海外旅行で何日か同じホテルに滞在する事になったとしましょう。
さて、あなたはどこに貴重品を保管しますか?または、どこが一番安全だと思いますか?
①セーフティボックス
②スーツケースの中
③セーフティバッグ(腹巻/首から下げるタイプの小バッグ)
自分ならどこに保管するか考えながら読んでみてください。
<えっ?! まさか!>
「バス出発しますが、お忘れ物はありませんか?命の次に大事なパスポート。
ちゃんと目と手で確認してくださいね。お財布、携帯電話ありますか?頭の上から、帽子、眼鏡、入れ歯…(笑)」
ホテル出発時。これは、お客様に忘れ物がないかの声掛けをする時のお決まりフレーズだ。
特に、長距離のバス移動日の場合は細かく聞いていく。忘れ物をしても取りに帰れないし、そもそも海外だと忘れ物をすると出てこない事の方が多いからだ。
スペインのバルセロナに添乗員の仕事で行った時のこと。いつも通り、忘れ物チェックをしてから市内観光へ出発。
観光も一通り終わり、これからバルセロナを後にしてバレンシアまで数時間走ろうかというとき。
ガイドさんの携帯に、バルセロナ支店から電話が入る。なんでも、チェックアウトしたホテルから忘れ物があったと電話がかかってきているらしい。
(忘れ物?出る時にみんなに確認してもらったのに…やっぱり忘れる人がいるんだよね。)内心そう思いながら、ガイドさんから電話を受け取る。
私:「何の忘れ物ですか?」
支店スタッフ「小さいバッグと言っています」
私は電話で話を聞きながら、お客様へマイクで尋ねる。
「ホテルで忘れ物があったそうです。小さなバッグ忘れていませんか?」
全員、首をふる。
私:「いないみたいですよ。」
支店スタッフ:「添乗員さんのじゃないですか?」
自分のかばんをチェックする。小さめのショルダーバッグに手持ちの鞄。どちらもある。
私:「私のもありますよ」
さらにホテルの人に詳細を聞いているらしい。スペイン語のやりとりが聞こえる。
支店スタッフ:「ウエストポーチみたいなのって言っています。」
再度、お客様へ確認。
私:「バッグじゃなくて、ウエストポーチみたいなのらしいです。どうですか?心当たりある方いますか?」
またまた全員、首を振る。
私:「やっぱり誰もいませんね。私たちのグループじゃないんじゃないですか?」
支店スタッフがホテルの人へ伝える。
「こちらのグループの部屋で見つかったそうです。中に、現金とか…パスポート…」
ホテルの人と話しながら私に伝えてくる。
私はまたまたお客様へ「現金とかパスポートも入ってるみたいですよ!みなさん、本当にありますか?」
全員:「ある、ある」
支店スタッフ:「何か…チケット?の束が入ってるって…。添乗員さん!航空券じゃないですか?ありますか?」
えっ??そんなはずは… お腹に手をあててみる。
ない!!!
いつもお腹に巻いている腹巻タイプのセーフティバッグがない!!!!
「あ、私の…」
中には、メンバー全員の航空券と会社からの携行現金の残りが10万円くらい、そして命の次に大事と言っていたパスポート、大事なものが全て入っているのだ!
