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「美女と◯獣」はイタリア話なの?

World Lifeな生活
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先日はイタリア民話集の中の「クモの糸」についてお話ししました。
https://worldlife.jp/archives/18071
でもイタリア民話集にあるはずのない、次のような民話もあったんです。

何の話かあなたはピンと来ますか?

ある商人が商売に失敗、家族共々田舎住まいに。三姉妹のうち、末娘だけ家事を担う。

ある日、遠方に商いに出る父に、二人の姉は高い服、末娘はバラの花を土産に頼む。
その帰路、父親が道に迷うが、化け物の宮殿で一命を取りとめる。

父親は庭のバラを摘もうとして化け物の主人に見つかり、末娘ベリンダを身代りに要求される。
帰宅後話を聞いたベリンダは承知。姉達は嫌悪感だけを見せる。

彼女は城で段々化け物の優しさを知るが、結婚には同意できないでいる。

実家の様子を映す「涙と笑いの木」で彼女は姉達の結婚式を知り里帰り。が、帰宅を邪魔された為、城で化け物が病に伏す。

「帰りが遅ければ私は死ぬ」と化け物が予言する。

父の危篤で再びベリンダが里帰り。

やっと戻ると化け物が危篤。

“…I’d marry you at once to make you happy!”
(私はあなたの幸せの為にすぐ結婚します…)

とべリンダが言った途端、化け物が貴公子に変身。呪いが愛で解けたことが分かる。
めでたしめでたし。姉達は銅像に変えられた。

<イタリア?それともフランス?>

あなたは分かりましたか?

ディズニーでも有名な「美女と野獣」ですね。でも不思議では?

なぜなら、このイタリア民話集の編纂者のイタロカルビーノさんは

「このお話はある女性が語ったイタリア全土で有名な民話です。」だと・・・

でも、「美女と野獣」ってフランスでは?と頭が???一杯になり調べたら分かりました。

定説では「美女と野獣」はフランスのボーモン夫人が1756年に出版、のよう。

イタロカルビーノさんがまとめた「イタリア民話集」の「美女と野獣」は19世紀末から20世紀初めの資料に基づくそうです。つまりフランスのボーモン夫人の話の方が断然古い!

やはり最初はフランス。定説通り、そこから広くヨーロッパへ伝わったと考えられそうです。

お馴染みのディズニー版もフランスが舞台。そういえば末娘の名は「ベル」(フランス語)でした。

またカルビーノさんの民話集は「集めた」だけではなく、カルビーノさんの手が相当入っていることが分かりました。

本人曰く

No tales are interesting unless you add something to it.
(どんな話も何かを付け加えて初めて面白くなる)

という諺に従ったそうです。

また「資料に忠実なのは¾位で、残りは自分の判断で修正、追加した」とも述べています。
例えばイタリア民話集にしかない?「涙と笑いの木」もカルビーノさんの創作みたい。

<呪いの意味>

そんなたくさんの民話には呪いが出てきます。

「美女と野獣」も、野獣が長年の呪いから愛の力で解放されるわけです。

カルビーノさんの話では、誰でも何かに縛られている点では野獣と同じでは?誰でも程度は違え自分ではどうにもならない状況で生きているのですから。例えば家庭環境、教育、制度や習慣、歴史…、そしてそこから自由になろうともがくのではないか、と。

野獣と自分の姿って結構重なりませんか?

だから「美女と野獣」自分コトとして共感されるところもあり、多くの人に愛読されているのかもしれませんね。

とにかく洋書は面白いです。あなたも英語の学びを続け、英書の読書も楽しみながら世界が広がり続けると良いですね。

See you soon!
Jiro

 

追記:
カルビーノさんが一つにまとめた民話の題材はトスカーナ版、ローマ版とフィレンツェ版の3つ。出版年はそれぞれ1880, 1907, 1883年。

追記:
ボーモン夫人は有名な作家・教育者で70冊以上の著作があるそう。3度結婚しているそうだから魅力的な女性だったのかも。

<英語版>
日本語で内容を理解した上で今度は英語で理解してみる☆
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