晴れているのに雨が降る、そんなお天気は、日本では「狐の嫁入り」なんて言いますよね。古くから日本の本州などに伝わる呼び方なのだそうです。晴れているのに雨が降る、なんて信じられないようなことが同時に起こるので、狐にばかされているのか、と昔の人は思ったのかもしれませんね。
さて、この現象、英語では何て言うかご存じでしょうか?「Sun(太陽)shower(にわか雨)」? もちろんそれでも通じますが、何と、想像もつかないような面白い言い方が、あります。
悪魔が彼の奥さんを!
アメリカの南部でよく言われているのだそうですが、
The devil must be beating his wife.
なんと、
「悪魔が、彼の奥さんをぶん殴っているに違いない」って!!
この言い方は、もともとはリベリアで生まれた表現らしいです。
The devil and his wife is fighting over a piece of bone.
「デビルが奥さんと、一本の骨を巡って、取り合いのケンカをしている!」
という、なんか凄い情景が想像されます。さてデビルか奥さんか、どちらが勝ったんでしょうね(笑)?
狐の嫁入りはライオンの出産
この「狐の嫁入り」、調べてみると、世界中でさまざまな面白い言い回しがありました。
ナイジェリアでは、
Lion is giving birth.
なんと、「ライオンの出産」。ううむ。
ドイツでは、「魔女がパンケーキを焼いている」「悪魔のダンス」「仕立て屋は天国へ行く」「貧乏人が金持ちになる」って。
ハイチでは「ゾンビが、しょっぱい食べ物をめぐって、彼の妻をぶん殴っている」って、どんな状況!?(大笑)
アフリカでは、
Jackal marries wolf’s wife.
「ジャッカルが、狼の妻と結婚する」らしい。
やっと、夫婦の喧嘩話から結婚話系で、ちょっと日本の言い回しに近づいてきたかな。
しかし、「狼の妻」って言う事は、既婚者(既婚狼))!? あれ、それってこれから「ジャッカル」と「狼夫」とのあいだで、ものすごい喧嘩が起きるってことかしら💦
そして、
バングラデシュやインドでは、「ジャッカル(または、キツネ)の結婚」
おおっ、ようやくキツネが登場するのを見つけました!
雨に関する英語表現いろいろ
他国でも、キツネがみつかったところで(笑)ではここで、雨に関する、英語の表現も少しご紹介しておきますね。
「rain」は、もちろん雨のことで名詞ですが、雨が降る、という動詞にもなります。
「shower」と言うと、ざあっと急に降り出す、にわか雨のこと。
”There would be a shower this late afternoon.”
(今日の夕方、にわか雨があるかも)
という感じ。
「drizzle(ドリズル)」もよく用いて、小雨で、傘がいるかいらないかぐらいの微妙な感じの雨のことです。でも、みぞれ、のことも言うことがあります。
「pour(ポア)」は土砂降りのこと。ずぶ濡れになっちゃうので傘をさしてもあまり意味がないような、バケツをひっくり返したような雨。
”It started pouring on my way home from my work.”
(仕事の帰りに、急に土砂降りが〜!)
「soak(ソーク)」は、びしょぬれになること。
“So I was soaked then.”
(だから、それでびしょ濡れになっちゃったよ。)
また、バケツをひっくり返したような、というのを直接的に言う
「Rain buckets」という英語もあります。
”It’s raining buckets.”
(今日は土砂降りだ。)
色々な表現がありますね。
余談ですが、もともと、ニューヨーカーは余り傘を持ち歩きません。というのは、アメリカの傘は、大きくて重たいので、予備としての携帯には向かないのかも。また、空気が乾燥しているので、衣服が濡れてもすぐ乾くって言うのも、あるかもしれません。
危険な雨の表現
では次に危険な雨に関する表現も。
洪水は、「flood(フラッド)」。「flood warning(フラッド・ワーニング )」は、洪水警報。「flood alert(フラッド・アラート)」とも言います。ニューヨークのマンハッタン島は、南のダウンタウンのあたりは標高が低めで、よくこの警報が出ます。
危険なのは、「flash flood(フラッシュ・フラッド)」、鉄砲水のことで、あっという間に、地下などが急に浸水するので、厳重な注意が必要です。
大雨は、「heavy rain」「hard rain」です。
ニューヨークでは、昨年2021年9月の初めに、ハリケーン・アイーダの影響で大変な被害が出ました。公園道路が運河になり、地下鉄の階段が滝になったのです。マンハッタンの沿岸部分は海面上昇の影響を受け易く、また都市部は、急な降雨量によりダメージを受けました。これを受けて、ニューヨークでは、現在、様々な冠水対策が検討されています。
最後にもう一つ、
雷雨注意報は、「Thunderstorm Watch(サンダーストームウォッチ)」
ニューヨークは空気が乾いていることもあり、雷がよく落ちます。ピカピカッ、バリバリッときてドーンと、凄い音が聞こえます。そのたびに、怖がりの私はひやっとして、小さい頃母親に「おへそ隠して!」と言われたのを思い出し、苦笑します💦。
日本ではもうすぐ梅雨入りですね。沖縄が、そろそろなのかな。
季節の変わり目、どうぞ体調を崩されませんように。
ではまた来週。
Kayo
平木かよ / Kayo Hiraki
ニューヨーク在住 2017年より、世界屈指の米国グラミー賞の投票権を持つ。同じく米国スタインウェイ・ピアノ公認アーティスト。現在、グリニッジ・ビレッジのジャズの老舗「Arturo’s」のハウス・ピアニストとして、週に5日、自己のトリオで演奏活動を続けて26年目。ニューヨーカーに、スイングの楽しさを届けている。ベースの巨匠、ロン・カーターとのトリオで、ブルーノート・NYへも出演。JALの国際線機内誌でも、海外で活躍する日本人として大きく取り上げられた。また、舞台「ヴィラ・グランデ青山」では山田優がジャズシンガーに扮するシーンでの、ミスティーのピアノ伴奏。カナダ・トロント・リールハート国際映画祭でブロンズメダルを受賞した映画「Birth Day」への挿入曲提供と共に、ピアニスト役で出演。フランス・パリ日本文化会館での館長招聘コンサートや、台湾にて、最大規模を誇る、台中ジャズフェスティバルへの出場など、世界を股にかけるスイング感あふれる彼女のピアノとボーカルには、定評がある。定期的に、くにたち音楽大学ジャズ専修で講義を持つ。