張って働いた自分へのご褒美!めちゃくちゃ癒される~」
<やっぱり無理!>
が、2日目。
午前中、昨日と同じようにビーチに行くと、昨日と同じ女性がまた同じようにデッキチェアに座って本を読んでいた。
私も同じように本を読んで過ごし始めたものの、2時間もすると何だかのんびりしているのにも飽きてきた。
「なんか暇だよね~。」友人も同じことを思っていたらしい。「午後もまたビーチで泳ぐしかないしね。」
ゆっくりしたいと思いながらも、何もしない事がもったいなく感じてしまう。
何かする事はないかとホテルで聞いてみると、ダイビングがある事が分かった。全くする計画はなかったが、急遽午後からダイビングをしてみる事に。
その時が私の初めてのダイビング。
耳抜きが上手くできなくて、水圧で耳が痛く結局5,6m位しか潜れなかった。5,6mというと、素潜りでも潜れる位の深さ。すぐ近くで素潜りで普通に潜っている子供たち。ダイビングの意味がないようで複雑な心境。
でも、初めて見た海の世界は、幻想的で忘れられないものになった。
体験ダイビングにも満足し、夕方、ビーチに戻ると、朝本を読んでいた女性がまだ同じ姿で、デッキチェアに座り本を読んでいた。
(え~!今日1日ずっとあそこで本を読んでたの?昨日もいたけど。海外に来て、毎日本読んでるだけ?泳いだり、肌を焼いたりもしないのかなぁ?)
海の方を見ると、インド系の女性がサリーを着たまま、沐浴をするように遠浅の海に座って水に浸かっていた。
(サリー着たまま海に入るんだ)
初めて見た光景に興味があり、私も近くで海に入った。50代くらいの女性だった。向こうも私たちを珍しいと思ったのかもしれない。インド訛りの強い英語で、話しかけてきた。
海がお風呂のような感じになり、浅い海にお互い座りながら話をした。
インド人女性:「どれくらいここに滞在するの?」
私:「モルディブにはあと4日いるけど、明日別の島に移動します。」
インド人女性:「え!そんなに滞在短いのに、何で島を移動するの?!」と驚かれる。
私:「別の島にも行ってみたいし、同じ島だと飽きるかなと思って。」
インド人女性:「忙しくて休みにならないでしょう。もっとゆっくりしたらいいのに。」
私:「これでも滞在を伸ばしたんですよ。それで別のホテルに。あなたはどれくらいここに滞在するんですか?」
インド人女性:「夫の仕事があって帰らないといけないから、今回は短くて2週間しかないの。」
短くて2週間…。
私:「2週間て短いんですか?ずっとこの島にいて何するんですか?」
2週間も何もないこの島で何をするのか気になった。
インド人女性:「本当は夫の仕事がなければ1か月位いたいのよ。特に何もしないわ。休みにきたんだから。」
私:「何もしなくて暇じゃないですか?」
インド人女性:「本を読んだり、海に入ったりはするわよ。身体を休めるのが休暇でしょ。色々したら休暇にならないわ。」
身体を休めるのが休暇。確かにそうだ。休みなのに色々動き回って余計に疲れて帰る事がよくある。それは彼女にしたら休暇とは呼べないのだ。
1日中本を読んでいたあの女性も同じなんだろう。
「せっかくモルディブまで来たんだから、他も見ないともったいない。」と思っていた自分の考え方がせせこましく感じた。
リゾート地ではゆっくり。何もしないもの。
それが贅沢な時間の使い方で、心のゆとりに繫がるのだと思った。
彼女は、私たちに次のホテルはキャンセルしてここにいなさいよ。と言ったがそういう訳にもいかず、次の日、私たちは別の島へと移動した。
その日の朝も、ビーチのデッキチェアではやっぱり、あの女性が静かに本を読んでいた。
ゆっくりしようと思っても、習慣になっている行動や考え方を変えるのはなかなか難しい物。何もない所で、何もしないというのは、やってみると案外難しい事だった。
ただ彼らの考え方や過ごし方は憧れでもある。心のゆとり、人生のゆとりが感じられる。
長期休暇を取りにくい日本ではどうしても「時間をいかに効率よく使うか。」が重要視されてしまう。
「何をするか」もいいけれど、「何もしない」という選択肢も時間の使い方にはあるのだ。旅先の非日常の空間であえて「何もしない」という贅沢な時間を味わってみるのも、良い休暇の過ごし方になると思う。
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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