私が添乗員時代、バス旅などで時間がある時、お客様に必ずしている話がありました。それは何かというと、外国(特に欧米諸国)でのマナーや習慣です。
今後コロナウイルスがおさまり、海外旅行が解禁になったら、必ず覚えておいてもらいたいこと。
それと同時に、これさえ覚えておけばある程度海外も楽しめるという、とっておきのお話です^^!
それは何かと言うと…
必ず挨拶をすること!
なんだ、そんなことか。と思わないでください…。
実はこれ、ツアーコンダクターとして海外に200回以上行き、お客様を200回以上もご案内するたびに話をしている、とっても重要なことなんです。
時々、自由時間から帰ってきたお客様で「日本人だと思ってばかにして! ぜんぜん対応してくれなかった」とか「呼んでも無視された!」など憤慨して帰ってくる方がいました。
「日本人だからバカにされたんだ」とか、「英語ができないから扱いが雑なんだ」と思われる方もいらっしゃいます。
ですが実はそれ、文化や習慣の違いからくる単なる「勘違い」かもしれないのです。
店員「やべぇ、怪しい奴きたぞ…」
まず、お店で買い物をする時を考えてみて欲しいのですが…お店に入る時って何か言いますか?
日本だと、よほどの馴染みのお店でない限りは黙って入るのが普通だと思います。そして、お店の人が「いらっしゃいませ」と言っても黙っているのが普通ですよね。
しかし、外国では必ず挨拶をします。
相手から声をかけられなくても、特に買いたい物もなくふらっと立ち寄った店でも、
”Hello!”とか”Hi!”
などあいさつをします。
「“Hi.” ”Hello.”?そんな簡単な事で何が変わるの? たかが挨拶でしょ?」そう思う方もいるかもしれません。
ですが、外国(特に欧米諸国)では、お店に入る人たちはみんな笑顔で店員さんに”Hello!” とか“Hi!”と言ってお店に入ってきます。
そんな中、だま~ってお店に入ってきて、品物を見ている人がいたとしたら…。さらにお店のスタッフが、
”Hi! How are you?”
と声をかけても、だま~って無視する人がいたら…どう思うでしょうか。
お店の人は(この人変な人じゃない? 怪しくない? なんか物取ったりしないよね…?)と、不安になると思いませんか?
そんな少し怪しいお客さんに対して、接客しようとか、声かけておこうって思わないですよね…。
ちなみに、これはお店に限らず、レストランでも、ホテルでも、エレベーターで乗り合わせた人や、飛行機で隣に座っている人にも、まずは“Hello.” と必ずあいさつをします。
日本では、このシチュエーションで知らない人に自分から「こんにちは」と挨拶する人はたぶん少ないと思います。
日本人は礼儀正しいと言われていますし、それはとても素晴らしいことです。ただ、知らない人や場所では案外そうでもないのかもしれないですね。
そして、この話を聞いたお客様が買い物でお店に入った時のこと。最初は冷たい感じに見えた店員さん。私の話を思い出し、勇気をだして“Hello”と挨拶してみたそうです。
すると、その店員さんが急に笑顔になり挨拶をしてくれ、その後も親切に対応してくれたそうです。「本当に挨拶って大事なんですね! 勇気だして挨拶してみて良かった!」と私に嬉しそうに報告してくれました。
誰でも知っている”Hello!” ですが、言いなれていないと簡単な“Hello”の一言でもすぐには出てこないものです。たかが挨拶、されど挨拶。”Hello!”のたった一言で、「怪しい人?」から「いいお客様」へ変わるのです。
Thank youを言わない日本人
実はこのような挨拶の話など、お客様に外国の習慣をお伝えしなくてはと思ったきっかけがあります。
それは、イタリアのホテルのフロントでスタッフの人と話をしていた時の事です。スタッフの一人に「日本人は何でThank youと言わないの?」と質問されたことがあります。
私は「えっ?Thank youはみんな言うでしょう!」「Thank youぐらいみんな言えるよ!」と、それこそ(日本人ばかにしないでよ)という気持ちで返しました。
すると、彼は「部屋の鍵を受け取った時にThank youって言って受け取る人はほとんどいないよ」と言ったのです。
ヨーロッパでもカードキーが主流ではありますが、イタリアの歴史のあるホテルでは、まだ昔ながらの鍵を使っている所もありました。そのホテルでも昔ながらにフロントで部屋の鍵を受け渡ししていたのです。(鍵をもらってThank youって言わないなんて事、ないでしょう)と私は思っていました。
と、そこへ外出から私のお客様が帰ってきました。フロントで鍵を受け取る様子を見ていると、部屋番号を伝え、そして鍵を受け取り、無言のままエレベーターへ行ってしまったのです!
(えっ‼ 何も言わなかった‼)と驚いて、フロントスタッフの彼を見ると、(ほらね!言ったとおりでしょ!)というようなドヤ顔でこっちを見ていました。私は自分の案内不足だったと、思わず「ごめんね」と謝りました。
ホテルだけでなく、レストランでもお料理をもってきてくれたら”Thank you”,お皿をさげてくれたら”Thank you” と1回の食事で何回も”Thank you”を言います。日常のちょっとした事、ドアを開けて待っていてくれたとか、バスから降りる時なども“Thank you”と言います。
日本人は「ありがとう」よりも「すみません」の方を口にしやすいので”Thank you”が出てこないのかもしれません。あるいは、自分がお客の立場だと相手に”Thank you”と言わない気がします。
“Hello”や”Thank you”はすごく良い習慣です。日本でも最近はコンビニでもお会計が終わった後に「ありがとう」と言う習慣が広がっていたり、すみませんの代わりにありがとうを。みたいなのが流行っていたりしますよね。
ぜひ、日本でも練習がてらに実践してみるのも良いかもしれないですね^^!
今回は挨拶と「Thank you」の2つでしたが、実は他にもお客様にお伝えしていた大事な海外旅行術があるのですが…、それはまた次回に。
P.S.:私の添乗員の先輩は、飛行機でたまたま隣に座ったスウェーデン人男性と話しが合い、その後、遠距離恋愛の末、結婚しました!挨拶から恋も始まるんです♪
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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