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ホッケ定食で失敗した米軍人?!

World Lifeな生活
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毎年紅葉の季節になると、あることを思い出します。

それは、東京の広尾から天現寺あたりを抜け、慶應義塾の幼稚園の横を通り抜けた時に見る紅葉の木漏れ日です。

なぜ毎年思い出すかというと、実は何度かその通りを通ったからです。

慶應義塾の幼稚園の横を通り抜けた先には、米海軍の厚生施設であるニュー山王ホテルがあります。
ホテルと名前がついていますが、米海軍の施設のため、一般の方は泊まることが出来ません。

ホテルの正面には,”New Sanno Hotel”と英語で表示が出されているので、珍しがって中を覗き込む通行人もいます。中を覗こうとした通行人は、ホテルの入り口にいる武装した軍人と目があい、一目散に去っていくのを何度か目撃しました。

実は、彼ら武装した軍人ではなくは、ホテルの出入りをチェックする日本人警備員で,黒い防弾服を着て,ショットガンのようなものを携えています。通行人は、日本では中々見ない「銃を担いだ軍人」と勘違いして恐れをなしたのでしょう。

もちろん出入りのチェックも厳重で,写真の付いた身分証明書となるものを提示する必要があります。

実は私は以前、この米軍人施設のニュー山王ホテルに宿泊したことがあります。

それは海兵隊通訳の東京デビューの時のことです。

思い出がよみがえる

以前にお話しした「日本語のできる海兵隊員を探せ!」で紹介したモレノ通訳官のスピンオフ(spin-off:番外編)でもあります。


それでは,タイム・トリップ!

私,Swatchは,防衛省から沖縄の米海兵隊司令部に派遣された連絡官。

今回の出張は,在沖海兵隊司令官の、防衛省・自衛隊への就任挨拶にアテンド(attend:同行する)することです。アテンドとは,出張先に上司に同行して現地で細部の事項を調整すること。

今回のお話の主演女優は,モレノ海兵隊伍長。司令官通訳の功績が認められ,伍長に特別昇任しました。いよいよ東京(防衛省・自衛隊の最高司令部)デビューです。

広尾の中華レストランの特別メニュー

私とモレノ通訳官は,ニュー山王ホテルに,昨日,チェックイン。海兵隊司令官の防衛省訪問は,本日の午後。早めの昼食を取りにモレノ通訳官を誘い,警備員に軽く挨拶をして,ホテルを出る。

数十メートル歩くと,フレンチレストランと見まがう,白亜の2階建ての中華レストランがあった。ドアに本日のランチメニューがつるしてあった。 「日替わりランチ:ホッケ定食¥850」

「???」 広尾の中華レストランで,ホッケ定食?と不思議には思ったが,当時赴任していた沖縄ではホッケ定食は,どこの店にもない!メニューを見た途端,私Swatchはよだれが口中に広がった。「パブロフの犬」男である。

モレノ通訳官にふってみる。「ホッケって食べたことある?」

“Hokke?”と返ってきた。

“Hokke is a fish called an Atka mackerel around Okhotsk sea.”
(ホッケは魚で,オホーツク海あたりでとれる鯖の一種でアトカ・マックロという)

と説明しても伝わらない。

私は,ホッケ食べたさに,

「すごくうまい魚だよ!」 
“It’s so delicious fish.”

「沖縄じゃ食べられないから,今しか食べられないよ」
“You should try it now, because you can’t eat it on Okinawa.”

「食べなきゃ損!」
“Or you will regret it!”

「おごってやるからさ!」と,とどめの一言!
“Of course, it’s on me!”

通訳官を言いくるめ,めでたく中華レストランに入り,一番客となる。ホッケ定食の横には,「限定10人様」と書いてある。迷いなくホッケ定食を注文する。久しぶりのホッケでワクワクする。

ほどなくして,香ばしく焼けた大ぶりのホッケが,どんぶり飯と味噌汁,香の物に,さらに杏仁豆腐とともにテーブルに出された。二人とも,「おいしい」を連発しながら完食。満腹である。

いびきをかいた海兵隊員を目撃!

