最近,どうも夢見の悪いCozyです。
起きた時,“あぁ,夢で良かった…。”って思うような感じの夢。
どうせなら,幸せな夢でも見たいけど,
それはそれで,起きたときに“なんだ,夢か…。”と残念な気持ちになりそうです。
さて,夢といえば,昔見たとても印象に残っている映画があります。
その映画を観た後は,なんとも言えない不思議な感覚に陥ったのを覚えています。
それは,黒澤明監督の映画「夢」。
その映画は8つのストーリーから成っているのですが,いつも最初に
「こんな夢を見た」
という,夏目漱石の「夢十夜」と同じ言葉から始まります。
「夢を見た」
寝ている時に見る「夢」のことですが,
これを英語に直訳すると
“I saw a dream.”
(私は夢を見ました。)
って訳すと思うでしょ?
でも実はこれ,英語の表現としてはあまり好ましくないのです。
それはなぜなのでしょう?
―英語で‘夢’は「見る」とは言わない?―
「夜明け前に,君のことを夢で見たよ。」
と,ちょっと80年代のドラマっぽいクサい感じのセリフですが,これを英訳すると
“ I saw a dream about you before the dawn.”
としてしまいがちですが,実は英語では「夢を見る」とは言わずに,「夢を持つ=夢を見る」という表現を使うのです。
ですので,
“I had a dream about you before the dawn.”
のように使います。
もちろん,英語の “dream”には「名詞」だけではなく「動詞」もありますので,”dream”を動詞として使って,
“I dreamt about you before the dawn.”
(夜明け前に,君の夢を見たよ。)
と使う事もできます。
「ええ…,でもどうしても “see” を使っちゃいそうだなぁ。」
という人もいらっしゃると思います。
そういう場合は,
“I saw you in my dream last night.”
(昨日の夜,夢の中で君を見たよ。)
とすれば大丈夫。
私たちは英語のネイティブではありません。
冒頭で「間違い」だと紹介した
“I saw a dream about you before the dawn.”
と言ったとしても,ネイティブの人たちに言わんとしていることは
絶対に通じます!
もし指摘された場合でも,「英語ではこう言う方が自然だよ。」と適切な表現を教えてくれるでしょう。
「何言っているのかわからない。」と言われたら,それはただその人が意地悪なだけですので,放っておきましょう(笑)
―「寝て見る夢」と「願望の夢」―
不思議に思ったことはありませんか?
「夢」には大きく分けて,2種類の夢があります。
「寝ているときに見る夢」と,こうなりたいなぁ,と思う「願望の夢」。
それは英語でも同じ。
日本語と英語では全く違う言語なのに,意味が同じ。
これって偶然なのでしょうか。
語源由来辞典によると,もともと「夢」は「寝(い)目」といい,「寝ているときに見えるもの」という意味だったそう。
これに「願望」「希望」という意味で使われるようになったのは近代とのこと。
明治時代以降, “dream”を翻訳する際にこの「夢」という言葉を充てたのが始まりという説が有力なのだとか。
どうやらこのことから考えると,日本語の方が英語に合わせたため,「夢」も “dream”とも,2つの同じ意味を持つ言葉となったのですね。
―「夢」と言えば…―
夢といえば,有名なキング牧師を思い出します。
1963年に,Martin Luther King Jr.が人種平等と差別を終わらせようと呼びかけたスピーチ。
“I have a dream that my four little children will one day live in a nation where they will not be judged by the color of their skin but by the content of their character.”
(私には夢がある。私の4人の子どもたちが,いつの日か,肌の色で判断されるのではなく,彼らの人格の中身で判断されるような国に住むという夢が。)
今の世の中は,キング牧師が望むような世界になったのでしょうか。
ちょうど現在,12月4日〜12月10日は「人権週間」。
そして明日,12月10日は人権デーです。
キング牧師のスピーチに耳を傾け,一人ひとりが人権について考えてみるのも良いかもしれませんね。
ああ,私も多くの人に影響を与えるようなものを残したい。
みさなんの心に残るような英語の情報をお伝えしたい!
そんな夢を抱きながら,今夜こそは良い夢を見ようと眠りにつくのでした。
それではみなさん,Have sweet dreams! (良い夢を!)
英語教材開発・制作者
米国留学から帰国後、幼児・児童英語教師を経て、中学・高校英語、受験英語、時事英語等多岐にわたる指導を行い英語教師経験を積む。また、ホテル勤務での実践英語経験を積んだり、カナダにて現地の子どもたちの英語教育にも携わりながら、CertTEYL(世界での児童英語講師認定コース)の認定を受ける。さらに、青山学院大学でTutoringの研究員としても活動。英語講師養成のeラーニングコースの日本での立ち上げメンバーとなる。「現場での経験を教材に活かしたい!」と、現在は英語教材開発会社にて日々教材開発に勤しむ。高校入試用のリスニングトレーニング教材(塾・学校向け)は累計10万部以上のベストセラーとなる。英語教材開発の傍ら、全国の英語教師への研修なども行う。また、土堂小学校(広島県尾道市)での英語指導や、初の民間校長として一躍時の人となった藤原校長(当時:杉並区立和田中学校)が手掛けた英語コースの指導に2年間携わるなど、英語教育に関する多様な分野で活躍。大の犬好きから、ホリスティックケア・カウンセラーなどペット関連の様々な資格を取得し、ペットライターとしても活動中。