夏本番!夏休みとなれば海や山のレジャーに出かけたくなりますね!大自然の中で過ごす時間は癒しとエネルギーを与えてくれます。
私がオーストラリアにいた時にずっと行きたいと憧れていたのはフレーザー島という砂の島。
島全体が砂でできているんです!しかも、全長は120Km にも及ぶ大きな島で、世界最大の砂でできた島。
真っ白い砂浜と透き通った海が永遠と広がるビーチ。写真で見たフレーザー島は天国みたいに美しく見えたのです。
この憧れの砂の島への旅が、まさか地獄の恐怖を味わう旅になるとは…。
<砂でできた島>
憧れのフレーザー島への旅は、行く前の準備の時から始まる。
砂でできているフレーザー島は、4WDの車でないと入ることができない。が、車の事がよく分からない私は、4WD自体がどんなものかも知らない。
それで、とりあえずただ4WDと書いてある車を選ぶことにした。ネットで予約をしようとしたら、4WDは普通の車よりも結構料金が高い。そんな中、「あ、これお得じゃない?」という車があった。4WDと書いてある。
「4WDみたいだし、これでいっか。」とその車を予約。この「これでいっか」が後に命取りになるとも知らず…。
フレーザー島に入る前日にその車を借り、キッチン付きのホテルの部屋で料理ができるようにスーパーで食材も買い込み、準備も万端!
意気揚々と車でフェリーに乗り込みいざ憧れのフレーザー島へ!
全てが砂でできている島と言っても、着くまではどんなものか想像できなかった。着いてみると本当に下は全て真っ白い細かい砂。道路も舗装された道はなく全部、砂。
そうかといって、フレーザー島は砂漠のような砂だけの所でもない。赤土の荒涼とした山があったり、亜熱帯雨林の林や川、湖があったりと緑も水も豊富な所だった。
まずは、インフォメーションセンターで地図をもらいお勧めのコースを聞く。
透き通った川で水遊びをしたり、湖畔のビーチで寝そべったり…。憧れのフレーザー島、「やっぱり素敵な所!来てよかった~♪」という思いをかみしめる。
<ヤバい、はまった!>
時間はまだ午後2時ごろと早いものの、ホテルまで距離がありそうだったので、湖は早めに後に。島を横切って反対側の75マイルビーチの方へ。75マイルつまり、120Km以上延々と美しいビーチが広がるフレーザー島のハイライト! そこを車で駆け抜けるのはきっと爽快だろう♪
内陸の方へ行くにつれ、車は背の高い木々が生い茂る林の中へと入って行く。道は車2台がやっとすれ違う事ができる程の狭い道。下はもちろん砂。くねくねとした道なので、スピードも出せない。
反対側から車が来るたびに、止まって寄せて…としていると、
キュルルルー、キュルルルー
タイヤが回る音。しかし、車は進まない…。
「ヤバい。はまった」と、運転していた友達。
私:「え?うそ?タイヤがはまったの?」
何とか出ようとアクセルを踏めば踏むほど、タイヤは空回りして逆に砂にはまっていくばかり…。
タイヤの下に木を入れてみたり、後ろから押したりもしてみたが、車はまったく動かない…。
すると、運よく反対側から大きな車が来た!呼び止めて車がはまった事を伝えると、ロープで引っ張って引き出してくれた。
「助かった…」
ホッとしたのも束の間。少し走った所でまた、はまってしまった…。
<Help us!>
さっきみたいにまた、通りかかる車が来ないかしばらく待ってみた。
しかし、後ろからも前からも、車は来なかった…。まだ時間は早いとはいえだんだん不安になってくる。
その時、インフォメーションセンターでもらった地図の事を思い出す。そこには、Emergency Number(緊急連絡先)の電話番号が載っていた。
「車通らないし、ここに電話してみる?」と、携帯電話を見ると…
なんと、圏外!(+o+)
でも、ここで待ってても車は来なさそう。湖の所では入っていたし、これは電波が入る所まで歩くしかない!
一人で歩くのは不安なため、車は置いて二人で元来た道を歩き出す。しかし、下はふかふかの砂。ちょっと砂浜を歩くのを想像してみてください。
1っ歩1っ歩が砂に埋もれて、足がめちゃくちゃ重い。早く歩くことも、大股で歩く事もできず、気持ちは一刻でも早く電波のある所まで行きたいのに、砂が邪魔して足が思うように動かない。
そんな状態で携帯電話を見つめながら30分も歩いた時、ようやく電波が1,2本立った!
