知り合いの高校生の娘さんが、10日間ほど「体験ツアー」でニューヨークに見えるとの連絡を頂き、何かアドバイスはないか、ということでしたので、下記お伝えさせて頂きました。
今後ニューヨークに来られる方への、何か参考になればと思い、記事にさせて頂きました。
ーーーーーー
お嬢さま、初海外で初ニューヨークですね!高校生で、両親と離れて渡米とは、素晴らしい。ご本人のご希望なのですか?なぜまたニューヨークに。
ホームステイと伺いましたが、日本人の家庭でしょうか?きっと、英語の研修も含むのでしょうから、アメリカ人ファミリーだと思います。
どういった基準で選ばれたご家族なのか、旅行前のオリエンテーションで、しっかりお確かめくださいね。
日本とアメリカは随分と文化が違うので、外国の子供さんを預かって、ちゃんと自分たちの国のいろんなことを教えてあげたい!と思う日本のホスト・ファミリーとは、アメリカの場合は違うことがあります。
(アメリカでは、まだまだ貧乏な家庭も多く、ホスト・ファミリーになることで、臨時収入を得ようとする家族がいるのも事実です。)
とにかく、持ち物には気をつけてください。カバンなど、気を抜いて床におけば、次の瞬間に、なくなっていることがあります。アメリカ人が日本に行って驚く事は、スマホをテーブルに置いて、席をとってからコーヒーを買いに行ったり、お手洗いに立ったりする日本人の、平和ボケです。
カバンやコートを置いて席を取ったり、皆さん普通にしていますが、アメリカでは、全く考えもつきません。自分の手から離れたら、他人のものになっているかもしれない、と思ってください。
(他人のスマホを盗んで、それを売って自分のお小遣いにしたい、そのぐらい貧乏な人たちが、世界にはたくさんいます。想像もつかないかもしれませんが、アメリカで、それを目の当たりにすることになるかもしれません。)
アメリカ人と話すときに、笑わないように。なぜか、日本人は外国に行くと、とても愛想が良くて、ホームレスに話しかけられてもニコニコ答えています。
英語がわからないのに、yes yesとうなずくのは、これはとても危険です。
お友達とご一緒でしょうから、おしゃべりに興ずることもあるとは思いますが、公共の場所では、とにかく安全に気持ちを集中して、気持ちがふわふわしないように、日本にいるときの何倍も、気を引き締めてください。
連日、どなたかが、ちゃんとホストファミリーの家までお迎えに来て、グループで、美術館や博物館へ行ったりするのでしょうか。引率の方が、しっかりした、ベテランであることを祈っています。
パンデミックのときには、アジア人と言うだけで襲われたり、アジア人女性は特に小さくてか弱いので、簡単に暴力事件に巻き込まれたりしていました。
私自身、パンデミック後に、完全に行動範囲が狭まっています。必要のない所には一切出かけず、夜もほとんど、演奏の仕事以外は外出しません。演奏の時も、終了時は必ずカー・サービスで帰宅。地下鉄には乗らないようにしています。
コロナでレストラン等が1年間、完全に閉まった後、ニューヨークはまだちゃんと以前のように安全な街に復帰していません。ブロードウェイなどでは、多くのレストランやカフェの経営がままならず潰れたところが、そのまま空き家になっています。
とにかくロックダウンで人々が家から出られなかった期間が長かったので、必需品の買い物はアマゾン、グロッサリーも配達してもらうことにすっかり慣れ、それによって、小売店も軒並み潰れました。
今回のお話は、まったくの辛口で申し訳ないですが、お嬢様が安全に10日間過ごしていただくために、厳しいことを書いています。
インフレも、非常に厳しいです。簡単な計算をするのには、なんでも1.5倍にしてみれば良いです。例えばペットボトル500ミリリットルの水が、3ドルだったら、約450円です。スターバックスなどのサンドイッチが、8ドルだったら、約1200円です。
私は、いつも自分のサーモスに水を持って歩きます。ニューヨークの水道水は飲めますので、購入しなくても大丈夫です。
残念ながら、セブンイレブンへ行っても、150円のおにぎりは売っていません。
最近は外で食べようとすると、ちょっとしたファストフードでも20ドル近くかかります。
ですので、私がよくやるのは、ランチ時に外に出なくてはいけない時は、家にバナナ(6本で3ドル位)を房で買っておいて、バナナ1本と水で、ランチを済ませる方法です。
私の米国人の友人がやっていたのは、家にパンとピーナツバターを購入しておき、小さなジップロックのサンドイッチパックでピーナツバター・サンドイッチとリンゴと水を毎日持ち歩く、と言うものでした。
大人の方ですと、チップはどのように払うのかお聞きになりますが、高校生でしたら、チップがいるようなレストランなどには行かないと思いますので、それは割愛します。ファストフードは、チップはいりません。
ホストファミリーの夕食は、きっと不思議に思うこともあるかもしれません。なぜなら、アメリカの普通の家庭では、お母さんが料理をしないのです(笑)。
アメリカ人のふつうの家族は、朝はシリアル、昼はホットドッグ、夜はピザなどと言うことが多いです。信じられないと思いますが、日本のように、お母さん方が、あんなに調理時間をかけて、栄養や調理法、味付けなどに気を遣って、家族の健康を考えると言う文化は、アメリカにはありません。
極寒のための衣類ですが、一応零下10度位になる時もあるので、日本から見える方々にお勧めしているのは、お出かけのためには、耳とほっぺをしっかり覆える毛糸などのお帽子と首を覆えるマフラー、それから私たちは手袋を2重につける時もあります。
ブーツは、UGGなどの毛皮のものが、本当は暖かいです。スノーブーツであれば良いと思います。そうそう、スキーに行くようなイメージですね。零下の世界です。ニューヨークでは、雪は、降るときは降るし、降らない年は全く降りません。
ニューヨークで越冬する場合の必需品、貼れるホッカイロが良いです。もし部屋内で暑ければ、剥がしてしまえばいい。背中やお腹に貼るだけで、極寒をしのげます。
建物によっては、暖房が効きすぎているところもあるので、調節ができるように、例えばヒートテックみたいなものを、レイヤーで、重ね着されるのが正解です。
アメリカ人女性は、毛皮のコートの下、ノースリーブのドレスだったりします。ですが、これは私たちには相当寒いです。一説によると、アメリカ人は寒さに鈍感な人が多いのだとか(笑)。
ヨーロッパ人など、祖先が北の寒いところから来た人が多いので、体温がもともと高く、日本人よりも、寒さにつよいと言われています。
日本と違って、アメリカ人は全体に大雑把ですから、「何でもあるから大丈夫よ、」などと言われて泊まりに行ったら、ヘアドライヤーがない!なんて言う事は、よくあります。極寒の中で、朝、髪を洗って濡れた髪で外に出ることだけは、絶対になさらないように。一発で風邪をひきます。
老婆心でいろいろ書きました。かえってもっと心配させてしまったとしたら、ごめんなさい。でも、後で後悔はしたくないので。とにかく心配しすぎて、しすぎって事はないです。
日本の常識が、まるで通用しないところだ、と言うことを、しっかり、お嬢さまにご説明ください。
何かあったら、私の、連絡先もお嬢様に教えてあげて下さい。日本との時差は今14時間。日本の方が14時間早いんです。例えば、ニューヨークの夜10時は、日本の翌日の、お昼12時です。
もっと質問あったら、いつでも聞いてください。
お嬢様の一生の思い出に残るニューヨーク旅行になりますように。
安全で、楽しい旅になりますように。
ーーーーーー
こんなアドバイスをさせて頂きました。
それではまた来週♫
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。