あんなにお客様のじゃないかと何度も尋ねておいて、結果自分が忘れ物をしていたという何とも間抜けな状態。恥ずかしすぎて顔が真っ赤になる。
電話のやり取りを聞いて、お客様も既に気づいたらしくクスクスと後ろで笑っている。
「すみません。私のセーフティバッグでした…。皆さんの航空券も入っていて、これがないとこれから先の旅行ができなくなるので、申し訳ないですがホテルに戻らせていただいてもよろしいでしょうか?」
「なんやぁ~。添乗員さんのやったんかぁ~」その時のお客様はみんな温かく、私の失態を笑ってくれる方たちで本当に良かった。
ホテルまでも15分くらいと、それほど時間のロスもでずに助かった。これがバルセロナを出た後だったら大変だった。そして何よりも、スペインのホテルで、現金も入っているバッグが出てきて、ちゃんと連絡をしてくれたという事が本当に驚きだった。
以前にもスペインのマドリードの治安が良くなかった事は書いたが、バルセロナはそこまではないものの、日本では信じられない事も起こっていた。
例えば、ホテルのフロントで預かるセーフティボックスに、貴重品を預けたらお金が抜かれて無くなっていたという事など。ホテルといえども信用できないのがスペインだったのだ。
忘れ物、特に現金なんて忘れたら速攻で捕られるのが普通なのに、出てきたなんて、奇跡に近い。
ホテルへ戻ると、フロントのスタッフが笑顔で迎えてくれた。中身を確認すると航空券、パスポートはもちろん、現金もそのまま全額ちゃんと入っていた。本当に奇跡だ。
もし、グループ全員の航空券をなくしてしまっていたらと考えるとゾッとする。
「本当に助かりました。Muchas Gracias! Muchas Gracias!(すごくありがとう)」
こういう時は、現地の言葉で言った方が気持ちが伝わる。スペイン語でお礼を言い、私のピンチを救ってくれたハウスキーパーの人へお礼のチップをフロントスタッフへ託す。
スペインがますます好きになった一件。
<結局、どれよ?>
さて、ここで冒頭の貴重品管理の問題です。
私のエピソードを聞くと、「結局、話に出てこなかったスーツケースに保管するのがいいのか?」と思うかもしれませんね。
が、スーツケースは私の中では一番「ない」選択です。
カギはかかるとはいえ、持ち運びができるものです。部屋の清掃中などドアは開けっ放しなので、ハウスキーパーの人がバスルームなどを掃除しているすきに、部屋に入り、スーツケースごと持ち去られるという事が起こっています。
次に、ホテルのセーフティボックスですが、これは各部屋内についている暗証番号式の物は安全といえるでしょう。でも、鍵式の物だったり、フロントに預けるタイプの場合はあまりお勧めできません。
旅行する国にもよりますが、時々預けていたお金が抜かれたりという事が起こっています。
なので、私が思う一番安心できる貴重品管理はセーフティバッグを肌身離さず利用することです。
「セーフティバッグは大げさじゃない?」「ちょっとダサくない?」と思う人もいるかもしれませんが、旅行中「盗られるんじゃないか」と常に気を張って観光するよりもずっといいと思います。
スリやひったくりに狙われるのは外に出ているバッグです。それが外から見えてないのだから盗られようがありません。身ぐるみはがされてしまうような危険な地域以外は、一番安全で安心できる方法だと思います。
最近は、スタイリッシュなデザインの物もあるので、そこまでダサくないし、何より外からは見えないので気にすることはないのです。
たまに、せっかくセーフティバッグを使っているのに、普通のバッグのように服の上から使っている人がいますが、これは普通のバッグと一緒なので意味がありません。
外から見えないところに隠せるというところがセーフティバッグのポイントです。
かといって、全ての物をセーフティバッグに入れると、買い物の時など大変です。たまに、せっかくセーフティバッグを使用しているのに、支払いの時にお腹や首元からセーフティバッグを取り出してお金を払う人がいます。
これは周りに「私はここに大金隠していますよ」と見せるような物で逆効果です。外のバッグには、その日使うぐらいの現地のお金を。それ以外の使わない外貨や日本円はセーフティバッグに入れて分散させるのがいいですね。
パスポートも国境を越えるような日でなければ必要ないので、パスポートのコピーを外のバッグに、本体はセーフティバッグにいれると安心です。
たまに、警察を装ってパスポートの提示を求めパスポートやお金をだまし取られるという事を聞きますが、こういう場合もパスポートのコピーがあると防げます。通常の身分証明ならコピーで大抵大丈夫です。本物を見せろとしつこくいう場合は逆に怪しいと言えます。
平和で安全な日本では考えられない事ですが、海外では海外の旅行の仕方があります。安全に楽しく海外旅行を楽しめる時が早く来るといいですね。
まぁ、どんなに安全安心なセーフティバッグを使っても、私のように忘れてしまっては意味がありませんけどね(笑)
旅行の際は、くれぐれもお忘れ物にはご注意を♪
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
インスタでは海外旅&九州旅のおすすめを案内中!
◯Instagram
http://www.instagram.com/makky_havefun
◯youtube
https://m.youtube.com/channel/UC5k_A0_qMzvzwaCLgTrKXJQ