「あ、やっと入った!」
すぐに緊急連絡先の電話番号にかけてみる。と、ザワザワした音とともに、男性が電話に出る。
私:「車が砂にはまってしまって、出れないんです。」
レスキュー隊の男性:「あ~、そうなの。今、本土の方に買い物に来てるんだよね。帰るのは5時頃になると思うんだ。」
(え~!買い物?!さすがオージー、呑気だよ。)と思ったが、その日は日曜日。私も島生活をしていたから日曜日に本土に買い物に行く気持ちは分かる。でも…。
私:「結構待ってたけど、他に車通らないんです」
男性:「まだ早い時間だから通ると思うよ。もし、17時過ぎても誰も通らないならまた電話して」
私:「O.K.…」
彼は軽く「電話して」と言ったが、また電話をするには砂道を30分も歩かなくてはいけない。その時の時間は午後3時をすぎたあたり。
(まだ早いし車が通るかもね。)と期待しながらまた、30分砂の道を歩いて車に戻る。
しかし、待てど暮らせど、他に車は通らない…。そのうちレスキュー隊の人が言っていた17時も近づいてきた。楽観的に考えていた私たちもさすがに不安になって、会話も減っていく。
<ディンゴに襲われる?!>
遅くなればなるほど、他の車が通る確率は減っていく。「もう1回電話しよう」
再び、私たちは埋もれる砂の道を歩いて電波の入る所へ。
私:「さっき電話した者なんですけど、やっぱり誰も通らなくて。助けてもらえますか?」
レスキュー隊:「今、フェリーに乗ってるから。O.K.着いたら向かうよ。どの辺?」
どの辺??? どの辺って??? 周りに何も目印はないし、初めて来た場所だから自分たちがどの辺にいるのか全く分からない。
とりあえず、持っていた地図を2人で見て、記憶をたどりながらこの辺りかなと予想した。
そして、湖を出てからのルートを地図を見ながらレスキュー隊に説明。
しかし、「もっと分かれ道があっただろう。どっちに行った?」と聞き返される。
どうやら私たちが持っている地図と彼ら地元民が持っている(知っている)地図は違うらしい。
ただでさえ、電話で場所を伝えるのは難しいのに、さらに見ている地図が違うとなると全然話が通じない。
いくら「私たちが持っている地図にはこの2つの道しか載ってない」と言っても、「いや、他に道があったはずだ。それだとはっきり場所が分からない」と言われる。
何度聞かれても、まさかこんな事になるとは思ってないので道がどうだったかなんて覚えてないし、地図にはこの道しか載っていない…。
結局、「ちょっと場所が分からないけど、とりあえずそっちへ行ってみるよ」と言われる始末。
「ちゃんと場所わかるかなぁ。本当に助けに来てくれるのかなぁ…。」重たい足を引きずりながら、また30分歩いて車の方へ。
「来てくれる」とは言ってくれたものの、なお不安は全く取り除けず…。レスキュー隊にも見つけてもらえるか分からないし、だんだん夕暮れも近づいている。
そうなると、「もしかして、ここで一夜を明かさなければいけないかも?」という不安も出てくる。もちろんキャンプ以外で外で夜を明かすのは初めてだ。
まず気になったのは、食べ物と水。車の中には、スーパーで買い込んだ食材はある。しかし、キッチンで料理しようと買ったもののため、肉とか野菜とかの生もの。そのまま食べられるのは、お菓子くらいしかない。
「ま、でもとりあえず水はあるし、死ぬことはないか…。」
と、車の外を見ると、そこには“Caution” (注意!)と書かれた黄色の標識が!下には犬のイラストとDingoesの文字。
ディンゴはオーストラリアに棲息する野生の犬。ほっそりしたキツネと狼の間という感じ。動物園で見た事がある。動物園のディンゴは普通の中型犬みたいだったけど…、野生のディンゴとなると…。
しかも、夜になって出てきたらどうだろう!
「ディンゴに襲われる!?!?」
私の頭の中には車のフロントグラスに覆いかぶさり、大きく口を開けて襲い掛かろうとするディンゴの群れが!! Oh,No! そんな事を考え出すと益々不安と恐怖が襲ってくる。
「早く助けに来て!」そんな思いもむなしく、時間はどんどん過ぎていく。背の高い林の向こうにピンク色の夕焼けが見える。美しい夕焼けなのに悲しくなる。
そして、とうとう辺りは真っ暗になってしまったのでした…。
果たして、助けは来るのか?!
<次回へ続く…>
中学生時代から英語を話せるようになる事に憧れ、外国語短大へ進学。その後イギリスへ留学するも英語が話せず落ちこぼれの生徒に。英会話のトレーニング(カランメソッド)を受け英会話が上達。帰国後、夢だったツアーコンダクターになる。渡航国約35カ国 年間200日以上を海外で過ごす。その後オーストラリアにワーキングホリデーで渡り、オーストラリアにあるハミルトン島のリゾート会社に就職。その後日本に帰国し、京都のホテルやゲストハウスなどでの経験を経て、地元宮崎にUターン。現在は地元宮崎で、英会話教室及び、単位制、通信制の高校で英会話を教えている。
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