昔挫折したフランス語の本の読破に、今回再挑戦しました。
本はロマンロランの「ジャン=クリストフ」。高校時代に勿論日本語で読み、感動し、
50代でフランス語で挑戦。でも、挫折.。なのでいつかリベンジをと思ってたんです。
今回は一日50ページノルマで、計1500ページ。約一月で読み通せました。ただあなたは、挑戦の中身より、なぜ成功できたかの方に興味がおありでは?
結論的に、成功の一番の理由は「ほどほど」にしたからだと思います。自分自身に多くを求め過ぎなかったんです。
高校生時代の英語の恩師の言葉で今でも覚えているのが
「速読は半分分かればよし」
との言葉。
その教えを参考に、今回大雑把に「最低半分」の読書を目指したわけです。
勿論日本語には訳しません。イメージだけの直接読みは基本崩しません。
分からない単語が出てきたらあなたは気になりません?私もです。でも特に今回は辞書は引かず文脈から推測!を徹底しました。
推測できない場合も勿論あります。そういう時は「最低半分で良い」と自分に言い聞かせ、とにかく前へ進むんです。
繰り返しになりますが、日本語に訳さない代わりに、主語、動詞とかの文の構造は納得して読んで行くんです。文法構造でも分からないトコロがでてきます。今回はそれでもめげません。
「最低半分」。
単語も文法も文章の意味が分かっても、背景とか難しい思想とか分からないところが出てきます。それでもめげません。
「最低半分、最低半分」。
感動できないトコロも多いし、感動どころか、知らぬ間にうとうととして、ハッとする時もあります。それでもめげません。
「最低半分」・・・。
計1回半位は日本語と仏語で読んだはずなのに、筋はおろか登場人物さえ忘れてる。読んでも結局忘れるかあ…と懐疑的になってもめげません。大筋は覚えているはずです。
「最低半分」「最低半分」!
繰り返しになりますが、「最低半分」とホントに自分に言い聞かせて読んだんですよ。
「最低半分」でいいというか…それが今の私にできるコト。
そしたらですよ、偶然、そんな今の自分にぴったりの言葉が、読んでる「ジャン=クリストフ」の本の中に出て来たじゃないですか。
「できることをするのが、ヒーローだ」という言葉。
ジャン=クリストフ(ベートーベンがモデルという説アリ)にはゴットフリートという叔父さんがいます。音楽家だらけの一族の中で、一人行商人のこの方にジャン=クリストフは引かれます。(英語訳から)
Gottfried laughed…
(ゴットフリートは笑った)
“You are a vain fellow.
(お前はうぬぼれ屋だな)
You want to be a hero
(ヒーローになりたがってるんだな)…
ー中略ー
but,…, I imagine that a hero is a man who does what he can.
(でも多分ヒーローってのは、その人にできることをする人さ)
The others do not do it.
(他のヒトはそれさえしないんだよ)”
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カッコつけても、できないことはできない、できることをするのも値打ちがある、それさえしない人が多い、と諭されたジャンクリストフ。
私もそう言われたような気がしてジーンと…
結局、今回「最低半分」でうまくいったのは、このジャン=クリストフの叔父さんの言葉を借りれば、「自分ができることをしたから」、と言えるかも。
繰り返しになりますが「最低半分」のオマジナイは元来英語の恩師から、英書を読む場合用にもらった助言でした。
私はこれを仏語で使ったわけです。結局
「速読の時は最低半分から、を目安にするのが良い」…
これは言語には関係ないアドバイスなようです。
付け加えですが「最低半分」でも「半分以上」でも、がんばって難しいモノを読めという意味合いはありません。パッと見て、最低半分位はわかりそうだな、と思えるモノを選ぼうという意味です。
だから、英語で書かれた本を読んでみて、半分も分からないようなら、あなたにはまだ難し過ぎる本かも。その場合には潔くストップ。残りはこれからの楽しみにとっておきましょう。
あなたも自分に何ができそうか見極め、それに挑戦!….も、アリかも?!
See you next time,
Jiro
追記:本文中でお伝えした
(英語)
Gottfried laughed….. “You are a vain fellow. You want to be a hero but,…, I imagine that a hero is a man who does what he can.The others do not do it.
の部分、実際私が読んだフランス語ではこんな感じで書いてありました。
(フランス語)
Godfried rit : Tu es un orgueilleux. Tu veux être un héros ; mais, vois-tu, j’imagine : un héros, c’est celui qui fait ce qu’il peut. Les autres ne le font pas.
https://www.bibebook.com/files/ebook/libre/V2/rolland_romain_-_jean-christophe.pdf (p342)
仏語原文と英語訳はほぼ単語のレベルで対応していました。
例えば Tu veux être un héros. を英文と比べると、
Tu veux être un héros.
You want to be a hero.
フランス語の不定詞はtoがつきませんが、あとの単語は一対一の対応。最後の「ヒーロー」英語のheroとフランス語 hérosは綴りも似ています。このように英語を知っていると他の外国語への距離がうんと近くなります。
私立学校に英語教師として勤務中、40代半ばに差し掛かったころ、荒れたクラスを立て直す策として、生徒に公言して英検1級に挑戦することを思い立つ。同様の挑戦を繰り返し、退職までに英検一級(検定連合会長賞)、TOEIC満点、国連英検SA級、フランス語一級、スペイン語一級(文科大臣賞)、ドイツ語一級、放送大学大学院修士号などの成果を得る。
アメリカで生徒への対応法を学ぶ為に研修(地銀の助成金)。最新の心理学に触れた。4都県での全発表、勤務校での教員への研修を英語で行う。現在も特別選抜クラスの授業を全て英語で行っている。「どうやって単語を覚えればいいですか?」という良くある質問に答える為、印欧祖語からの派生に基づく「生徒には見せたくない語源英単語集」を執筆中。完成間近。常日頃洋書の読破で様々な思考にふれているが、そうして得た発想の一つを生かして書いた論文がコロナ対策論文として最近入賞。賞品の牛肉に舌鼓をうっている。元英検面接委員