出発時間が近くなり,私を含む自衛隊連絡官チームは一足早く防衛省へ車で移動し,準備に入る。モレノ通訳官と海兵隊司令官は,防衛省からの迎えの車で定時にホテルを出発。通訳官は,助手席に乗る。


ホテルから移動する間に,モレノ通訳官に大変な事態が発生する。

満腹による猛烈な睡魔が彼女を襲ったのだ。海兵隊員は訓練の車両移動間,即,眠ってしまう。

自衛隊の規則を知らない彼女は,正門で車の窓が全開され,司令官が自衛隊警備隊の敬礼に,答礼する(敬礼を返す)ことを知らず,深い眠りに落ちた!

正門に黒塗りの送迎車が滑り込むと,運転手が窓を全開した。警備隊長と歩哨が栄誉の敬礼をささげる中,司令官は恭(うやうや)しく敬礼している。と,補助席のモレノ通訳官は,,,

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「まりんこゆみ」野上武志著


自衛隊の送迎車から,いびきをかいた海兵隊員が目撃されたのは,史上初めてのことであった。

日米トップ会談の前に えっ!軍服のボタンが

海兵隊司令官を車寄せまで出迎え,エレベーターに乗り込み賓客の応接室へと案内する。私は,沖縄赴任前の10年間ここで勤務していた。古巣に戻った感じで,秘書室の秘書も顔見知りだ。

横を見ると,モレノ通訳官が異常に緊張している。「大丈夫だから。いつも通りでいこう!」と声を掛ける。落ち着かせるために大きく深呼吸するように促がす。

通訳官が深呼吸した瞬間,「ブチッ」と音がして,通訳官の軍服の第2ボタンがはじけ飛んだ!
へその上にある第2ボタンの穴だけが目立つ。

司令官と目があった!
司令官は,直立不動の姿勢を取り,何もなかったかのように静かに呼吸を整え始めた。

私は,すぐさま床に落ちたボタンを拾い,秘書室に走った。顔見知りの秘書に事務用の輪ゴムを一本もらい,モレノ通訳官のもとに引き返した。

落ちたボタンの糸穴に輪ゴムを通し,第2ボタンのボタン穴に輪ゴムを通し,その上の第1ボタンに裏から輪ゴムをひっかけた。

高校時代に,学生服のボタンが取れた時にやった一時しのぎの処置である。正面から見れば,取れた第2ボタンもしっかりとその場所に収まって見える。

応接室のドアが開き司令官一行が入室する。力強い握手と笑顔でトップ会談は始まった。モレノ通訳官と私は,司令官の後方の定位置につき,何事もなかったように通訳を始めていた。

冷徹な司令官の気配り

モレノ通訳官が大飯を食らい、睡魔が襲い,即,車中で寝てしまう。ぴちぴちの軍服の上に,満腹の状態で,私に深呼吸を強要され,第2ボタンが弾け飛んでしまった。

その原因は,ランチのホッケ定食だった。

出発前に軽く食事をするつもりが,自分の食欲に負け,海兵隊通訳官に一緒にホッケ定食とどんぶり飯を食べさせるという愚行を犯した私にとっては,自業自得だ。

海兵隊司令官の叱責はまったくなかった。どのようなことが生起しようとも,常に冷静,冷徹で,進行に支障がある場合は、状況を的確に判断し、次の行動を示す。

応接室へ入ろうとする直前,司令官は、私が,第2ボタンを拾い,秘書室に飛び込んでいくのを目の当たりにし,直立不動で何気なく身繕いをし,私に時間を与えてくれたのである。

私には,そのさりげない気配りが,司令官の冷徹な状況判断だと感じた。与えられたわずかな時間の中で,短時間で最善をなすというノウハウは,米軍の底流に流れている。

モレノ通訳官も,冷静に判断をして,任務をやり遂げていた。それが訓練されたプロなのだと思う。

それは英会話でも同じで,必要な英単語やフレーズが必要なときに頭に浮かぶように「訓練」すれば良い。暗記で終わるのではなく、訓練して使えるようにしておくことである。

日々,興味のあることを、一つひとつ英語のフレーズにして語彙を増やし,使えるように訓練しておけば、英語ぺらぺらの状態にアップデイトされていることになる。

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